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一緒に見るから、景色はより美しくなる。
「こんな美しい世界があったんだ。」
山に登ると、出会う素晴らしい景色。山頂の360℃の大パノラマ、山頂に咲く満開のツツジ、空から降るような星空、キラキラ輝く日の出、奇跡の瞬間ダイアモンドヘッド。
山には、涙が出るような、生きてて良かったと思えるような美しい景色がたくさんある。それに出会いたくて、私はいつも山に登る。
でも、今回はその「美しい景色」よりももっと大事なことに気付いた。
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7月5日(日)晴れ
8人ほどの登山グループに参加して、ドイツのバイエルン州にあるpartnach渓谷に行ってきた。
partnach渓谷は美しかった。今まで見た渓谷で、一番美しかったかもしれない。
それなのに、その日は喜びよりも寂しさの方が少し大きくなった。
寂しさが大きくなった理由。なんてことはない、ちょっとした価値観の違いだ。
渓谷の入場口で6ユーロ払い、私達グループは歩き出した。渓谷に入ったときから、両側に岩壁がそびえ、それは別世界だった。
美しい…
そう思った。
だけど、私達のグループの人は皆歩くペースが速い。いや、みんな普通のペースで歩いていたんだろう。そのとき気付いた。私は歩くのが遅いんだ、と。
私は感動する景色に出会ったとき、いつもよりゆっくり歩く。
だって、もう見れないかもしれない。
どんな色?
どんな空気?
どんな音?
どんなふうに感じる?
どんなに美しい景色を写真や動画におさめても、その感動は同じように思い出せない。だから、その瞬間のトキメキをこれでもかと味わいたくなる。
できるだけ、身体いっぱいでその景色を感じたい。
だから、歩くのが遅くなる。いやはや、面倒な奴だ。
それでも今回は、周りに合わせていつもより急ぎ足で歩いた。迷惑にならないようにグループ行動しなければと。それでも、後ろでちょっと粘ってたけど。
そして、今考えている。私は一人で歩いた方がいいのかもしれない。「美しい景色を共有したい」「ドイツで一人登山は怖いから仲間がいれば嬉しい」そう思って参加したけれど、なんだか逆に寂しくなった。
登山には色んな目的がある。
歩きたい人
身体を鍛えたい人
山頂到着が目的の人
リフレッシュしたい人
景色をみたい人
色んな目的があっていいし、それはそれでいい。
でも、一人で登るのが寂しいと思ってたけど、一緒にいるのに共感し合えない方がずっと寂しいと知った。
やっぱり一人で登ろうか。日本にいた頃、同じペースでぐだくだ喋りながら、励まし合って登った友だちが恋しい。
誰と見るかでも景色は変わるんだ。
「綺麗だね!」っていうと
「綺麗だね!」っていう。
こだまでしょうか。いいえ、気の合う大切な人。
景色よりも、そんな人に出会えたら幸せだ。
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