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Web編集者の読書癖

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本がないと生きていけない。
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#書評

2021年マイベスト本【エッセイ・対談・小説・歌集】

エッセイが好きだ。対談が好きだ。小説と歌集は、文章の仕事でありながら、文章の仕事から離れさせてくれる文章として好きだ。 2021年は特に多くのエッセイを読んだ年だった。コロナ禍で自粛ばかりで、自分の心に向き合いたかったから。他者の雑談に触れないと、自分について気付く機会がとても減るのだと知ったから。 ということで、2021年読んだ中でも特に面白かった本をまとめて書き記そうと思う。今回はエッセイ、対談・往復書簡、小説、歌集。 ↓ビジネス・自己啓発はこちら。 2022年も

なにかを「持つ」人になるということ

「お金持ち」という言葉に胡散臭さを感じるようになったのは、いつからだろう。 子どもの頃「お金持ち」という言葉は、まるで将来の夢に設定するにふさわしいような、憧れるべき言葉だと思っていた。 だけど大人になった今「お金持ち」という言葉に、なにか悪いことが隠されているような胡散臭さを感じるのはなぜだろう。 とにかくわたしは「お金持ち」という言葉自体に拒絶反応があった。だけど先日、自分の足で探したならば絶対に選ばなかったであろう本を買った。 告白すると、著者の富塚あすかさんは

巷でうわさの「ライター殺しの本」

わたしはあまり文章術の本を読まない。 ライターなので普通の人よりはおそらく読んでいると思うけれど、年間50冊本を読んだとして、文章術の本は年に1冊読むかどうかくらいだ。 読まない、というより選ばない、が正しいかもしれない。改めて文章術の本を読むよりも、あらゆる「いい文章」を読み、なにかを自分自身が感じ取っていければ、それが最短の文章上達法なのではと思っているからだ。 だけど、そんなわたしも、最近文章術に特化した本を読んだ。この本だけは素通りできなかった。 素通りできな

わたしたちは「他人とわかり合うなんて不可能」をどう受け止めるべきか

なぜこの本を購入したのか、今となっては思い出せない。だけどきっと「他人を知りたい」(理解したい/悩みたくない/うまく関わりたい/誤解されたくない/誤解したくない)という気持ちで購入したのだと思う。 だけど買ったが最後、パッと見の男くさい表紙(失礼)に「話せばわかる」はやっぱり大ウソ!という絶望的な帯、本の中身がいまいち想像しづらいタイトルなどが上手く作用し合い、知的好奇心そそられぬまま長い期間本棚に眠った。つまり殿堂入りの積読本だった。 だけど一度読み始めて10ページを超

結果を出す書評ライターは「結果を出す書き方」を知っている

わたしは書評が好きだ。 わたしにとって「書評」と「あとがき」は完全に読書の一部となっている。 読書系のムック誌はだいたい見かけるたびに購入しているし、Amazonのレビューに関しては、購入前はもちろん購入後も見て他人と自分の感想を照らし合わせてニヤニヤする(本の話できる友達いないだけか)。憧れのさとゆみさんのコラム「本という贅沢」は可能な限り毎週水曜の更新に合わせてチェックしている。 もちろん読んでて楽しい文章は、自分もうまくなりたいと思うのがフリーライターの性。そんな

読書とは自分に会うためにするもの

ここのところずっと読書術カテゴリの本を読み漁っている。以前ブログでも紹介した「読んだら忘れない読書術」にて、固め読み(同ジャンルの本を同立て続けに読む)を推進されたこともあり、なんとか自分の読書法を確立したい一心だ。 そしてわたしの5〜6冊読んだ読書本では「読んだら忘れない読書術」と今回読んだ「精神科医が教える 良質読書」が見事マイベスト読書本入り!この記事はブログ移行に伴って1年前のものをリライトしているのだけど、1年たった今もやはりダントツで良本。 まず、最初の冒頭文

20代で夢中になった千田琢哉さんの本は、30代で読むと「名言集」だった

20代のころ「1日に10冊の本を読み3日で1冊の本を書く ボクのインプット&アウトプット法」に衝撃を受けたことを皮切りに、著者の千田琢哉さんにはまり、千田さんの本を読み漁った時期があった。 いつしか読まなくなっていたのだけど、ふと「20代のときにはまっていた本を30代のいま読むと、どんな感想を抱くのだろう」と気になった。そもそも千田さんの本は「20代で知っておきたい!」「20代のバイブル」などといった小見出しがほぼ全ての本についている「The!20代向けの本」なのだ。30代