「草野理恵子、あるいは言語迷宮の魔法使い」(「詩と思想」2023年6月号掲載)
草野理恵子という詩人の存在を知ったのがいつ頃だったのか、歳のせいもあってはっきりとは思い出せない。本誌に掲載された作品が先だったか、それとも青木由弥子氏、花潜幸氏、草野氏の三人によって編まれる詩誌『Rurikarakusa』の方だっただろうか。1958年に北海道室蘭市で生まれた彼女は詩集『パリンプセスト』、『黄色い木馬/レタス』、『世界の終わりの日』ですでに三度もH氏賞候補に選ばれている実力者である。そして活字媒体だけでなくSNSでも積極的に作品を発表する先進的な詩人でもある