金メダル

主婦だって永年勤続

日曜日。夫とコーヒーを飲んでいた時のこと。夫の仕事関係の食事会のメニューの紙が置いてあった。北京ダックとか、フカヒレとか、豪華中華ディナーですごく美味しそうだった。食いしん坊の私は羨ましくなって、

「いいなあ。私は仕事場でお茶すらないよ。」

と言ったら夫がこう言った。

「そんなん仕事を始めたばっかりだから当たり前でしょ。俺なんか、30年頑張ってきたからここまでになったんだよ。」(ドヤ顔)

そういわれると何も言えず、話は終了。

でも、その後考えた。確かに、今の仕事は始めたばかりだけど、私、主婦業と育児業はもう勤続20年以上だ。休みなくずっと働いている。

夫は家事には完全にノータッチ。私が留守にするときにごはんを作っておいても、電子レンジでチンするのが億劫で牛丼を食べに行ってしまうような人だ。育児についても、学校行事にも出席できないことが多かったし、ほとんど私に丸投げだった。(その代わり、私がすることに対してうるさくないので、自由にやらせてもらってきた。)私たちは、完全分業タイプなのだ。

ここに至るまでには、私の父親と夫の母親が同時期に癌になって、小学生二人を抱えながら、毎日夫の両親の分の食事を作ったり病院へ行ったりの時期もあった。夫の父親が入院した時も、私が病院へ通った。

育児はそろそろ仕事がなくなってきたけれど、今も家のことは私が担当している。昨年始めた仕事では駆け出しでも、家の仕事では胸を張ってもいいはずだ。

こんな風に言うと家事が完璧な人みたいなのに、現実にはちっとも完璧じゃないのが苦しいところではある。でも、完璧じゃなくても、家族の生活がちゃんと回るように休まず動き続けてきたことは事実なのだ。

・・・・頑張ってるよ、私。(自分で褒めてみる。)

だから今度の休みにはそのことを夫に話して、来年主婦勤続25年になったらお祝いすることを提案しよう!美味しいものを食べにいくとか、小旅行とか。

自分でそんな提案をするなんて若い時には図々しく思えて出来なかった。けれど、今はちゃんと伝えることにする。

夫は子供の頃からこの街に住んでいて、結婚前からの仕事もそのままだ。一方で、私は夫の一族が住む知らない街に嫁いで、仕事もやめた。人間関係も仕事(家の)もゼロからのスタートだった。言葉で伝えないと、夫はここでの私の暮らしが決して平坦でなかったことには思い至らないだろう。

夫の仕事人生の中で私が知っていることも、わずかな部分だけなのかもしれない。そのことも、少しずつ聞かせてもらえるといいな。

ふたりで歳を取っていくんだから、今よりもお互いの道のりを共有しておきたい。それから、完全分業も少しは変えていかないと。私が先に死んだら困るしね。おそらく、話す時間はこれからたっぷりあるはずだ。

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