節分

ひとりで豆まきをした

私は年中行事やしきたりにあまりこだわらない家庭に育ったから、年中行事の正しい作法などは全然わからない。夫もそういうことには疎い。それでも、季節のつれづれに行事を取り入れている。子供たちが小さい頃は年中行事や季節感を知ってほしかったし、いいことがありそうな感じがしたから。

1月が終わって、もうすぐ節分。節分の頃になるといつも思い出すことがある。

長男が生まれて、首が座るか座らないかの頃。節分の朝、夫と2人で歳の数だけ豆を食べた。夫が出勤した後、長男はすやすやと眠っていた。そこで私は、残った豆で豆まきを決行することにした。

子供が生まれたんだから、災いを追い出して、福を招き入れるのだ!

家の中が豆だらけになると掃除がめんどうなので、室内はほんの少し。すごく寒いけど残りの豆は外にまくことにした。部屋着のまま外に出て小さ~い声で「鬼は外~福はうち~」とつぶやきながら玄関の前で豆をまいていると、門の外から

「Yumetamaさん、おはよう。何してるの?」

という声が!近所に住んでいる義弟だ。

「あ、ま、豆まきしていたの」

義弟は、怪訝そうな顔をして駅へ向かった。・・・まさか、知り合いに見られるとは思っていなかった。ノーメークの顔を見られたのも恥ずかしいし、1人でぶつぶつ言いながら豆をまいているって、不気味な女でしかない。幸い、その後親類で集まったときにその時のことが話題になることはなかった。(義弟がそのことを忘れてしまったのか、気を遣って言及しなかったのかはわからない)

翌年の節分からは息子と一緒に豆まきをするようになって、ひとり豆まきはしていない。義弟は引っ越して行った。幼稚園では保護者のお父さん達がリアルな鬼の扮装をしてくれて、息子が大泣きしていたっけ。次男が中学受験の時には「受験に勝つ」とか言って、カツの入った恵方巻を買ったなあ。(恵方巻って、私が子供の頃は今みたいに全国的に売られていなかった気がする)最近は息子たちが大きくなったから、節分には豆を食べるだけで、豆まきはしなくなった。

いろいろな節分の思い出が上書きされてきても「ひとり豆まき」の恥ずかしかったことは今でも忘れられない。

恥ずかしかったことって、忘れたくても忘れられないから困る。

1周回って、また夫婦だけになった今年の節分はどんな節分になるだろう。豆はもう買ってある。

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