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母との時間

先日、母を久しぶりにランチに誘おうと電話をした。

一昨年までは父のお墓参りを兼ねて毎月ランチをしていたのに、コロっちのためになかなか行けなくなってしまった。
母と一緒に住んでいる兄は基礎疾患がある。母が外出・外食に強い不安を持っているので無理強いしたくない。それに、私は仕事で都内の数か所に出入りしているので、万が一にも母にうつしてしまうことがあって欲しくなかった。

これから真夏になると暑くて母が出かけづらくなる上、私の仕事も忙しくなる予定だ。だから今のうちにと思ってランチに誘ったのだった。

喜んで出てきてくれるだろうと思ったのに、母の返事は私が思ってもいないものだった。
私が電話する前日、散歩中に階段で転倒して胸を強打したのだという。病院へ行くからランチには行けないという。
たぶん、私が電話しなければ、心配をかけないように黙っているつもりだったのだと思う。

「ちょっと転んだだけ」と言っていたが、病院が大嫌いな母なので、自分から病院へ行くということは軽傷ではない気がする。

病院へ行った後に母から連絡が来て、肋骨にヒビが入ったとのことだった。
私も少し前に足の指にヒビが入る怪我をしているからわかるのだが、かなり痛いはずだ。

しばらく安静が必要だろうけれど、安静にしすぎて動かないでいると筋肉が弱ってしまう。散歩中に転倒したから、散歩に行くのが怖くなってしまうかもしれない。骨のヒビそのものよりも、出かけたり身体を動かす気力がなくなることがもっと心配だ。

その日は無理だったので、翌日に一泊で実家に様子を見に行くことにした。
兄からも連絡があって、母が落ち込んでいるから、私が実家に泊まるのは絶妙なタイミングだということだった。
 電話では平気そうにしていたけれど、やはり落ち込んでいたんだ・・・。


実家に泊まるのは、久しぶりだった。そんなに遠くないのに、全然行っていないのが気になっていたけれど「帰省は遠慮すべき」という風潮もあって足が遠のいてしまっていた。

実際に会ってみると、母は思ったより元気そうで顔色もよく、安心した。笑ったり、動かすと痛そうではあるけれど、家事もなんとかこなしていた。
やはり、実際に顔を見ると安心する。

でも、転んだ時のことを詳しく聞いてみると、両手や膝などにも怪我をしていて、手の指がかなり腫れていたのだと言う。私が会ったときにはもう腫れは治まっていたが「ちょっと転んだだけ」ではなかったようだ。
それでも、家事をできるだけ手伝うつもりで行ったのに、結局食事の支度なども母がほとんどしてくれた。
何歳になっても娘は世話を焼く対象なのかもしれない。

何をするでもなく、寝る時間までお茶を飲みながらゆっくり母と話した。

翌日は兄もちょうど休みで、3人で食卓を囲むことが出来た。

その日は、6月30日の大祓の日。神社へお参りに行くのに良い日だ。

怪我をしている母と、
仕事が休みで身体をゆっくり休めたい兄。

お天気も良くないし、迷ったけれど、お参りに誘った。タクシーで行けば、疲れないはず。

2人とも、心配をよそに快諾してくれた。


いつもは10分以内に来るタクシーが1時間近くかかるというハプニングがあったものの、無事に神社に参拝することができた。
実家にいた頃、初詣に訪れていた神社。
改修されて、私が知っている頃よりも、きれいになっていた。

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無病息災を願って茅の輪くぐりをした。

私は茅の輪くぐりが初めてだったが、母は子供の頃にしたのだと言って懐かしそうだった。
そして、とても嬉しそうだった。

15分程度の短い参拝だったけれど、息子と娘と3人の時間は母にとって何よりも嬉しかったに違いない。
息子たちが家を出た今は、その気持ちが痛いほど私にもわかるのだ。

これからは、どうにか時間をやりくりして、こんな時間をもっと作りたい。


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