「古典」の勉強の仕方 (なぜ、古典を学ぶのか?)

はじめに~「なぜ、古典を学ぶのか?」

「古典」の勉強の仕方を考える前に、「なぜ、古典を勉強するのか?」について簡単に触れておく。

これも答えは人それぞれで、「入試に出るから仕方がない」とか「そういう風に決まっているからだ」とかいう、なんとなく納得できない理由が世間には溢れている。別にそれも間違いであるとはいえない。別の記事にも書いたが、「なぜ、勉強するのか?」の答えは人の数だけあるからだ。

それで、僕の考えを述べると、理由は大きく2つあって、
1、「古典」の世界に生きる人々の文化や生活、考え方に触れることによって令和を生きる僕たちの生活を見直すため。
2、「古典」を学ぶことを通して、新たな文化を獲得するための姿勢を身につけるため。
である。

1については、「古典」の世界には現代との共通点が多いに出てくる。
例えば「蜻蛉日記」に出てくる「夫の文箱を覗いてみると、知らない女に宛てた手紙が出てきた」という話は、現代においては「彼氏のスマホを覗いたら、浮気LINEを見つけてしまった」というのによく似ているし、枕草子で筆者の清少納言が言った、「はしたなきもの。異人を呼ぶに、われぞとさし出でたる。」(「きまりが悪いもの。違う人を呼んでいるのに、私のことだと勘違いして出しゃばっている人。」)とかいうのは現代にそのまま当てはめることが出来る。「古典の世界の出来事」と考えるから遠くなるのであって、「現代に繋がっている人たちの考え」という風に捉えると、ものすごく身近な存在になって、古典がちょっと楽しくなってくる。

2については、「古典」を学習し理解していくというのは、「新たな文化を獲得すること」に等しい。単語を学ぶこと、文法を学ぶこと、信仰されている宗教や、年中行事などの風習、人々の間の流行、法や政治といった制度、当たり前と思われている常識…これは「古典」の学習に欠かせない要素であり、かつ、現代では他国、他文化(場合によっては自国、自文化)を理解するにあたって欠かせない要素でもある。「古典」を学ぶことを通して、異文化に接したときに、それを理解し獲得していく姿勢を身につけることが出来る。

以上が僕なりの、「なぜ、古典を学ぶのか?」という問いかけに対する答えである。前置きが長くなった。本題に移ろう。

「古典」の勉強の仕方

では、いよいよ「古典」の勉強の仕方について考えてみよう。
ちなみに、ここで僕が言う「古典」というのは「古文」と「漢文」を合わせた総称である。(いまさら。マサライマサラ byゆず)

ありきたりな話で恐縮だが、古典の学習においては次のような方法を取るというのが一般的だろう。

1、単語や文法、古典常識、漢文であれば句法や重要語句を習得する
2、文章を読む
3、問題演習

正直、僕もこの流れについて異論はない。
ただし、1点だけ気を付けて欲しいことがある。
それは、初めて見る文章を読むときに、それを読解するのに必要な単語の意味や文法事項、古典常識を素早く頭に思い浮かべる訓練をすることである。それを達成させるのに必要なのが「短文による演習」である。

つまり、長い文章を読む問題集ではなくて、短い文章が出て来て、そこに含まれている重要単語や古典文法を理解した上で、正確に解釈(口語訳)するというタイプの問題集がオススメである。(これは宣伝ブログではないので、具体的にどの参考書というのは避けるが)

それを徹底的にやり込んで、解釈する時に途中で詰まったり引っかかったりすることが無いようなレベルになるのが理想である。なにせ、古文も漢文も文章の中で扱われている内容はたいして難しくない。特に漢文に至っては、仮に入試で使われるような文章であっても、口語に訳されていれば小学生が理解できるような文章であることがほとんどなのである。漢文は書き下しというワンクッションはあるものの、正確な口語訳さえできれば楽勝である。

正確な口語訳が出来れば、問題を解くことは大したことはない。だからとにかく、古文であれば単語・文法・古典常識、漢文であれば句法・重要語を頭に叩き込み、それをスムーズに利用しながら、正確に口語訳出来るようになるということが当面の目標になるだろう。

ちなみに、これは補足になるが古文の問題集の解答や解説において、現代ではもはやあまり使わないような表現が使われていることが多い。例えばこの記事の最初の方にある「はしたなし」の現代語訳「決まりが悪い」とか、「つれづれ」の現代語訳「所在ない」とか、助動詞「ごとし」の文法的意味「比況」などがそうだ。古文を理解するためには、実は「現代文の力」が大いに重要になってくる。解答や解説を読んでわからない言葉が出てきたら、面倒がらずに辞書などを引いて意味を確認してからその言葉を使う、あるいは少し難しくはなるが、辞書を引いたうえで「自分の知っている語に置き換えて口語訳する」というのもレベルアップへの近道である。

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