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アクセサリーを探して⑦Fin.

テーブルの上に並ぶ非売品のSNOWMANのストラップと、
彼が私の為に探してくれたブレスレットと、
子犬の様な目でこちらを見る真正面に座る彼を見て、

私は「ありがとうございます」としか言えなかった。



貸し切り



あれからまた月日は流れ、4月になり、私は変わらず東京に居る。

世間は相変わらずコロナで大変で、でもその今、私は生きている。

大変という言葉で片付けるのはよくないと分かりながらも、
運の良い事に「コロナのせいで会社が倒産した」や「実際にコロナになった」という人が周りに居らず、ニュースで感染者数が減っていくことを祈っているくらいだ。

実感は無いが、東京郊外に旅行しようと友人に誘われたが、丁重に断りを入れた。
というのも私が勤めているの会社が宿泊業界のおかげで、人事課と言えど社員がコロナになったと言えば多少は騒がれるかも知れないと、もしもの事を考えての私なりの対策だった。




社内全体会議にて、日本人による国内旅行が再軌道に乗り、
桜シーズンとGWは一昨年の売り上げに到達しそうだと、営業部から報告があった。


「営業部からの報告の意図を考えると、今年はボーナスをちゃんと満額貰えるってことよ」

そう一番嬉しそうに話す先輩と、会議室の片づけをしていた時だった。

先輩は、結局婚活が上手くいかず、
「SNOWMANが私を離さなかったのよ」と言い訳をしながら、先日ライブDVDまでも社内に持って来て自慢していた。


「そういえばDVD買われてたってことは、ライブしたんですねSNOWMAN」
ボーナスの話から逸らさせようと、先輩が興味のあるネタを投げかけた。

「違うわよ、無観客ライブよ」

開催されていたら会社なんて速攻休んで行きまくるわと、どこかに闘志を燃やしている先輩をわき目に、私はさっさと終わらせようと先輩の2倍速く手を動かしながら、
”無観客ライブか・・・”と少し関心を寄せた。


「あ、ねぇ聞きたかったんだけどさ、去年の12月に大阪のホテルにSNOWMANが泊まりに来ていたことがあったんだけど、知ってるよね?
調べたら、扱い者が本田さんになってたんだけど、どういう事?」

”あ、話題を間違えたな”
しくじったと思えば思うほどに顔が引きつり、手も止まりそうになったが、平然を装った。


「あーあれですね。あれは、SNOWMANのマネージャー?と仲良くしていて、前日に助けてくれって連絡が来たんです」

コロナ禍になって一番有難い事は、顔を半分以上隠せることだ。
目だけを泳がせないようにして、先輩の顔を真っすぐに見ながら話した。


そうなんだ、と納得されるまでは良かったが、
マネージャーと仲良いんだったらSNOWMANに会えたりしないの?どうなの?

と質問攻めをされ、先輩に嘘を付く後ろめたさからか
「いや、私がSNOWMANと会えていたら、ライブの話とか知らない訳ないじゃないですか」
と口の渇きが無くなりながら、無理やり終わらせた。



あの日、喫茶店で阿部さんと会った日の17時過ぎ。
ストラップとブレスレットを頂いた後すぐに「もうこんな時間か」と彼は慌て始めた。

「来週、目黒の誕生日でさ、俺買い出し担当なんだよね」
そう言いながら彼は話し続けた。

「佐久間とラウールとどれにするか決めるんだけどね、ずっと話し合ってるのに決まらなくて、今日もきっと決まらない・・・」

そう笑いながら話す彼を見て、良い関係性なんだなと実感し「良いもの見つかると良いですね」とだけ言っておいた。


「うん、ありがとう。ごめんね、最後が早足になって」
そう申し訳なさそうに、でもどこか満足げににこやかに笑う彼を見て、私も満足した。

「とんでもないです。頂いたこの2つ、大切にしますね」
とストラップとブレスレットを両手に持ち、彼に見せながら、もう一度「ありがとうございます」と笑いかけた。



「こちらこそ、ありがとう」


その一言だけ、相変わらず可愛いと思わされる様に伝えられた。

一呼吸置いた後、彼は「ほんとごめん、急ぐから先行くね」と余韻も残さず、店から出て行ってしまった。

お会計は私がお手洗いに行っている時に済ませてくれていたらしく、
「代金は要らないから、亮平のファンになってこれからも応援してやって」とオーナーに言われた。

御馳走様でしたと頭を下げると、また来てねと、阿部さんに似た笑顔でそっと伝えられ、私も伝染して笑ってしまった。



店を出て、喫茶店の扉をゆっくり閉めようとした時に気づいたことがあった。


〈本日貸し切り〉


扉と同じ木彫の看板が入口の右手に置いてあった。

”私が着いたころには置いていなかったと思うけどなぁ・・・”
そう思いながらも、だからお客が私達だけだったのか、と納得させられた。

何故貸し切りにしたのかは分からないが、おかげで声を落とすことなく私達だけの世界を楽しむことが出来た。
これがもし阿部さんの計らいなら、最後まで素敵な人だったなとしみじみと思った。



あれからというものの、
4月からSNOWMANのレギュラー番組がスタートし、それだけは毎週欠かさず録画をして見るようにしている。

電話越しに「お姉ちゃんもファンになったんじゃない?」と妹に言われたが、
「貴女みたいにファンクラブに入るほどでは無いし、違うかな」と、冷静に返答した。

SNOWMANや阿部さん、というワードが脳を過る度に鞄に括り付けてあるストラップを見ていた。


”連絡先は消したほうが良いのか?”と思ったが、
消しておいてとも言われていないし、悪用することも無いし、
念のため阿部亮平ではなく「嵐のストラップ」と登録しておき、

ブレスレットはというと、
いつ再会しても「付けてますよ」と言える様にする為に、会社に付けて行くようにしていた。




私達は結局、次会う約束などはしていない。

握手をすることも、手をつなぐことも、肩を並べて歩くことも無かった。

ただ、一緒に喫茶店でカフェラテを一杯飲んだ。

それだけの仲で終わった。


もう私たちは会う事が無いだろう。

きっと貴方はこれからもっと忙しくなるだろう。

世界に通用するアイドルになる為に、日々奮闘されることだろう。

私と貴方はたまたま出会い、偶然が重なり、連絡先まで知ることが出来たが、
これを私から使う事は無いだろうし、貴方ももう使う事は無いだろう。


もしあの交差点で見かけられても、声を掛けられることはないだろう。

時が経てば、忘れられる存在になるだろう。


それでもかまわない。

ぜんぜんかまわない。


貴方が私に見せたあの笑顔がこれからも消えることなく、
これからもずっとずっと活躍して
幸せそうに、にこやかに笑っている姿を画面越しに見られるだけで、私は十分だ。



でも、いつか。
いつか、言えることが出来たら良いなと思っていることがある。


「私、いつの間にか阿部さんの・・・」








チョコレートに牛乳



はーい、終わりました。
読んで下さった方々、ありがとうございました。
友人からの指摘で知りましたが、こういうのって「夢小説」っていうんですね。
やべーな。


本文にコロナ禍について宿泊業界がどう、とか触れましたが
実際のところ全く知りません。
若干は耳にしますが、働いていないので、実際の実情を知りません。
無責任なことを書いている場合があります。
すみません。

また、「扱い者」という言葉が出ていますが、
簡単に言うと、予約をしてくれた方をホテルに紹介した従業員ってことですね。




今回は文中に、目黒蓮くんとラウールくんが出てきました。

目黒くんは、SNOWMAN傍ら、モデルを熟す184センチくらいの身長の持ち主ですね。
本物のおバカ×物静か×国宝級イケメン男子って感じですね。
ザリガニ釣りとか虫取りとか好きで、最近の都会の子にしては珍しく、個人的に好感度抜群。
教場とかのドラマにも出演されてます(まだ見てない笑)
ちなみに、目黒君はちゃんと2月生まれです(調べました)


ラウールくんは、SNOWMAN傍ら、現役高校生。
身長が187センチ?らしく、ジャニーズ1の高身長です。
ベネズエラとのハーフで、あんなに金髪が似合う子なかなか居ないですね。
SNOWMANの中では断トツの年下で、メンバーに可愛がられてスクスク育ってます。

相変わらず佐久間さんが出てきていました。
いつも友情出演ありがとうございます。笑
阿部さんと仲が良い、アニメオタク兼SNOWMANの佐久間大介さんですね。
アニメ映画で主演声優をされるほどの良い声です。


あとSNOWMANには岩本さんと深澤さんと向井さんが居ますが、
まぁ、彼らはもしエピローグ的なのを書いたら出演してもらいましょう。
(書くかどうかは決めていません)



ーお知らせー

4月から「それSnowManにやらせて下さい」が
TBSさんにて日曜日の昼間に始まります(放送されない地域もあります)

まだTBSの公式サイトに出ていないので、Paraviのバージョンですが・・・。

残念ながら、私は放送されない地域ですので、見ることが出来ませんし、
Paraviも契約していないので見ていませんが笑


ーお知らせー

本文にライブDVDの話がありましたが3月に発売されています。
もちろん無観客ライブです。
彼らが彼らのDVDを見て「おおおー」とか言ってる動画は見ましたが、
実際にDVDは見ていません。笑

売り上げが、ミリオン達成したCDの様に、伸びると良いですね。




お疲れ様、私!
出演ありがとう、阿部くん!笑
前も書いたけど、
ドラマや映画に俳優としても出演されていくこと願ってます!!


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