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"好き"を公言する難しさ

私は"好き"を公言する事が苦手である。

「趣味は?」
「何の食べ物が好き?」
「どの芸能人が好き?」

学生のころ、よくこういった質問をされた。
その度に悩んでいた。

"好きなもの?"
"それって自分で決めて良いの?"

幼少期から
"女の子が青色や水色が好きなんて。赤色やピンク色を好きになりなさい"
"女の子なら、髪を長くして花柄の服を着なさい"
"漫画やアニメが好きなんておかしい"
と、好きなものを否定されては、女の子の常識を押し付けられきた。

まぁ、きっとこれが
私が好きなものを好きと言えなくなった最大の理由だと思う。

幼少期なんて、身近な大人の言ったことは全て正しいと思い込むしか無くて、
でも、どうしても気に食わなくて。
"大人の女性と同じ様に思わない私はきっと女の子じゃないんだ。
私はもしかしたら男の子なのかも知れない"
と、小学校卒業するまでは思っていたと思う。

そんな頃の私は基本的にこう言っていた。
「あの人かわいいね」「これ美味しいね」

たまに、「これ、好き?」と聞かれると、
「え、うん。好、き。」
と、戸惑う。
そして、その"好き"は虚無感や、言わされてる感のある好きに変わってしまっていた。

私の記憶によると、中学生の頃は"やまぴーが好き"なんて言ったこと無かったと思う。
まして、好きという言葉自体、一番にしか使ってはいけないと思い込んでいて
誰に対しても、何に対しても、好きとは言うと否定されると思っていた

"そうじゃ無いんだ"
"好きって思うのは自由なんだ"
と学んだのは高校生で、
「私、一番好きなのはやまぴーだよ」と
やっと、昔から好きだったと言った時、凄く緊張して、
私もだよ!といった普通の反応をされた事に対し、
初めて心から落ち着いたことを覚えている。



それを知って、頭で理解しても、いざ"好きなもの"を口に出すのは難しかった。
それは、みんなから否定されるかも知れないと常にどこかで思っていたからだ。

好きなものを公言するのが難しかった私には、
大学生の頃、2年間片思いをした男性が居た。
今となると笑い話で、でもあの気持ちを持ち続けられた私は、
あの時一番"好き"という感覚と向き合っていた
まぁ、結局、告白する事もなく、
その相手に対しては恋から友に変わった事に対して、今では心から良かったと思っている。

一番困った事は、異性から告白をされた時だった。
"私はこの男性を好きなのだろうか?"
"自分で決めて良い事は分かるけれど、この気持ちはみんなの言う好きなのか、友情なのか?"
それが分からず、周りの意見と感想を聞きまくった。
「あの人の事、どう思う?」

誰かが肯定してくれないと、認められない。

ずっと、その感情がまとわりついた。


そんな私が

肯定されなくても、良いのか。

そう府に落ちて感じたのは、海外に一人で旅行を決めた時だった。

ずっと行きたかったし、やりたかったが、
どうしても、ずっと言い出せなかった。

それを踏まえても、きっと
「え、すごい良いじゃん。行って来なよ。」
と肯定してくれるだろう、英語好きの同期の戦友が居た事が大きかった。


「ちょっとタイに行ってこようと思ってる」
そう打ち明けた時、その戦友はすぐに賛同して、付け加えた。

「周りはなんて言ってくるか、だいたい想像付くけど、
貴女がやりたいと思ってるんなら、あたしは応援するし、
周りがなんと言おうが、自分のお金で自分の時間で行くんだから、良いじゃん。なにが悪いの
楽しんできなよ。お土産よろしく。」

そうか、確かに。私の、私が稼いだお金だ。
誰が否定しようが、
私がやりたいと思ってるし、
私が決めた事だから、きっと大変な事でも楽しめるはず。


その旅が要となり、今ではなるべく好きな事は言うようにしようと決めた。
と言っても、すぐに好きになるものは無く、数年が経った頃、

「私、ジャニーズWEST最近好きなんですよ」
と言えるほど好きなものを見つけた。

そんなことを言うなんて、昔の私なら有り得ない。

ただ、好きでも、その事にお金を費やしたいと思った事がない為、
ジャニーズショップに行きたいだとか、グッズを買いたいとか、には走らない。
好きだけど、お金は使えない。
使わない、じゃ無くて、使えない。
いや、使い方がまだよく分からない、が正しいだろう。


「好き」って感覚が分からなかった訳ではなく、公言する事に対して
周りが思う以上の只々ならぬ怖い思いがあった。
「嫌われるかも、知れない」
そう思うのは普通、何気に接する時の応対であったり、価値観であったりするが、
私は好きなものを公言することだった。

今となれば、もうそこまで恐れてはいない。



もしかしたら、
「いや、あんた、よくあれが好き。とか言ってたよ」
と言われるかもしれないが、
本当に好きなものに対しては打ち明けた事が無かったから
もし、そうなのだとしたら、どうでもいい対象物の好き嫌いだろうな、と察する。

きっと、こう言うこと全てが、
「あんたは変わっている」と言われる一つの理由かも知れない。




世の中には、自分の本気で好きなものを打ち明けられない人も居るのではないか、と思う。
ネットで検索したら分かるが、こういった"好きを言えない子供"は、少なからず居て、
私と同じように、すぐにその感情は消えるものではなく、
そして、その事を打ち明ける事はなく、
何で言い出し難いのか、と悩みながら生きているらしい。


もしいつか、私に子供が出来たら、
それが好きなのか、嫌いなのか、と
一人の人間として
一人の個性として、
見ていきたいと思っている。




チョコレートに牛乳

→noteのハンドルネームを決める時、好きなものにしようと決めたので
この組み合わせは一番好きなものです。
プロフィールに並べてある単語も、書く事を決めたので初めて書きました。
私の昔から持っているTwitterやInstagramには、やはりそういった内容は書いてありませんが
今年から始めたnoteにはきちんと公言してあります。

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