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友人に起こった出来事~伴侶を亡くすという事

高砂の「お前百までわしゃ九十九まで、ともに白髪のはえるまで」は
夫婦がともに仲良く、長生きする事を意味している言葉ですが
この言葉には二通りの意味があるようで
これまではお前とは妻の意味であり、わしゃとは夫の意味で妻は夫より後に逝った方が妻にとっても、夫にとっても良いのだと言う意味と思っていましたが、諸説あるようで
お前とはお前様と夫をさし、わしゃとは私の意味で妻をさすというもう一つの意味もあるようですが、どちらにしても、縁あって一緒に長い事人生を歩んでいきたいと思う事を言い表している事には間違いがなさそうです。

夫婦同時に逝く事は無いとはいえませんが
ほとんどの夫婦はどちらかが見送る立場になってしまいます。
どちらもそれなりに苦しい経験をします
私の夫を亡くした立場からは二年たってもまだ夫とこの数日前まで一緒に居た様な気さえします。
日常に使っている引き出しを開けても夫の物があの頃と同じままそこにあります。
月命日にはお墓に会いに行きます。
そして、二回目の命日を迎えようとしていた先日、三回忌法要の為にお墓を掃除に行きました。

掃除を始めた所で携帯電話が珍しく鳴り響き手袋を付けていた私はすぐには出られませんでした。誰だろうと思いながらも後で折り返そうと思い、掃除を続けていたら、また、けたたましく鳴りました
何か急ぎなのかと電話を手に取りかけようとすると今度はラインが鳴りました 見てみると誰かのライン宛先と間違えたのか、私に連絡を入れる様に伝えてほしいと、頼んでいる内容でした
最初は何の事かすぐには理解できませんでしたが
とにかく折り返し電話をかけると、急いで電話をしてきた割には 
「ああ‥‥。あのね‥‥。」と急いでいる様子は無かった
「○○君のね(夫の友人)‥‥奥さん 亡くなったって」
‥‥。
‥‥。
えっ?
何で?意味がのみ込めなかった
瞬間に えっ?病気してたっけ?事故?奥さんておばあちゃん?
いや、もう亡くなっているはず
色んな事が頭を駆け巡っていた
「仕事中に倒れたらしいの」
「脳溢血みたい」
「見つけるの遅かったらしいの」


「そうなんだ‥‥。」
その後は、詳しい連絡はあとで教えてくれるとの事で電話を切った
亡くなった彼女の事も頭に浮かんだけれど
取り残された夫の友人の○○君の事を思った
辛くて悲しんでいるのだろうけれど
多分今は身体から血も涙も感情も何もかもが抜けて行った気分なのではないかと思った
私の夫も、行ってきますと出かけて、1時間半後には意識を亡くし命が無くなった、不謹慎だが最初にその頃の自分を思い出して苦しくなっていた

飛んで行きたかったが
このご時世皆も遠慮した方がいいとの事だった
かろうじて、お通夜にはほんの少し顔を見る事が出来たのは良かった

私は女なので男が残された気持ちは想像でしか判らないけど
お通夜で私の顔を見た時、「今、○○ちゃん(私)の気持ちよくわかる」とポツリと言ってきた
何も言葉が出なかった
でも、言葉で声をかけられない方が私はよかった、あの時は
慰めの言葉よりただ、黙って肩に手を添えてくれるだけの方が良かった
だから私も彼の腕にそっと手をかけた‥‥
俺は大丈夫だからと気丈に答えた
胸に鉛が詰まったような感触を思い出しました

家に帰って夫の写真に何で突然置いて行くのよ!と怒った口調で言ってしまいました

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