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仕事道具の一新



2023年は仕事道具を大きく一新する年となりました。

夏のオーダーメイドスーツ制作から、秋のニューコスチューム、リングシューズ発注。新しいMac、新しいカメラと自分が仕事をしていく上で必要なものを沢山買いました。

お金はかかるから自分の予算感と照らし合わせて、慎重かつ大胆にならなくては重い腰は上がりません。それでも買えて良かったんだと今は思えています。

レスラーの中にはコスチュームや衣装などを後援している個人や企業、または団体からの提供を受けるといったケースが少なくありません。これまでそれを羨ましいと思ったことも何度もありましたが、自分のお金で買うことは自分にとって納得のいくものに仕上げようとか、責任とか気持ちが前のめりになる表明が出来ている感じがしていい。その部分は自己プロデュースが出来る一面でもあります。

誰かに提供してもらう衣装がどれだけゴージャスな一品でも、身の丈に合っていなかったり、自身のキャラクターやファイトスタイルとのズレがあるとかっこ悪いなと私は思ってしまいます。それだけ自分自身のことを把握することには時間がかかる作業です。今日まで時間がかかったからこそ「俺はこれで行く」というスタンスがハッキリとしてきました。

やや露出が高い衣装にすることで、それだけ「トレーニングに対して妥協なく取り組まないと似合わない!」と思えれますし、収縮性のある衣装でなければカラダが大きくなった際に着れなくなってしまいますから、そうした意味も込めて自分の願いや意志が宿っています。半裸で四方の観客から見られる快感を積極的に取りに行かないとと思えます。

一時「ロングタイツにしようかな…」と漏らしたら「今成さんは短いのにしないとダメよ!」と宣材を撮ってくださる男性カメラマンの方に言ってもらえました。沢山のレスラーを定点観測しているからこそのご意見で素直に聞き入れてよかったと思います。

パソコン、カメラも5年前に比べてかなり下調べをして購入しました。今思えば5年前は下調べが浅かったです。まだそれがメイン機になるという気概が弱かったのかなと思いました。

一方、今回は「これで食べていくんだ」という思いや「自分の実力や用途に比べて価格や機能がオーバースペックになっていないだろうか?」と自分にとって身の丈に合うちょうどいい道具探しをしました。YouTubeのレビューだけでなく、詳しい人にも直接ご意見を伺ったり。実戦で使っている人の話を聞いて購入が出来ました。なので、納得と満足感を道具を使用していく度に強く感じています。

カメラとパソコンについては軽量かつ"ワンオペで仕事がしやすいもの"が自分に合うものでした。三脚だけが重さが課題なのと、物質的に嵩んでしまうので、もっと軽量でしっかりと持ち運びしやすいものをずっと探してはいます。

カメラもX-CONの仕事をしていなければ「この機材がスタンダードなんだ」と思わなかったかもしれなかった。積極的に違う世界を覗こうと思わなかったら「これが必要なんだ」と思えれなかったかもしれない。フリーランスになったことで、知れた一つの結果なのだと思います。

道具にこだわりが欲しくなったのは自分自身の価値の更新もそうですし、それだけ職人になってきたとの思いがあります。

『情熱大陸』なんかを見れば料理人は一定のルーティンがあり、また特注で頼んだ道具を使ってこだわりの味を作っていることが分かります。観ていて僕がそうしたものに惚れ込んでいるのは面白さと同時に、そうなりたいという願望も込められているからかもしれない。

『情熱大陸』に出ていた香川のうどん職人が膝サポーターをつけているのは面白かった。うどんを脚で踏むため、膝を支えるための膝サポーターが必要。その所作がほぼレスラーのようでした。私も膝サポーターをしてます。ない方が美しいし、動きやすいかもしれないけど、菊タローさんが「膝サポーターをすれば防げる怪我もある」と言っていて、しっかりとヘビーなサポーターをするようにしています。キャリアを重ねている人のご意見を自分に取り入れているのは菊さんの"長年の経験による声"が切実なものだと感じられたからだと思われます。菊さんと身長も同じくらいですから大いに参考にすべし!と思えれました。これも大事な仕事道具であると思います。

あとどれも「欲しい」という渇望する欲求が自分の心の泉にあったことも大きいです。自分の欲はなんなのか、自分は何が欲しいのか。それを整理していくと欲しいものが仕事道具だったのが自分でもびっくりでした。「欲しい」という欲は仕事のためであって、仕事に欲がある。もっというと仕事の先に得れるものに自分の欲がある。自分自身の達成感、お金、お客さんに喜んでもらえること、社会に影響が出ることetc...

今は大きな会社から、小さな個人までお付き合いをしていくというスタンスをとっていて、その先に見えるものの違いや、逆に共通するものを探って行きたいとの思いがあります。

つまり「仕事を通して自分の自己実現や、叶えたいことがあるんだ」と思いました。

そこの軸を整理するとカメラやMacをリニューアルするのは「作品を作りたいから」ですし、何故作品を作りたいのか?ならば「言いたいことがある、伝えたいことがある」になる。これがなければフリーランスになる必要はなかったわけだし、社用の機材を使って会社の映像班のままでよかったわけですから。

衣装の購入は肉体の変化という理由が大きく、「肉体を変化させたい、筋肉を大きくしたい、それで表現をしたい」という動機に繋がっていっている。パワーを付けたいと思ったのはヒョロヒョロだった自分へのコンプレックスの裏返しかも分かりませんが。トレーニングも底が知れません。違う刺激を入れなければ筋肉の成長は停滞します。違う刺激を入れるためにどんな方法が取れるのか。YouTubeなどを見れば沢山紹介されていますし、日々更新されていっています。

"成長のためには違う刺激を入れる必要がある"

というトレーニーの発想は普遍性があり、何もトレーニングのことだけでなく、違う場面でも活きると感じています。そのためにはトライ&エラーを恐れず実践することが大事との結論に至っています。体格や骨格は一人一人違うもので、練習方法は皆と同じである必要性はないということを飯伏さんがよく言っています。ならば何が自分のパフォーマンスを高められる練習なのかを常日頃から考えて、試していく必要があると考えています。これもまだ発展途上です。

映画を観続けているのは好きで観ている以上に習慣化しました。学生時代に映画監督になりたくて年間300本から500本近くは観ていたのではないでしょうか。

優秀な学生に囲まれ、何度も打ちのめされて「自分には何もない」と気付いてからのことでした。

「バケツの水が溢れるまで映画を観た方がいい」とヲノサトル先生の助言に従いました。先生は音楽家でありながら、映像論の授業も担当しており、とにかく面白い授業でした。

先生が「今成君にはこれだろう」と『男たちの挽歌』のVHSを貸してくれたことは原体験の一つです。先生は僕の根源的にある好みや、資質を引き出すためにその世界観の強い映画をオススメしてくれました。

よくオススメの映画はありますか?
と質問を受けますが、その人に対してはしっかりと問診が必要で、どんなものが好みか、何を必要としているかをクリアにしなければならず、とても難しい質問だと思います。

なので答えはなく、年間300本くらい観たらええがなとも思います。それくらいしないと色んな作品があることも知れないし、好みの作品がなんなのかも分からない。好みしか食べなければ、他のジャンルの面白さも気づけない。私の好みがあなたの好みと合致するわけではないから、やっぱりわからない。気になる監督を見つけて、芋づる的に他の作品を観てみることをオススメしたいけど、それだと「オススメ1本」とはならないわけだし。オススメされたら答えるけど、私の好みとか感性の中でしか答えられないから正解ではない。

こうやって書いていくと何より大事なのは「素直なこと」と「トライをしてみること」だと感じます。その中で合う、合わないの判断をすること、積み重ねていくことしかないのかなと感じます。

そして仕事道具に拘るのは"素直さとトライ"の結果が合わさったもので自分の渇望の表れだとも思います。より良いパフォーマンスや、より良いルックを獲得したいとの思い、そして時代や市場を照らし合わせていくのが大事との思いが強いです。

レスリングも映像も私にとって欠かせません。
二足の草鞋だからこそ、どちらかだけではなく、どちらもしっかりと自分のスタンスやスタイルを明確に提示出来るようにしておきたい。

仕事道具を一新したことで、引き続き頑張りたいと思えています。

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