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本当の『決める』

新しい場をつくることを決めた僕は準備室を立ち上げた。数ヵ月に渡っていろんな人と対話をしてやりたい事を集めた。出てくるアイデアは面白いものがたくさんあり、新しい価値が生まれるようにするにはできるだけルールを作らない方がいいような気がした。


日本社会は便利や効率を求めて細分化されてきた。上手くいってる時はいいが、一度レールを外れるととたんに孤立し社会課題が生まれる。様々な社会課題があるけど本質的な原因は社会の分断にあると感じていた僕は、みんなでつくる空間の壁を全部取っ払うことにした。


壁もなくみんなで混じり合って新しい価値を創っていく。場はつくるけど今の時点で何をやるかは決めない。


みんなでワイワイ未来を語っていると、子連れで働きたいと妊娠9か月で入社する人も現れた。動くといろんな結果に繋がる。まだ場も出来ていないのに子連れで働く人が決まった。


アイデアを膨らませるのは面白いが、現実的な事も同時に進めていかないと物事は実現しない。レイアウト、工事のスケジュール、不動産の契約など決める事は多々あるが一番困難だったのが資金調達。


1,500万近い設備投資をするのに具体的な収益プランなどを大して詰めずに交渉していたのだから当たり前といえば当たり前。応援することを決めてくれた京都信用金庫と日本政策金融公庫には感謝しかない。


これから始まるであろう事を妄想するとワクワクするけど、具体的な日程が近づくに連れて息苦しさを感じるようになった。また大きな借金を背負うことになるし、返していくプランもきっちり決めていない。


今ならまだ引き返せるかなと毎日考えるようになった。この頃の頭を割ったらワクワク1割、不安9割くらいだろうか。工事はもう始まるし、1桁違う家賃の支払いも始まる。既に色んな人に関わってもらっているし、今さら逃げることもできない。


覚悟を決めて契約書にサインをした。サインをするとこれまでの不安はどこかに行き、なぜかすごくスッキリした気持ちになった。


まだ何も始まっていないけど本当の意味で進むことを決めた気がした。

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