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あなたがネガティブなのは性格のせいではない。前向きになるのは技術だ。

“「質問」が思考をつくる”という考えに出会ったとき、ぼくは衝撃を覚えた。
なぜなら、日常すべての思考、行動には自分自身への無意識の「質問」があり、その「質問」が自分の視点、考え方、行動を支配していていることを発見したからだ。そして、“意図的に”質問を変えることで、見える世界が変わり、思考が変わり、行動が変わることを実感したからだ。
会社の新人研修で出会ったこの本、
新版 すべては「前向き質問」でうまくいく』(の旧版)に心と頭を揺さぶられたのを今でも覚えている。

朝起きて、着る服を選び、ぎりぎりの電車に乗るのに走る…そういった日常の行動から始まり、仕事の課題や置かれた状況でどう考えるかという時、実は自分に対して「質問」をしている。
何時に起きるのか、何を着るのか、どの電車に乗るのか、さらには直面した問題や状況に対して、なんでこうなったのか、どうして自分は選ばれないのか、なんであの人は協力してくれないのか、どうしてわかってくれないのか…そういった自分への「質問」がその後の考え方や行動を方向づけているのだ。

たとえば「なんでこうなったのか」という「質問」は、ネガティブな思考を加速させる。ぼくはこうしたのに、ほんと最悪、あいつはああなのに、なんで自分だけ? 意味わからない。納得いかない。
そんなとき、すこしだけ「質問」を変えてみる。
「だったら、なにをすればうまくいくだろう?」
すると、今まで内側へ沈むような視点が、少しだけ外に向く。主語が「自分」になる。置かれた状況を少しだけ客観的に見ることができる。足踏み状況から、一歩先に進める。

「どうしてわかってくれないのか」という「質問」も同じだ。「どうやったらわかってもらえるのか」とほんの少しだけ変えれば、あ、あいつはそうしているな、あの人はそうすればいいのか、自分はこれができていないな、と少し考えが前に進む。ちょっと胸が痛いけど、暗い中から這い出た気分になる。行動を変える方法が思い浮かぶ。

「質問」に意識的になったとき、ぼく自身はネガティブな性格だと思っていたけれど、それは性格ではなくて、自分に対して、ネガティブに進む「質問」が多かったのだと発見した瞬間だった。
問題に直面したとき、同じように「なんでこうなったのか」「どうしてわかってくれないのか」とよく考えていたし、「どうして自分はダメなんだ」「どうして自分はミスばかりするんだ」という質問をしていた。自分自身を苦しめ、前にも進めない状況にする「質問」だった。
ネガティブに考え、自分はダメなヤツと考えることが、そう発言することが、その場をしのぐ手段だったのかもしれないし、それによって同情や助け、優しい一言を求めていたのかもしれない。いつの間にか思考のクセとなっていて、ずっと心と頭を支配していた気がする。

「質問」が思考や行動を変えると知ったとき、すごくうれしかった。自分自身の思考のクセや感情を客観的に見ることができるようになったからだ。置かれている状況がまるで違って見えて、そして、自分自身の力で、前に進むことができるとわかったからだ。

スティーブ・ジョブズが「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」と毎朝自分に問いかけていた、というのはあまりにも有名な話だ。それは、そう質問することによって、今おかれている状況、優先すべきもの、自分が本当に求めているものを意図的に考えさせる習慣だったのだろう。
また、書店に並んでいるロジカルシンキングやフレームワークの本というのは、考えを進めるための「質問集」のようにも考えられる。自分が持っていない「質問」の枠に沿って考えていくことで、思考を進め、より具体的に、より正確に問題を把握できるようになる。

ジョブズの話や、フレームワークを自分の頭に入れるのと同じように、自分の中に立ち止まって考えるための「質問」をあらかじめ用意しておけば、そのたびに、視点を、思考を、行動を変えられるのではないのだろうか。

「質問」は、人と話しているときも、議論の場でも同じだ。
「それは無理じゃないの」「状況がわるくないですか」ではなく、「どうやったらできますか」と質問を変えれば、できないこと探しから、実現に向けた議論へと加速する。
「どうしてできないんだ」「なんでそうしてくれないの?」と責めるよりも、すこし立ち止まって「どうしたらできるようになるのか」と聞けば、一緒に解決に向かうことができる。

この本では、自分への「質問」、他者への「質問」に意識的になること、そしてその「質問」を変えることで視点が変わり、出される答え=考え方や行動が大きく変わるということを物語風にわかりやすく説明している。質問に意識的になることの重要性がよくわかる。普段、自分自身がどのように考えているかを自覚させるし、前に進むための「質問」をする方法も詳しく書かれている。いつでも読み返すことができる「質問集」としても活用できる。
この本のメッセージは強い。

自分になにが起こるかは必ずしも選択できないが、起きていることに対して自分が何をするかは選択できる

こんなに勇気づけられる本はない。
今この瞬間、この場所から前に進むために必要なのは、ほんの少し自分への質問を変える技術なのだ。

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