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僕がコーヒーの発信をする時に意識していること

僕は、コーヒーの魅力をできる限り伝えたい、コーヒーを楽しむ人を1人でも多く増やしたいと、そんな思いで8年前に東京でコーヒー屋をはじめて、今までずっとコーヒーのことを発信しつづけてきました。

コーヒーは嗜好品、と良く言います。その意味は、好みは人それぞれだから仕方ないよね、ということでは決してなく、好みが生まれるほど熱を持てるものだからこそ伝えがいがあったり試す価値がたくさんある、ということだと思います。

とは言っても、今はこれが好き、今はこれが苦手、といった好き嫌いはどうしても生まれるのがコーヒーの良いところでもありつつ、伝え方の難しさでもあります。

好みが分かれるコーヒーだからこそ、伝えるときには工夫が必要です。
今日は僕がこれまで、失敗しながらもやってきた、コーヒーの発信をする時に意識していることや気を付けていることを書いてみたいと思います。




他を下げて表現しない

まず一番に、自分の好みのものや伝えたいものを持ち上げるために、そうじゃないものを下げて発信しない様に気を付けています。

例えば、これはものすごいよくあるパターンなんですが、コーヒーの好みでは浅煎りと深煎りといった、焙煎具合によって味わいの好みが大きく分かれます。色んな素材によってのアプローチ、好みが生まれるのがコーヒーの良いところなのですが、場合によっては、浅煎りは酸っぱくて美味しくないから深煎りの方が良い、とか、深煎りは苦いから浅煎りの方が美味しい、みたいな、他を下げる表現が生まれてしまいます。

今となってはここまで敵対的というか、攻撃的な表現はほぼほぼ見かけないですし、こんなこと意識しないでもできそうです。でも細かいところで、その嗜好を良いと思っている人が否定されて傷つき得る表現が、意図せずとも生まれてしまうことがあります。

絶対に常に意識したいのは、それを好んでいる人がいるかもしれない、という視点です。そう意識するだけで、本当に伝えたいことが誤解なく素直に伝わる様になるはずです。そしてそもそも、SNS上での表現にみんな慣れて感度も高くなっているからこそネガティブな表現も伝わりやすくなっていて、他を下げた表現ではもはや自分が上がっているとも見られません。



ポジティブだけ伝える

誰も傷つかない表現をずっとし続けるのは、誰にとっても難しいことだと思います。だからこそ、基本的に人の好みに関わることを伝えるときは、ポジティブな部分だけを伝えるのが一番ストレートで良いと思います。

このコーヒーはこんなところがいいんだよ、美味しいんだよと。他と比較しないでただ魅力を伝えることが一番シンプルに良さが伝わると思います。好きっていう気持ちを表すのに、他を否定する必要なんてないんです。

もし比較するとしたら、できる限り事実の表現にしていきたいです。


客観と主観を分ける

事実の表現と言ったのは、好き嫌いという感情ではなく、確かな情報で比較したり表現するという意味です。


例えばわかりやすいNG例ですが、

エチオピアのコーヒーはグアテマラのコーヒーよりも美味しいです

と書いた時、グアテマラのコーヒーが好きな人にとっては「いやいやそんなことないだろ」って思います。というか情報として間違っています。でもこの筆者にとってはエチオピアのコーヒーが美味しく好みだと感じたのも事実でしょう。だからこそ、事実として納得してもらえる情報が必要です。


このエチオピアのコーヒーは華やかな風味が感じられて普段飲むグアテマラのコーヒーより自分は好みでお勧めしたい

こんなふうにして、良いと感じた理由を書きたいです。しかも、そうじゃないエチオピアのコーヒーもあるはずなので正しく「この」と特定したり、グアテマラも同じく「普段飲む」と補足したり、お勧めする理由も「自分は好みで」と主観であることを加えています。でも仮にこの表現が店によるものだとしたら普段のコーヒーを否定するのもよくわからないので、そもそも比較することがふさわしいのは、どちらもいい場合どちらもお勧めしたいが違いを書きたい場合、なのだと思います。


こんな細かく書いてたらなんか国語の授業みたいで嫌ですね。笑 個人としての感想なら別になんでもいいと思いますし、ただの呟きなら問題ないことも多いですが、例えば店とか会社とかサービスの当事者としての発信であれば、客観的にそうなのか、主観としてそう感じたのかは分けて、できる限り正しい情報として納得してもらえる文章になるように心がけたいです。


主観と客観をテーマに過去にこんなnoteも書きました。



クセポイントを見極める

全員にとって気持ちいい表現なんて、言い換えると味気ない刺さらない文章にもなってしまいます。そこが本当に難しいところなんです。

ちょっと毒や変態性があるから面白い表現や、良いクセのある表現になったりしますよね。でもそれがあからさまに攻撃的だったり差別的だったりすると本当によくない発信になってしまいます。こうした発信などで炎上してしまうパターンもよくありますよね。動画やライブ配信での発言の方が、後で添削できず誤った発信も生まれやすいですし、切り抜きなどで偏って伝わってしまうこともあります。


当たり障りのない表現じゃなくて、面白い表現になるために、人の感情を出すということが僕は1つ大事だと思っています。

こんなこと自分で書くのは恥ずかしいことなんですが、客観的に自分を見ると、僕は単純にコーヒーが美味しいよと伝えるだけではなくて、「本当にコーヒーに狂っているんだな、好きすぎるんだな」と思われるくらい、コーヒーを発信していると思います。

そこにその人らしさ、キャラクターが入ることで、面白い、共感できる発信になるんだと思います。キャラクターは正解なんてなくて人それぞれ。どんなことを思っているのか、「人」だからこその感情があると、きっと良い意味でのクセがある表現になっていくんだと思っています。


毒を吐くにしても、毒の対象に問題がないかをみて、表現として主観的な表現になっていれば、使っていけると思います。例えば自虐なんてまさに他の人は傷つかないけど、クセや面白さがある形の1つですよね。

なんか最近のM-1で人を傷つけない様なお笑いがどう、とか議論されているのに近い話になってきましたね、何の話をしていたんでしょう。笑


どっちだけになってもつまらないし、でも嫌な気持ちになる人は生みたくないし、でもやりたい表現はしたいし、なんとも難しいところですよね。表現に関わるあらゆることが持っている課題なんだと思います。



できる限り具体的な表現にする

もう1つ、コーヒー以外のものでもあるかもしれませんが、曖昧な表現を避けたいと思っています。

例えばすごい広い言葉で言うと、「良い香り」とか、「美味しい」とかっていう表現も、どんな香りなのか、美味しさなのかがいまいちわからず、魅力が伝わりきらない形になってしまいます。

飲みやすいとか、バランスが良いという表現も場合によっては伝わりづらい表現にもなってしまいます。個性がなくてまとまってるバランスの良さなのか、酸味や甘味や香りといった各要素1つ1つが素晴らしくあるのに尖りを感じず丸みを持って楽しめるのか、同じバランスという言葉であっても伝わる情報は読み取り方や文脈で変わってしまいます。

表現の好みは分かれるところかもしれませんが、同じ様な曖昧さ回避のために、僕は「コクがある」という表現も使わない様にしています。人によってコクの捉え方も違って、濃度を連想する人も、旨味を連想する人も、質感の重たさを連想する人もいたり、また色んな要素が複雑に合わさっての表現なのでピンポイントに美味しさや魅力を表すにしては淡い表現だと思ったからです。

コーヒーの世界では、りんごを絞った様な果実感とか、後味に感じるチョコレートの様な甘さとか、ジャスミンの様な香りといったように、何かに例えて表現しているのも、できるかぎり具体的に魅力が伝わる様に意識してのことです。

伝わればいいので表現にルールなんてなんにもありません。本当に自由でいいんですが、僕も「この美味しさが面白いんだ」と詳しく伝えたいときは具体的に言葉を書く様にしていますし、逆にあえてテンションと熱量を伝えたい時に「うまい!!」とだけ書くこともあります。笑



見返す

出す前に必ず確認。上で書いた様な、人を傷つける表現や曖昧で魅力が伝わりきらない表現がないか、もっと言うと重複した表現やおさまりの悪い長い文章がないかなど、一度見返してから出す様にしています。

読者の気持ちになってみると「これは嫌に思うかも」と、意図していなかったよくない表現に気づくこともあります。何でも、確認って大事ですね。



さいごに

こんな感じで、今回は僕がコーヒーの発信をしている時に意識していることを思いつくままに書いてみました。PRなどの仕事をしている方にとってはもっと意識するべきポイントもたくさんあるでしょうし、僕も今の表現は微妙だったなと後悔することもあります。

でも嗜好品の世界、好みが生まれる世界だからこそ、コーヒー以外でも似た様な場面はあると思いますし、言葉を大切にして伝えるということはどんな場面でも必要だと思います。


伝わる表現、みんなで大切にしていきましょう。




川野優馬


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