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【勝手気ままに読書メモ】#2 盛口満『めんそーれ!化学ーおばあと学んだ理科授業』(岩波ジュニア新書)

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はじめに

学校の理科の授業で学んだはずのことを、もう一度学び直したいという方
新しい視点を身につけたいという、知的好奇心に溢れた方
授業準備をされる際に、参考にしたい本をお探しの学校の先生方
今まさに自然科学を学んでいる最中の学生・生徒の皆さん

こういった方々のために、1人の理科教員としてオススメの本を、勝手気ままにご紹介。
今回は、沖縄の夜間中学で行われた化学の授業の実践記録『めんそーれ!化学ーおばあと学んだ理科授業』についてご紹介。

著者と生徒さんはどんな方?

プロフィールによると、著者の盛口満先生は大学の生物学科をご卒業後、埼玉県の私立中高一貫校で教員をされた。
その後、沖縄に移住し、夜間中学の教員をされた。
その間より現在まで、沖縄大学人文学部の教員を現在まで務められている。

この本に著されている夜間中学の生徒(=おばあ)の皆さんは、戦争などにより義務教育を十分に受けられなかったという方々。
ただ、日常の生活経験を通して得た「経験知」と、学ぶ意欲に溢れている。

内容をざっくりと

夜間中学での化学の授業実践について、15のテーマに分けて著されている。
この夜間中学では実験の設備に乏しいということで、授業では食品を主として身近なもので実験も毎回行っていた。
この身近なものをテーマにして、おばあたちはいろいろと考え、ご自身が経験して得たことと先生の説明をつなげて化学に対する理解を進められている。
時には先生もタジタジするようないろいろな発言がおばあたちから飛び出し、楽しい対話を通した授業が行われていた様子がうかがえる。
この本では各テーマごとに、先生によるまとめもきちんとなされている。

感想

1.私もこんな授業を毎回してみたい!
真っ先に思った。
まず、授業中での対話が絶えない。
しかも対話を通して、先生も生徒さんも互いに対等の立場で、学びを深められている。
まさに学びの理想形だと私は思う。

2.やっぱり実験あってこその化学
実験は準備が大変。
しかも、実験設備や薬品が不十分だと一層工夫しなければならず、さらに大変。
だからこそ実践すると、生徒の興味を引き、中身の濃い授業になる。
学校の授業でも、設備・授業時間などさまざまな条件があり、私自身、実験を十分に行えずにもどかしいと思うこともある。
(しかもコロナ禍で、生徒実験は禁止という学校もある)
生徒はなおさらそう思うだろう。
本当に良い化学(理科)の授業をするには、実験準備も含めて、生徒の興味を引き、深い学びがなされるように工夫しなければならないと改めて思った。

3.大人の学び方
現在私は高校生だけでなく、一般の大人向けにも化学の授業をしているが、大人の学び方には特徴がある。
まず、生活経験の深さによるところが大きい。
大人の皆さんは、常に自らのご経験と授業内容を自主的に結びつけて考えられて、私も逆に学ばせていただいていることが多い。
次に、私が思ってもないような視点からの問いかけが多い。
しかも鋭い。
この本でのおばあたちの対話を見てみると、学校の授業では言われないようなことまで疑問を持たれ、深く考えられているのがわかる。
私がこれまで行ってきた大人向けの授業とオーバーラップしてしまった。

4.教員を目指す方や現役の先生方、セミナー講師をされる方にも読んでほしい
私自身への戒めも込めて綴るが、この本で著されているような授業は、現在学校に通っている子どもたちに対して実践しなければならない。
この本にはまさに今、教育界でいわれている「主体的・対話的で深い学び」が詰まっているからだ。
仮に完全に実践できないとしても、意識をもつことで、少しでもご自身の授業に反映させられるのではないだろうか。
40代になったばかりの未熟者が偉そうに綴れることではないが、子ども・大人に対してよりよい学びを提供するための参考に、この本をお読みいただけるとよいと思う。

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