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夕日に向かって走り、月に向かって戻る

ランニングを続けていると、ときどきハッとするような絶景を目にすることがあります。景色に期待できるとわかっている場所を行くときだけでなく、何度となく走っている道でも、季節や天気、時間帯によって普段とは全く違う美しさを感じたりします。

私はどちらかというと午前中に走ることが多いのですが、このときは時間が取れたのが夕方でした。日没が早くなってきたことを感じながら、沈みつつある太陽を前方に眺めて走り始めました。

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しばらく進んで車の来ない遊歩道に入り、北に向かってコースを取りました。もう何十回と走っている道です。そして折り返し。太陽はもう見えず、夕焼けの明るさがだんだん弱まっていく時間帯になっていました。

南へと向かう道が少し東寄りに進路を変えたとき、左手の森の向こうから月が昇っているのが見えました。満月に近い月です。

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この写真ではうまく雰囲気が伝わらないのですが、薄暗くなりつつある東の空にぽっかりと浮かんだ月でした。

南に向かう一本道の右側には夕焼けの名残、左の空には昇りつつある月。そして、道の両側の草むらからは、秋の虫たちの鳴き声。

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全く知らなかったのですが、この日は、月の出が日の入りよりほんの少し早いという日でした。しかも一日中、快晴。それで、南北に伸びる道を夕方のごく限られた時間に走ると、太陽の残照と月を左右に眺めることができたのです。

自分がとても贅沢な風景の中にいることを感じ、その中を走れるのは幸せだなと、自然とそんな思いが湧いてきました。

遊歩道を出て帰路に着く頃には、月は少し高い位置に来ていました。東に向かって帰るその前方、暗くなった空で月が輝きを増していました。

満ち足りた気分になれた、ひとときでした。

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