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遠くのなんとかより、ご近所さん

オリーブの小さな実が少しずつ膨らみ始めている。
今年は、沢山の花がついたけれど、
実になったのは、全てではない。


先週の話で、


「アレッサンドロに聞いてみるわ。」
隣のおばちゃんが言っていた。

アレッサンドロとは、私たちのオリーブ畑よりもう少し上の方に住んでいるご近所さんである。
どう見ても50代後半くらいにしか見えないのだけれど、既に年金生活に入っていて
持ち合わせているたくさんの農地を、いつもきちんと手入れしている。
その丁寧な手入れの様子を目にするたびに、
あんなふうに、きちんとしてみたい…と思うし、
ぜひ、ご指導を仰ぎたい…と思うのだけど、
おばちゃん曰く、とっても忙しいんだそうだ。
この日曜日も、ご厚意で、舗装されていない道を整備してくれていた。

「多分ね、アレッサンドロが、きちんと手入れしてくれると思うわ。」
オリーブ畑に着くやいなや、おばちゃんが教えてくれた。

それを聞いて早速、
アレッサンドロのところに伺うと
「刈った草は、あのままにしておいたらいけないから、時間を見つけて、trinciatura(細断)しておくよ。」
笑顔でそう言ってくれた。

オリーブ畑の除草は、機械で刈り取りながら細かく細断し、畑を耕すように土と合わせていく必要がある。
あいにく、そういう機械を持ち合わせていないから
今までは人に頼んでやってもらっていたのだけれど、
この重機を持ち運ぶのに手間とお金がかかるのだそうで、
それをアレッサンドロがやってくれることになった。
アレッサンドロのところには、いろんな重機がある。
そのおかげで、今までかかっていた金額の半分くらいでやってもらえることになったのだった。
本当に、ありがたい。

おそらく彼は、十数ヘクタールくらいの土地を持っていて、
その全てを自分でやっているのだから、本当に忙しいだろうと思う。
だから、これも、ご近所さんならではの厚意なのだろう。
もちろん、隣のおばちゃんが助けてくれた事もある。
一年目には、なかなか教えてもらえなかったようなことを
ようやく最近、少しずつ、
近くのみんなが助けてくれるようになってきた。

新入りが認知されるようになるのは、それ相応の時間がかかると思うけど、
私が外国人であるから、それはきっと、尚更の事だろうと思っている。

「遠くの親戚より近くの他人」

そんな言葉を思い出した。

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