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簡単に謝らない人たちの「ありがとう」という言葉

「同僚に無視されてね、ついつい嫌な顔をしてしまったんだけど、大人げないなぁと反省してしまったよ。」

そう語る友人に、ついつい謝ってしまう、日本人の心を思う。
嫌な思いをしているのは、友人の方なのに、なんだか切ない。

思えば、私も謝ってばかりいた。

イタリア人ていうのは、本当に、簡単には謝らない人たちで、絶対、そっちが間違っている…って事でも、その間違いすら正当化して主張してくる。こっちが、拙い言葉を丁寧に連ねて説明したとて、人の話など聞いちゃあいないし、話せば話すほど、むしろ、こっちが間違ってるんじゃないのか…なんてすら思えてくるから、不思議なものだ。

「自分のせいじゃないのなら、簡単に謝っちゃ、ダメよ。」

私よりずっと長く滞在している、日本人の大先輩にそう諭された、遠い昔。今では、私がそう言うようになっている。
相手が明らかに間違っている時は、簡単にこちらから謝らない代わりに、真っ向からではない話し方をするようになった。もとより、口の達者なイタリア人と口論したとて、勝てそうにはないのは、今も同じだったりするし、個人的に、喧嘩は好きではない。

そんなイタリア人の、だがしかし、好きな言葉がある。

「Grazie」
グラッツィエ。「ありがとう」と言う言葉だ。
こちらが「Grazie!」と言うと、「あなたにも、ありがとう!」と言ってくれる。
断りを入れる時だって、「No,Grazie」だ。「No」だけど、「Grazie」が付くから、嫌な気にもならない。
この言葉のおかげで、随分、「No」が言いやすくなった気がする。

「すみません」を「ありがとう」に変えてみる。
イタリアに住むようになって、習慣にしていること。
人から言われたら、やっぱり嬉しい、素敵な言葉。

相変わらず、イタリア人は、全然謝らない人たちではあるけれど。




#習慣にしていること

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