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OLIVE DELLA YUKI  プロフィールにならないプロフィール


#この仕事を選んだわけ

初めて作ったオリーブオイルを知人に送る事になった時、
「プロフィール的なものはありますか?」と、聞かれた。

そう聞いてくるのが、一人ではなかったから、何かモノを売る時に、そういうものが求められているのだと知る。

個人的には、別に(つけなくても)いいかなと思っていたのだけれど、
「どういう人が何の目的で、どういう思いで、どのように作ったか」
そこの所の説明が欲しいのだと知人が言った。

私は少し考えた。
たしかにそれも、一理ある。
でもそれは、私の意とすることなのだろうか。

少し考えて、やっぱり思うことを書くことにした。
自分の思いを書き連ねていくと、プロフィールでまとめてしまうことと反対の意味を示してしまう可能性を感じつつ。

「私が今、この位置にいるのは(オリーブオイルを作るという立場)、もちろん過去の経験からくるものもあります。メルカートの経験がそうです。そこから得た経験、自分の興味、運と縁、これらが全て重なって、今の立ち位置にいます。

私が借りた畑は、年老いて、もう手がつけれらなくなった、ご老人から引き継いだものです。元々は、その地元で評判の良いワインを作っていた畑です。
自然の恵みをふんだんに受けたその土地を、誰も継がず、放置されて3年。一角に、3ヘクタールのオリーブ畑がありました。

農家の経験はありません。オリーブオイルを作るのに、右も左も分かりません。
美味しいオリーブオイルがどんなものかを、ちょっとだけ知っている、ただそれだけの人間です。

自然の恵みを十分に受けた土地が作り出すものは、本当は、人間の手により歪められるべきものではないと思ってます。もちろん、自然に良いための、手入れは必要ですが。
DOPなどの品質保証やBIOなどの登録には興味がありません。

ただ、古代ローマ時代から、今の今まで、繰り返し作り続けられている、イタリアならではのオリーブオイルを、
できれば忠実に、できれば自然の力を存分に生かすためのオリーブ作りができたら…と思うわけです。

私自身のストーリーはないです。
自然の醍醐味の中で、それは微塵もないことでしょう。

でも、これから、
どのように取り組んでいけばよいのか、
オリーブオイルがどれほどの良い事をもたらしてくれるのか、
どのように手入れをしていけば、自然のカタチがうまく保たれていくのか、
そんな事を取り組みながら、少量ですが、本当の意味で良質なオリーブオイルを作っていけたら…と思うんです。

ちなみに、今回のオリーブオイル、
全く手をつけていません。
本当に、本当の意味で、100%、自然の力だけで出来上がったオイルです。
完全に無農薬。水やりもしません。
いい感じに水を含んだ土地だからです。

まずは、そこから…と思ってます。
勉強する事、たくさんあります。
日々発見であり、分からない事だらけです。
でもそれが一番、人間っぽいことかなと思います。

多分、プロフィールにはならないですね。

でも、少しずつ、今の私が手掛けるオリーブ畑の、現実を伝えることができたら良いなぁとは思います。」

これが私の、この仕事を選んだ理由なのかもしれない。
プロフィールにはならない、プロフィール。

発展途上の道のりは長い。

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