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フィレンツェの空 15/5/2021
久しぶりに友人に会った。
レッドゾーン、オレンジゾーンと続いていたフィレンツェが、ようやくイエローゾーンになったのは、つい、この間のことである。
コロナ禍で、随分、人と会わなくなった。
だから、5ヶ月ぶりの再会は、久しぶりすぎて、興奮してしまう自分がいた。
人に会えるって、やっぱり嬉しい事である。
ましてや、このイタリアで、心置きなく日本語が話せるなんて、なんだか、とても贅沢な気がする。
私たちは、バールの外の席で、ゆっくりとカッフェを楽しんだ。
イタリアでバールというのは、ある独特の文化があるような気がする。
人々は、それぞれのお気に入りのバールで、一杯のカッフェを立ち飲み、知り合いに簡単な挨拶を交わし、サッと出て行く。
入れ替わり、立ち替わり。
バールの片隅のテーブルを陣取って、お喋りに花を咲かせる私たちにとっては、ほんの一瞬の出来事である。
話に夢中になって、冷めたままのコーヒーが、あいも変わらずテーブルにあっても、私はチビチビとそれを飲む。
そういえば、メルカートで働いていた時、淹れてもらったばかりのカップッチーノを、接客中で、置きっぱなしにしていたら、「早く飲め!」と怒られたことがある。
カッフェは、熱いうちに飲むのが定番らしい。
それでも、日本人の友人たちと会う時には、どうしても日本スタイルになってしまう。
1時間でも2時間でも。バールに居座る私たち。
とどまらぬ会話を楽しみながら、コーヒーは冷めきっているけれども、楽しければそれでいい。
「あはは。まだ居たんだね。」
さっき、私たちのためにカッフェを淹れてくれたバリスタが、1時間ほどの休憩時間を終えて戻って来た時、そう言って笑った。
何気ない日常の姿。
まだまだ、制限は続いているものの、こんなひとときが少しずつでも、戻って来ているのは、やっぱり嬉しい。
5月も半ば。
曇りがちな空は、それでも時々、太陽が顔を出してくれる。
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