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オリーブオイルの値段について、もう少し考えてみた。

先日の、この記事の後、
興味深いコメントをいただいたので、もう少し考えてみた。

「500mlで、850円」

イタリアでよく、論議を生むオリーブオイルの金額は、「1リットル5ユーロ」。
まあ、似たようなものかもしれない。
この金額で提供できるものならしてみたい気もするけれど、
小さな農家でかかる経費は莫大で
とてもじゃないけれど、出来そうにない。

で、どのような内訳になったら、
この金額を絞り出せるだろうか…と考えてみる。

いただいたコメントには、「大量に仕入れることによって、金額を下げる事が出来るのではないか?」と書かれていた。

私は作り手だから、逆説的に考えてみる。
大量に購入してくれた場合、割引できるか?

答えはイエスであり、ノーである。
大量に売れることにより値段が下げられるのは「売値」。
大量に購入してもらえても、下げるのに抵抗感があるのは、「原価」を下回る時。
原価を下回っても、安く売りたいのは、新しい搾りたてのオリーブオイルが出来る頃、残ったオリーブオイルを少しでも売ってしまいたい場合かと思う。

前回の記事で、私が書いていたのは原価の話。

オリーブ栽培にかかる手間などの人件費はさておき、
かかってくる金額には、剪定代・収穫代・搾油代・ボトル代・ラベル・梱包材といったところか。
私はやらないけれど、普通の農家さんだったら、これに肥料代などもかかってくるんだと思う。
これ以外にもいろいろかかっているのだけれど、それはあえて考えないようにする。
剪定や収穫を、例えば家族や友人とやったとして、かかる搾油代やボトル、ラベルなどの梱包にかかるものは、どれくらいになるだろう。

空のオリーブオイル専用のボトルは、最低でも0.5〜1ユーロ。
搾油所でボトルを詰めてもらうのに0.7ユーロ。
搾油代は1リットルあたり2ユーロ弱くらいしたと思う。
もうこれだけで、1リットルあたり3.5ユーロくらいしてしまう。
箱代だって、ひとつ1ユーロ以上してしまう。

どこをどう引いていったら、1リットル5ユーロでいけるだろう。
経費のみのタダ働きで横流しになってしまう。

大量生産?

温度を上げて、搾油率を上げる?

そうなると、確実に、質は下がる。

やっぱり、難しいなぁ。
質を上げて、値段を下げる…ということ。

大きな会社が削減できること、
小さな農家では、本当に難しい。

私に出来る事は、
経費は抑えて、でも質の向上を目指すということ。

自分に出来ることをしていくことに限る…と
改めて思った。

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