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イタリア オリーブ日和

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「イタリア オリーブ日和」では、ありふれ日常の中で、どんな天候に晒されても、どんと構えているオリーブの木々に囲まれたオリーブ畑で、その時見たもの、感じた事をつらつらと書き綴ってい…
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#仕事について話そう

遠くのなんとかより、ご近所さん

遠くのなんとかより、ご近所さん

オリーブの小さな実が少しずつ膨らみ始めている。
今年は、沢山の花がついたけれど、
実になったのは、全てではない。

先週の話で、

「アレッサンドロに聞いてみるわ。」
隣のおばちゃんが言っていた。

アレッサンドロとは、私たちのオリーブ畑よりもう少し上の方に住んでいるご近所さんである。
どう見ても50代後半くらいにしか見えないのだけれど、既に年金生活に入っていて
持ち合わせているたくさんの農地を、

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オリーブの木々と向き合ってみる

オリーブの木々と向き合ってみる

雨の多い日々。

週末のみ滞在するオリーブ畑で、雨の降らない合間に、今、最も時間をかけているのは、広がった根から生えている小さな枝を切り落としていくこと。
この枝をイタリア語では「pollone」と言う。
ここを借りつけるまで、もう何年も放置され、2年前に収穫隊にお願いして一斉に剪定したものの、足下から生えているこの「pollone」は、残されたままの木が点在していた。

320本
この一本一本を

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オリーブオイルの値段について、もう少し考えてみた。

オリーブオイルの値段について、もう少し考えてみた。

先日の、この記事の後、
興味深いコメントをいただいたので、もう少し考えてみた。

「500mlで、850円」

イタリアでよく、論議を生むオリーブオイルの金額は、「1リットル5ユーロ」。
まあ、似たようなものかもしれない。
この金額で提供できるものならしてみたい気もするけれど、
小さな農家でかかる経費は莫大で
とてもじゃないけれど、出来そうにない。

で、どのような内訳になったら、
この金額を絞り

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剪定という哲学

剪定という哲学

今年のイタリアの冬は、本当に暖かい。
まだ2月だというのに、すっかり春の陽気で、日中は、18度くらいの日が続いている。

剪定にはもってこいの日々。
少しでも、経費をうかせる…ということもあるけれど、
きちんと、オリーブの木々と対面したいこともあり、
出来るところは自分たちでやっていきたいと早速、剪定バサミを買ってきた。

さて、どこを切れば良いのだ???

オリーブの木の、途方もなく広がっている

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オリーブオイルの値段の本当

オリーブオイルの値段の本当

先日、知り合いに聞かれた。
「レストランで扱っているオリーブオイルが500mlで850円って、値段的にどうですか?」

500mlで850円…

暫し、思考が止まる。
ユーロにしたら、5ユーロちょっと。安すぎないか?
オリーブオイルの中でも高いと評判のトスカーナに居るから、そう思うのだろうか。
いくら大量に輸入したとして、その金額は、トスカーナの標準的なオリーブ農家が作るオリーブオイルの金額からい

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イタリアの農家デモで思うこと

イタリアの農家デモで思うこと

今、イタリアでは、農家によるデモが繰り広げられている。

イタリアの各地から、多くのトラクターが出動し、トスカーナ辺りだとローマまで向かって集結し、デモを行っている。もう、何日も。

それは、ヨーロッパ共同体が推し進める「グリーンディール政策」というのに立ち向かうためである。
「グリーンディール政策」では、増え続けるとされている二酸化炭素を減らす為の対策として、家畜や肥料の制限、軽油の廃止、二酸化

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どうしようもないことと本音

どうしようもないことと本音

11月6日に販売を開始してから、毎日、慌ただしい日々を送っている。オリーブオイルが出来るのは、トスカーナでは年に一度だけだから、今が一番の勝負どきで、この時期に売れ残りが出てしまったら、それを売り尽くすのは難しい。多くのイタリア人が、美味しいオリーブを作れる土地を持っていながら、放棄してしまう理由には、これがいちばんの理由かと思ったりする。幸い、私の場合、オリーブ農家としては小さな畑なのと、良いお

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収穫隊を選ぶということ

収穫隊を選ぶということ

オリーブの収穫をするのは、1人では出来ない仕事である。週末に家族総出でやっているところもあるけれど、大概は、どこかの収穫隊に委託する事になる。予定されていた収穫日の前日、試しにやってみたけれど、これがなかなかの体力仕事で、手が届くところは良いけれど、高いところの収穫となると、ずっと上を見上げながら道具を駆使しなくてはならないし、それ相応の筋肉が必要だと、翌々日に感じる筋肉痛を患いながら、上手く収穫

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