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第4章 出発 ⑦「15歳で使命を自覚した女の子」

 こうして講話を終え、学校によっては生徒に感想文を書いてもらい、後日郵送していただく。

 何よりも一番嬉しい感想は「勲さんが大事にしていた『戦争ほど残酷なものはない、戦争ほど悲惨なものはない、平和ほど尊いものはない』という言葉が一番心に残った」というものだ。
 私の役割は勲さんの被爆体験と平和への思いを正しく伝えることにあるから、このような感想をいただくことは、証言者冥利に尽きる。

 その次に嬉しい感想は「田平さんのような方がいるから私達は被爆体験を聞ける。伝承者からの話を聞けて良かった。自分も子供達に戦争のことを話していこうと思う」というものだ。
 中には「講話を聴く前は、被爆者から話を聴いた方が説得力があるんじゃないかと思っていたけど、話を聴いた後は、世界が平和になるまで被爆者の思いを伝え続けていくことが大事なんだと気づきました」という感想があった。被爆体験を聴いたり継承をしたりすることが大切だと思う理由を、彼らなりに理解してくれることも嬉しい。

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 また「平和な世界を創るため、あなたにできることを、今いる場所でしていってください」と講話の締めくくりに話すと、それを受けて生徒は「友達を大切にしていきたい」「戦時中はご飯をあまり食べられなかったから、ご飯を残さず大事にしたい」「人のために命を使える人になりたい」いうことを感想と一緒に書いてくれることがある。
 その意思をとても頼もしく思う。


 特に「人のために命を使える人に」という言葉にはハッとさせられた。これを書いてくれたのは岡山市の中学3年生の女の子だ。命を使うと書いて「使命」というが、果たして彼女にはどんな使命があり、その使命を果たすためにどんな人生を送るのだろう。彼女の将来がとても楽しみだ。

 しかし、15歳でこんなことを言える子は初めて見たので驚いた。


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