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第3章 始動 ⑫「あの時買った本は、運命だった」

 後日、講話のアンケート結果が担当者から送られてきた。聴講者(出入り含む)25人のうち、11人が回答してくださっていた。

 講話内容は「とても良かった」「良かった」が100%であり、聴衆から見た改善点やダメ出しは皆無に等しかった。初めての講話だということを考えると出だしは成功と言えるだろう。
 ただ、個人的にはもう少し写真や絵を入れた方がよかったのではないか、このセリフをもっと自然に言えるようにしなければ、など改善点はいくつか見つかった。
 
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 ちなみに「わかりやすい」というのは本のおかげだと思う。実はこの本、ユース代表団の活動を終えて帰国するときに、ニューヨークのJFK空港で購入した。
 ドル札が少々残っており、せっかくだから何か買おうと思って空港内の本屋に立ち寄った。そこで手に取ったのがDan Roam著“SHOW AND TELL”だった。
 これはプレゼンテーションの本で、話の組み立て方、スライドの見せ方といったプレゼンの基礎を、簡潔な言葉でわかりやすく解き明かしている。イラストが多く、楽しく学べる良書だ。

書籍を参考に講話の内容・流れを作った(筆者私物)


 この本を選んだ理由は特にない。ただ、なんとなく面白そうで、ドル札を消費できるという、大変失礼な動機で買っただけ。案の定、帰国後はページを開くこともなく本棚に放置していた。

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 ところが講話原稿を作るにあたり、ふとこの本を買ったことを思い出し、3年ぶりに本を開いてみた。すると、ある人を主人公にしたドラマを伝える時のストーリー構成が書かれてあった。
 
 「そうか、これに則って原稿を書けばいいんだ!」と我が意を得た。こうして、この本を教科書として原稿を作り上げた。おかげで、講話をすると必ずと言っていいほど「内容がよくまとまっていて、とてもわかりやすかった」との感想をいただく。
 たまたま手に取った1冊の本ですら、講話の役に立ってくれている。きっとこの本を買ったのは偶然ではなかった。今はそう思う。
 
―さてこれから、県外でも積極的に講話をやっていこう。アンケートに目を通しながら、そう決意をした。

第3章 始動 終

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