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ミュンヘンでの暴行事件、そして発砲②

私は少し遅れてミュンヘンの朝食会に到着した。
ご一緒するはずだった、フランクフルトからのふたりも遅れていた。きっと、あの暴行事件のせいで電車が遅れているのだと思っていた。
彼女たちの電車がミュンヘン空港へ引き返してしまったため、2時間半ほどしてから合流することができた。
大幅に遅れた彼女たちは、あまり朝食会で時間が取れなかったので、ミヒロさんのご好意で、私たちはランチ取材にもお付き合いさせていただくことになった。

たくさんの新しい出会いが、朝の暴行事件を忘れさせてくれていた。
楽しい時はあっという間に終わりを告げ、ミュンヘン空港から帰路についた。


家に着いた私は息子に、ミュンヘンでの出来事を話し、「ミュンヘン、暴行事件」とググってもらうように頼んだ。
その瞬間、驚きのあまり彼の顔が固まった。

「ママ、暴行事件じゃなく、発砲事件って書いてあるよ…」

その時、私は自分が目撃した事件と、その発砲事件は別のものだと思い込んでいた。暴行事件と同じころ、どこかで起きた発砲事件のせいで、フランクフルトからのふたりの電車は引き返すことになったと考えていた。

しかし事件の全貌が明らかになるにつれて、発砲事件はあの暴行事件の犯人によるものだとわかり、背筋が凍った。

(以下、BILD参考)
8時30分 救急隊到着
暴行事件の被害者を応急処置のため、ホームから上に連れていく

8時32分 女性警官がホームで事情聴取
犯人は落ち着きを払っていた

8時38分 電車が入ってきた線路に、犯人が男性警官を突き落とそうとする
止めに入った女性警官、犯人、男性警官がもめ合う
突然、男性警官の銃を奪い犯人が発砲
犯人の放った弾は電車、ホームにいた人たち、そして女性警官の頭に当たる


私を含め、ケンカをとめに入った男性たち、その他の目撃者は電車に残った。
警察に電話をした女性や、目撃者の数人はホームに降りた。
私たちを乗せた電車の運転手が、ミュンヘン市街への発車を遅らせていたら、私たちも発砲事件に巻き込まれていたかもしれない。

何かに吸い寄せられるように訪ねたミュンヘン、何かに護られるように戻ってきたデュッセルドルフ。

あの日から、今日でちょうど一年。
息をしている、生きている、今この瞬間に感謝。

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