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元児童養護施設職員が、マインドマップを活用して実習目標を書いてみる

児童養護施設は馴染みがない方がほとんどだと思いますので、
実習目標、何かいていいかわからないという人、きっと多いですよね。

実習目標をどうやって考えるか。
ただ目標を上げ連ねて参考にしてもらうのも良いかと思ったんですが、
それだと自分で目標を考える力が付かないと思うので、
マインドマップで整理してみました。

実習目標を考えるための視点を記したつもりですので、参考になれば嬉しいです!

また、ぜひ自分でも、マインドマップを書いてみてくださいね。



①施設、職員、子どもといった「どこに視点を置くか」で考える

施設実習実習目標

①ー1.施設自体について学ぶ

広く施設全体について学ぶ目標です。

 施設の理念は、実習録に最初に記載する、実習前のオリエンテーションで伺い、事前に記入する、というところも多いでしょうか。
「その施設が特に何を大事にしているか」が現れていることが多いので、理念に関する質問をすると、深い学びが得られるかもしれません。
たとえば、「子ども中心の養育」とあれば、「子ども中心の養育として、具体的に取り組んでいることはどんなことですか?」と聞いてみるとか。

 地域での役割は、特に近年大事にされている部分かと思います。公に地域からの相談を受け付けている施設も多いですし(児童家庭支援センターを併設しているところもあるかもしれません)、バザーなどの行事を通して地域に開くことを意識していたり、子どもの通う学校のPTAや、町内会での役割を引き受けている施設さんもあるかと思います。実習で子どもの生活をみる中では見えにくい部分なので、質問をして学ぶと、施設への理解が深まります。

 施設内の子どもに対する役割は、施設として子どもにしていることとは?を理解する目標をイメージしています。実習中は子どもや職員さんを見ることが多いと思いますが、そこから少し離れて施設全体をみてみます。
 子どもはどうやって入所してくるんだろう?学校の勉強で「入所理由は〇〇が多く…」といった勉強はしているかと思いますが、現場レベルで考えると、誰が連れてくるの?急に来るの?どうやって受けれ入れるの?どのくらいで慣れるの?と結構疑問に思うことが多くないでしょうか。また、施設は子どもの人生の一部であってすべてではありません。入所前の人生もありますし、退所後にも人生は続いていきます。子どもにとっての施設とはどんな場所なのか?と考えるのは、施設の役割を知る要ではないかと思っています。

 施設で働く職員に対する役割について、これは実習生というより就職を目指す人が気になる部分かと思いますが、子どもにとっての施設と、職員にとっての施設は違います。子どもにとっては生活の場、職員にとっては職場です。施設として職員に何を求めるのか?は、施設によってかなり方針が異なるかと思います。具体的にあげるなら、たとえば生活職員の役割として、

・家庭を体験させたいから、家事(料理洗濯掃除など)は全て、生活担当職員が行う。家庭で母親がしているようなことを目の当たりにする中で、子どもが「あたりまえの生活」を学んでいく過程を支える。

という施設もあれば、

・職員は子どもと関係を築き、心のケアをすることが本業なので、食事は調理員が、洗濯や掃除は専任のパートの職員が行う。職員は子どもとの関わりを重点的に行う。

という施設もあります。職員に求める役割によって、業務内容が変わってきますよね。他にも研修の機会や、役職について、会議についてなど実際に働くとなると気になることって、学校では学べないので現場で聞きたいポイントなのかなと思います。

①ー2.職員について学ぶ


 業務内容として、子ども支援、環境整備、記録・事務、職員間連携、外部関係者との連絡、といったキーワードを上げてみました。子ども支援だけでも、細分化すると山のように目標が出てきそうですが…。職員の姿を観察しながら学べる事もあるでしょうし、外部関係者との連絡なんかは、実習期間だけでは見えにくいので、事前に調べたことをもとに質問をして理解を深めると良いでしょう。(外部機関との「連携」とも。幼稚園や学校、習い事、児童相談所、ボランティア団体、その他施設によって、地域によって様々な機関と連携しています)

 働き方としては、夜勤、宿直、勤務体制、給与、待遇、職員自身の「支援に関する考え」と書きました。実習生がいきなり給与を聞いたらびっくりされてしまうかもしれませんが、上にも書いた通り、職員にとっては施設は職場です(住み込み型で、生活をほぼ完全に共にしている場合もありますが)。「仕事だから」というと冷たい感じを受けるかもしれませんが、現実に給料が払われていて、職員にとってはキャリアになります。子どもに「お金をもらえるんだからやってるんでしょ」と言われたときに、なんと答えるか?職員自身の生活とのバランスはどうやってとっているのか?そもそも勤務体系ってどうなっているの?といったことを理解することが、この目標の意図です。ただ、実習目標としては不適切と判断される可能性もありますので(実習と就職は分けて考えるようにする場合も多いので)、目標として日誌に書く、というよりは(「職員の給与を知る」という目標を書く人はいないでしょう)、実習の中であわせて学ぶことが出来ると有意義な事、という感じでしょうか。
 「どうして児童養護施設で働こうと思ったんですか」と職員に尋ね、その答えに感動して施設に勤めた、という学生さんがいます。私も現場にいるとき何度か聞かれて、その答えが印象に残ったと、お手紙をもらったりしました。施設には魅力的な職員さんがたくさんいるので、聞けそうだったら聞いてみると、人の人生に触れるいい経験になるかもしれません。

ちなみに、勤務時間について書いた記事はこちら…

①ー3.子どもについて学ぶ

 その子自身について・入所背景など・施設で生活するということ、という3つのキーワードを上げました。こちらはマインドマップに書いたままなので、改めてここで詳細には書きませんが、学び方のコツとしては、『とにかく子どもと一緒に時間を過ごすこと』、だと思います。子どものそのときの調子にもよるので、無理は禁物ですが(嫌がっているのに無理やり関わるとかは×。日頃から子どもと関わっている職員さんに尋ねながら)。
 自分の得意なことや楽しめること、たとえばバトミントンが好きならバトミントンをしたり、絵が得意なら絵を描いたり…幼稚園のような、遊びの日課(今日はこれをします、のような)はないことが多いので、子どもと一緒にやりたいな!と思えることを用意していって、自分がのびのびと出来ることをやる中で、子どもと余裕を持って関われる状況を作ると、子どもの姿もよく見えるのではないでしょうか。あとは、子どもの好きなことを一緒に楽しむのもいいですよね。

②自分は何を学びたいのか?から考える

実習では、モチベーションを保つことが大事です。
施設実習は、泊まりがけになることもあり、「こなす」ことで精一杯になってしまう人もいるかと思います。

大変な中でモチベーションを保つには、「なぜ実習をしに来たのか」を忘れないこと。実習が始まってからはてんやわんやなので、事前に「自分は施設実習で何を学びたいのか」を考えてみるといいでしょう。

いくつか思いついたものを書いてみましたのでヒントになれば嬉しいです。


何を学びたいか (1)

②ー1.児童養護施設の役割を知りたい

 こちらはシンプルに、「児童養護施設が何だかわからない!その実際を知りたい」というパターンです。具体的な目標をいくつか書いてみたのでマップを見て、ご自身でも考えてみてくださいね。

②ー2.施設保育士としてケアが出来るようになりたい

 「施設保育士」、特に児童養護施設の場合、対象年齢の幅が広いこと、生活施設であること、入所背景がそれぞれ異なり配慮が必要であること、自立を目的としている事、といった特徴があります。それらを反映した目標を立て、施設保育士ならではの役割について学んでみましょう。こちらもマップ参照。

②ー3.施設で生活する子どもについて知りたい

 こちらもマップに書いている通りですが、気を付ける点としては、「施設の子どもはかわいそう」「子どもはみんな問題を抱えている」というスタンスで臨まないほうがいいです。子どもは別にかわいそうと思ってほしくない場合が多いでしょうし、特に問題なく、元気に楽しく生活をしている子どももいます。なのに無理やり問題や課題を見つけて、わざわざそこだけに視点を当てる必要はないでしょう。まずは目の前の子どもを見て、「何が好きなんだろう?今なにに興味があって、何に困っているんだろう」と考える、という姿勢で臨むとよいと思います。

②ー4.自分の施設保育士としての適性/保育観を知りたい

 これは内なる目標といった感じで、実際に実習日誌には書けないかもしれませんが、大切にしてほしいことです。
 たとえば、「あ、わたし黙って見守っていることが出来ないな」「自分の意見を押し付けてしまうな」「子どもを待てずに、”なにしてるの”って聞いてしまうな」といった、自分の課題を知ることはとても大事なことだと思っています。自身で理解をしていれば、調整することが出来たり、失敗に気が付いて子どもに謝ることが出来るからです。
 また、「一緒に鬼ごっこしながら周りの様子をみることは得意!」「絵を描くことで〇〇ちゃんとコミュニケーションが取れる!」といった「これは得意!」と思えることを理解しておくと、自信になり、またいざという時の切り札になります。見つかったら大事にしてくださいね。

※注意すること※


 色々と私見を書いてきましたが、
施設や学校の方針によって目標の立て方や書き方は異なります
自分が所属している学校のやり方や、実習させていただく施設のやり方を優先してください。
 少なくとも、実習生という『見習い』の立場の間はそれがマナーです。
もし現場で「あれ?」とおかしいと思うことがあっても、実は、実習生の立場ではみえにくい背景があり、現場や子どもを守るために必要だった、ということもあります。(虐待に当たるようなこと等、明らかにおかしいことについては学校の先生や信頼できる人に相談しましょう)

 もし、おや?と思ったことや自分の考えと違うなぁと思うことがあったら、メモをしておいて、自分が実際に働くときまで大事に取っておくといいと思います。
 子育てに正解がないように、養育って明らかな正解がないので、まだ学生で、どこの組織にも染まっていない段階で(学校の考え方には少し染まっているかもね)、自分は、どう考えるのか?を知っておくことはとても大事だし、後から見返してハッとすることもあるかと思います。

では、これから実習にいく皆さんの可能性に期待しています🧡

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