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山ペンギン 3 蜃気楼

蜃気楼が出た。

いきなりですまないが、出たものは出た。

険しい山の、そのてっぺんに家が建っている。

イマドが俺に「あれは何か」とたずねるが、オレにもわからない。

「てっぺんにあるのは家じゃねえか?」というと

そんなことわかってるわ・・・と言いたげな目でこちらを見ていらっとする。

「はまぐりが見せる幻らしいぞ。」と少し利口ぶったことを言ってやると

お約束通り海に走った。

しばらく静かに過ごせると思っていたのに、ほんの10分くらいで

大量の「あさり」と共に帰還した。

最近はオレもこれくらいは想定している。

味噌汁にしてくれると昆布を沈めて鍋に水を張っていた。

だが、イマドは何を思ったが、寝室に海水とともにあさりをぶちまけた。

「何してんだてめえ!」

だって幻を見せるんでしょ?と不思議そうにこちらを見る。

はまぐりの代わりにあさりを取ってきたまでの勘違いは理解できたが、まさか夢と幻を混同しているとは思わなかった。

蜃気楼が出た段階でもう、いろんなことを考えるのをあきらめていたオレは

「そうだな・・いい夢見られたらいいな。」

とイマドのいる寝室を閉めて、本棚で寝室のドアをふさいだ。

考えてみたらこの蜃気楼も

誰かの夢なのかもしれない。

いや、これはイマドの発想か・・。

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