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チップの風習、アリ?ナシ?

私の週末のルーティンと言えば、ヨガ。家から車で10分もしないところにあるヨガスタジオに通っています。好アクセスな点に加えて、毎月何回レッスンを受けても同じ値段という、定額サブスク制なのもお気に入り。同じスタジオに通い続けて、あっという間にもう8年になりました。

先日、いつも通りにヨガのレッスンを受けていたら、突如ピコーンとスタジオから私の携帯へメッセージが。

読んでみると、「オンライン予約システムに新機能が追加!インストラクターさんへ、チップを払えるようになりました。ぜひこの機会に、感謝の気持ちを示してみませんか?」とのこと。

要は、「今後は毎月のサブスク費以外にも、追加でインストラクターさんへ、チップとしてお金を払ってね」ということのようです。

これって新手の値上げ?それとも純粋にインストラクターさんへ感謝の意を示すための新機能追加?若干モヤモヤする気持ちもありましたが、結局それ以来、毎回レッスン後にチップをお支払いすることに。

まあ別に、大金を払わなきゃいけない羽目になったというわけでもないんですが、なんだかなー。

チップはもらって当然?

チップと言えば、アメリカでコロナ禍以降にメジャーになってきたのが、下記の写真のような、支払い用のタッチスクリーンパネル。「今回のチップはいくらかな?」とこっそり暗算せずとも、「ご希望のパーセントのボタンを押してくれれば、システムが自動的に追加しますよ」というものです。

大変便利でありがたいのですが、最近このタッチパネルが、至るところに出没し始めました。ウェイターやウェイトレスが料理を提供してくれるレストランならまだしも、物を買って支払うだけのコンビニやパン屋さんなども。

「あれ?チップって、感謝の意を示すためのものじゃなかったっけ?」
「何かプラスアルファでサービスしてくれた時に支払うものだよね?」

いっそ「NO TIP (チップなし)」を選択すべきかと迷う時もあるのですが、レジの人がじーっと「この客は何パーセントを選ぶのだろう」と見ている場合も多いので、結局なんとなくチップを払う形に。ケチな客だと思われるのも嫌だし…。

でもこれって、客側の良心の呵責に基づいた、実質的な値上げなんじゃないの?と思い、アメリカ人の同僚にどう対応しているかと聞いてみました。すると「いいサービスを受けたと思ったらチップを払う。それ以外はNO TIP!」とキッパリ。なるほどねと思った次第でした。

チップ文化のある国・ない国

そもそも日本には、チップという風習がないですよね。他の国はどうなんだろうとふと思い、調べてみました。

上記のサイトによると、主に以下のように分かれるそうです。どうやら世界的に見ると、チップを払う国の方が多いようですね。

●チップが「いる国」
アイスランド・アメリカ・アラブ首長国連邦・アルゼンチン・イエメン・イギリス・イスラエル・イタリア・インドネシア・ウクライナ・エクアドル・エジプト・エストニア・カタール・カナダ・ギリシア・クロアチア・コスタリカ・コロンビア・サウジアラビア・シリア・シンガポール・スイス・スペイン・タイ・チェコスロバキア・チリ・ドイツ・トルコ・ニカラグア・パキスタン・パラグライ・ハンガリー・フィリピン・フィンランド・ブラジル・フランス・ペルー・ボリビア・南アフリカ・ヨルダン・レバン・ロシア etc.

●チップが「いらない国」
オーストラリア・韓国・カンボジア・スロベニア・中国・べトナム・フィンランド・デンマーク・台湾・ニュージーランド・日本・マレーシア etc.


先日、ある私の友人(アメリカ人)が、興味深いコメントをしていました。彼はダラスでUBER EATS(ウーバーイーツ)というフードデリバリーの運転手のアルバイトをしているのですが、A地区へのデリバリーは極力避けているとのこと。理由を聞くと、「A地区はアジア人系・インド人系の住民が多い。彼らはほぼ全くチップを払ってくれないので、デリバリーに行く気がしない」そう。どうやら「アジア人系・インド人系=ケチ」という印象を持っているようです。何かちょっとショック。これを聞いて私も、我が身を省みようと思いました。

なんだかんだいっても、アメリカはチップ大国。たとえ自分がチップ文化に慣れてなくても、郷に入っては郷に従えってことですかね。

チップを払いたくなる時もある

チップという風習も、悪いことばかりではありません。時にはウルトラC級の素晴らしいサービスをしてくれる店員さんに出会ったり、本当に懇切丁寧な対応をしてくれる担当者さんにお世話になったりします。どうもありがとう!この感謝の気持ちを、どうにかして相手に伝えたい!と心から思った時、チップというシステムがあってよかったなと思います。

日本に帰国した時にも、時折り「日本にもチップシステムがあればいいのに」と思う時があります。

というのも、日本のおもてなしは世界一!こんなきめ細やかなサービスまでしてくれるの?こんな素敵な笑顔で丁寧に対応してくれるの?というのを、何事もないようにさらっとやってくれるのです。

アメリカから来た身としては、何とか相手へ感謝の気持ちをお伝えしたいと思うのですが、チップというシステムがないので、結局は「ありがとうございます」と言葉で御礼を伝えるだけになってしまいます。お心づけというやり方もなくはないかと思うのですが、なんかそれもちょっと仰々しいような気もするし…。

私の勝手な見解ですが、日本にチップ文化を導入したら、インバウンドの方々から大金を回収できること間違いなしだと思います。だって日本のサービスって本当に別格ですから。

でも日本の皆さんは、そもそもチップをもらうために丁寧なサービスを提供しているわけでもないですし。

お金云々という以前に、最高のおもてなしを相手に提供しようという心遣いは、世界に誇れる美しい日本の文化だと思います。ぜひこの風潮を、今後も継承していってほしいものですね。

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