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*読書感想文*あの家に暮らす四人の女(三浦しをん/中央公論新社)

ちょうどコロナ禍の始まりから1年半ほど読書から離れていた。こんなに長い間本から遠ざかっていたのも珍しい。読書感想文も、主にブログという媒体で、書いては辞め、書いては辞めをかれこれ10年以上繰り返しているが、やはり同じ本を読んだ誰かと読書体験を共有できるのはなかなか楽しいものだし、未読の人へのささやかな道しるべになればという若干のお節介、そして自分が認めたものを折角だから誰かに読んで欲しいという少しの承認欲求から、凝りもせずまた読書感想文を書いていこうと思っている。私の拙い文章だけではつまらないかと思い、ハードルをあげることにはなるが、読了後ミニPOPを作成し、同時に掲載することにする。お楽しみいただければ幸いである。

蛇足だが、この読書感想文を『です・ます調』にするか、『だ・である』調にするかで、3日ほど悩んだ。後者の方が自己完結感があり格好もつくかもしれないと思い、『だ・である』調で書くことにした。スマホで書くかPCで書くかにも迷ったが、どこでも書き始められるスマホの方が都合が良かろうと、小さい画面にちまちまと入力することにした。何事もここまでテンプレートを考えないと始められない質なのである。

さて、記念すべき読書復帰第一号に選んだのは、三浦しをんさんの『あの家に暮らす四人の女』(中央公論新社)である。久々の読書なので、慣れ親しんだ作家さんの文章が良いだろう、できれば、ミステリーなどの展開が早いものよりは、日常系のしっとりした雰囲気漂うものが合っているかと思い、膨大な積読群から抜き出した。最初は予想通り、とある古びた洋館に住まう女4人の緩やかな日常と多少のアクセント的な出来事から始まったが、全体の折り返しちょっと前、具体的には(文庫本で)127ページに個人的には衝撃の描写があり、そこからは結構一気に読み進めてしまった。4人が織り成す様々な出来事がトントンと置かれているけれども、全体としては、最初の見立て通り、日常の緩い枠組みの中に物語があるのが心地よかった。ちなみに付け加えておくと、中盤以降はなかなかに三浦しをん節が炸裂するので、公共の場で本書を読む際はご注意いただきたいと思う。あちこちでシュールな情景が展開し、都度笑いをとってくるので油断ならない。私も何ヶ所か声を上げて笑ってしまった。主人公の一人、佐知が後半とあるピンチに陥るのだが、甚だ恐ろしく緊迫したシーンなのにも関わらず、後に明らかとなる本作全体の語り手が『乱入』したりと、小説だからこそできる面白さが詰まっていると感じた。しかし、この語り手の仕組みこそが本書をより面白くさせているのだろうと思う。ラストシーンはどうかしみじみと味わって頂きたい。単行本と文庫本で多少の差異はあるが、ちょっとミステリアスな雰囲気の表紙も読了後に見ると感慨深いものがある。




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