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チェンナイ観光 l 州立博物館・インドを学ぶモチベーションを上げにいく
8月初旬にチェンナイ州立博物館に行った。
広い敷地にいくつか博物館・美術館が並んでいる上野公園のようなところで、しっかり見ているとかなり時間がかかる。
消化不良ではあったが、とりあえずインドでどういう像が造られていて、どういう絵が描かれているのか、ざっくり知るにはとてもよかった。知識欲が刺激された。
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この日は遠足生がいた。
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絵が好きなので、まずは美術館を目指す。
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(引用:まちごとインド チェンナイ)
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国立美術館 (旧ヴィクトリア記念堂) ※入れず
こども博物館のとなりの国立美術館は、なにか作業しているインド人がいて、足場が組まれ入れないようだった。
あとからみていると長い棒を立ててカメラを動かしていたので、何かの撮影中だったようだ。
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帰ってから調べてみると、この国立美術館は以前はヴィクトリア記念堂と呼ばれ、イギリス統治時代に造られた「インド・サラセン建築」だそうだ。
イギリスはその時代、南インドの広大な寺院に否定的であった。特にマドライにあるような巨大でカラフルで市街にニョキニョキとゴープラムが建っているようなヒンドゥー教寺院は受け付けなかったらしいのだが、なんとなく気持ちはわかる気がする。
一方で、インドのイスラム建築に関しては「サラセン風」と呼んで称賛したそうだ。なのでその時期には各地にイギリスのゴシック様式とイスラム様式が合体したような建築物が建てられている。
他の例としては、
メイヨー・カレッジ@アジメール:ラージプートの王子たちの教育の場として建てられた。
ミュア・カレッジ@アラーハーバード:ゴシック様式と、タージマハルやビージャブル等のイスラム建築、エジプトのイスラム様式の諸要素を取り入れた建築。(乱暴すぎるという批評もあったらしい)
このヴィクトリア記念堂(現国立美術館)は 1909 年に建てられ、もっとも純度の高いインド・サラセン建築と言われる。ファテーブル・シークリーの大楼門に基づいたムガル風の建物である。
現代美術館
一番奥の現代美術館へと進む。
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1階は主に歴史を紹介するゾーンとなっており、奥に企画展用の小部屋がある。
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おそらく2階がメインなのだが、美術館といってもキャプションもほとんどなく、展示の仕方も雑で何の工夫もない。ただとにかく油絵等がごまんと飾ってはあるので、絵画好きならまずまず楽しめると思う。
ちなみに美術館および他の博物館に展示してある作品の説明はホームページから読める。
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ここでは、インドを代表する油彩画家ラージャ・ラヴィ・ヴァルマ (1848-1906) の作品を観ることができた。
19世紀から20世紀初頭にかけて(中略)、芸術の分野では、従来のギルド(職人組合)に従う工人たちと、社会的地位を持った新進の芸術家たちとの間に、一線が画されるようになった。
後進の代表といえるのがラージャ・ラヴィ・ヴァルマ (1848-1906) で、彼は西洋の油彩画方を用い、西洋「歴史」画の写実表現を踏まえてインドの神話場面や肖像画を制作した。それらはイギリス人から叙情的で洗練された作品と称賛され、彼の名声に伴いインド人芸術家の地位も向上したのであった。1892年、ヴァルマは大衆向けに油彩の複製を石版印刷で製造し始め、絵画市場を完全に独占した。当時、西洋美術を趣味とすることはステータスの証であったからだ。
インド人芸術家の地位向上に貢献したヴァルマであったが、その後、民族主義が高揚し、ヴァルマの作品を粗野で低俗と評したベンガル派の画家たち、というのが台頭してくる。
とりわけヴァルマの描いた女性の肖像画は、品位を汚すものとして酷評されたらしい。美術史にはどこの国でも似たような流れがある。人間が考えることは、どこの国でもあまり変わらないなあと思う。
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「マハーバーラタ」に登場するシャクンタラー
その他の絵画はあまり馴染みがないが、西洋美術からの影響を感じられる作品が多かった。
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もちろん西洋から入ってきた油絵以外の、伝統的な作品も展示されていた。
オリジナリティがありインドを感じられるので、こちらの方がすっと心に入ってくる。
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3階は物置きにされているのか、吹き抜け越しに大きな石や旧家のような構造物が見えて気になった。展示されることもあるのだろうか。
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美術館を見た後、来た道を戻り、入り口向かって右へ進む。
図書館の前
恐竜の像を越えると図書館がある。
これは1896年に設立された公立図書館で、インドで出版されたすべての書籍、新聞、定期刊行物のコピーがある。国連寄託図書館でもあるらしい。
中には入らなかったが、図書館の前の空間は静かで緑豊かな庭園風で、木陰になっていて涼しい。さすが大規模な図書館だけあって本を読んでる人が多かった。インドに来て初めて本を読むインド人を見た。
複数人で地面で勉強している学生たちもいて気持ちよさそうだった。
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公園のバザー
もう少し進み突き当たりの公園ではバザールが開かれており、商品がたくさん並び賑やかだった。
ミッキーもどきの滑り台がシュールだったのが最も印象に残っている。
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誰も遊んでいなかった。
インドではミッキー、ドラえもん、クレヨンしんちゃんのぱちものをよく見かける。もうちょっと似せてもいいんじゃないかと思うが、わざと下手に作っているのかインドクオリティなのか微妙なのがまたおつである。
ちなみにチェンナイには Dizzee land(ディズィーランド)というテーマーパークがあり、休日は家族連れでごった返している。
博物館 (本館)
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奥にある本館はひたすらに広い。まず入ると、石像が時系列に並んでいる。時代ごとに顔つきや精密さが違うのがわかり大変興味深い。が、展示物が多すぎてだんだんありがたみが無くなってくる。
部屋がたくさんあり、回る順序も決まってないので、遺跡から採掘された古代の神話レリーフが展示された部屋や、仏教関係でストゥーパのレプリカなどが置いてある部屋、しかし急に恐竜の骨が展示してある大部屋があったりして、途中からぼーっと回っていたので、コンセプトがわからなくなってしまった。
展示している作品の説明はホームページで読むことができるので、一個一個確認しながら回りたい方は予習をお勧めする。私は帰ってから写真と見比べてふむふむしている。
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左下 GANA : A large dwarfish yaksha ドワーフ・ヤクシャ。ヤクシャは古代インド神話に登場する鬼神で、夜叉の由来だそうだ。
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右 Surya:スーリヤはインド神話に伝わる太陽神
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パールヴァティはまた,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれるらしい。
マヘーシュヴァラは、シヴァのこと。ヒンドゥー教のシヴァ神の仏教における姿らしい。仏教とヒンドゥー教の神様が被っているのが面白い。
真ん中 Natesa : ナタラジャは、シヴァのこと。踊る神の意。
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この段階で、彫刻の命は完全に失われた。というようなことが書かれている気がする。。
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グプタ文字から発展し、パッラヴァ朝時代に使われたらしい。
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この博物館、とりあえず今までのインドの歴史で大事そうなものが雑多に並んでいるので、私は最初の方のインド神話の石像で力尽きた。
仏教や他のもろもろも多分いっぱいあったのだが、最後の方は飽きて足早に通り過ぎたので全部回りきれてない。
州立博物館のホームページをみると、展示作品が
考古学|人類学|美術|貨幣学|植物学|動物学
地質学|こども博物館|化学保存学
に分かれて紹介されている。なので、「美術」と「こども博物館」のくくり以外は、上記全部を博物館本館が網羅しているのだ。
そこそこ知識がないと飽きると思うが、全部考えながら観てるとたぶんここだけでまる1日かかる。
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ウダヤナ王のストーリーのレリーフなど。
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時間をあけて知識をつけたのちにまた来たいと思う。
たまに展示物が作業道具のように無造作に置かれているのが気になった。文化の違いなのだろうか。
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ランチの約束があり残り時間が少なかったが、最後にブロンズ館をさらっと観に行くことにした。
Bronze Gallery ブロンズ館
この博物館群で唯一冷房が効いていて快適だった。
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ここには有名なナタラージャの像が置いてある。ナタラージャは「舞踏家の王」の意で、シヴァ神の別称だ。インド神話はただでさえ登場人物が多いのに、別称や化身も多いのでさらに紛らわしい。
ナタラージャの銅像は13世紀のチョーラ朝に創られ、南インドを代表する作品として知られる。炎の円環の中で片足で羅刹を踏み、片足を上げた姿はシヴァ神の想像と破壊の二面性が表現されているそうだ。
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ライトアップされている。
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上のものに比べて踏んでいる悪魔の存在感が大きい(けど悪魔っぽくない)ので、ナタラージャより踏まれている方に目が奪われてしまう。
他にもブッダやガネーシャやパールヴァティ、その他いろいろな神がぎゅぎゅっと展示されているが、またしても知識が不十分なため消化しきれなかった。
帰ってから調べてみると、なかなか面白いエピソードを発見できる。
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モヒニーはヴィシュヌ神の唯一の女性アバターだそうだ。ヴィシュヌはシヴァとの子供を産んだりもできるのか。。
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昼食 Nippon Japanese Restaurant
この日はラダック旅行の打ち合わせということで、インドに来て初めて日本食レストランに行った。
Nippon というお店。しゃぶしゃぶ食べ放題がある。
家では日本食を作っているのであんまり欲しているわけではないが、しゃきしゃきの野菜が大量に食べれるというのはありがたかった。
珍しくつるつるで柔らかい豆腐が食べられる。(インドのスーパーで買う豆腐は水分が少なく硬い。麻婆豆腐が作りやすいので気に入っている)
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美術館や博物館は昔から好きで日本でも海外でもよく行く。
ヨーロッパに一人旅する場合は美術館にアクセスしやすい場所にホテルを取り、ほぼ毎日美術館に入り浸る。
インドに来て真っ先に行かなかったのは、正直インドの美術を全く知らなかったし、興味がなかったからだ。
インドで生活していく上で、仏教→ヒンドゥー教→イスラム教→ヒンドゥー教という変遷の歴史、インド人がベースに持っているインド神話を知らないと、相互理解が深まらないという気がしている。そこで、好きな美術や建築から入ればモチベーションが上がり楽しく覚えられるんじゃないかと思い、美術館・博物館に行ってみた。
結果としては、やはり西洋・日本芸術と同じようにはいかなかった。見ていて「なるほど〜」とは思うが、目が釘つけになるような、時間も忘れてしばらく惹きつけられる、という経験はできなかった。
日本では西洋芸術と比べると教育でかなり軽視されていることもあり、なかなかとっつきにくいし、単純に「色使いが綺麗」「見ていると心が落ち着く」「ドキドキする」「悲しくなる」とかいう全世界共通でわかりやすいメジャーな絵画要素が少ないと思う。あと彫刻が主な歴史的芸術作品だと思うのだが、「誰々の作品」と言われるような著名な彫刻家がいるわけでもないので(いるかもしれないが日本では有名ではない)、そこも心が惹かれにくい要素かもしれない。
自分の好きな画家を考えると、絵自体よりその人の人生や思想に共感を覚えたところから入ることも多いので、この人物が好きだっていう人を見つけないとハマるのは難しい。前途多難である。
歴史を学ばなければ、という気持ちにはなったので、読書する時間が増えた。それは喜ばしいことだ。
今回国立美術館には入れなかったし、また知識を蓄えて帰国までにはリベンジしようと思う。
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