始まりの季節におすすめの本たち
明日から新年度。桜が満開を迎え、街が和やかな雰囲気に包まれているように感じます。
4月から新しい環境を迎える方々は、多いのではないでしょうか。
環境や時間感覚が変わり目を迎えるこの季節。月に3〜10冊本を読む私ですが、今月読んだ本の中から、今の時期に寄り添ってくれる本をご紹介します。
①この世にたやすい仕事はない(新潮文庫)
津村記久子著
桜の季節は節目の季節。お仕事の変わり目を迎える方も多いのではないでしょうか。
そんな季節におすすめなのが、燃え尽き症候群で前職を退職し、ハローワークに通うこととなった36歳女性が主人公の小説。
小説を読み進めていると「はぁ、そんな仕事もあるのか」と思います。バスのアナウンスを作る仕事、おかきの袋に載せる豆知識を考える仕事、など。
こうしたニッチな仕事にも必ず苦労があります。そして、どんな仕事内容であれ、長く働いている人には、その仕事から見出した哲学がある。
この仕事は楽、楽じゃないという単純なものではないのだなぁと思います。
今、本業に疲れちゃっている人には特におすすめ。「ちょっと違う仕事をしてみたい」というのであれば、小説を読みながら、あらゆる仕事を擬似体験ができますよ。
私自身、燃え尽き症候群のようなものを経験したことがあるので、主人公の細かな心の動きにとっても共感しながら読みました。
②限りある時間の使い方(かんき出版)
オリバーバークマン著
高橋璃子訳
著書の中にあったワンフレーズ。
「時は金なり」ということわざがあるように、時間は有限であり、命です。ですが、それを過度に意識するあまり、生産性をあげることを重視したり、ひとつのことに没頭できなかったりすることがあるのではないでしょうか。
この著書の中では、
時間をコントロールしようと思う事自体が
無理なのだ、と警鐘を鳴らしています。
確かに、コントロールしようとしたくなるのが時間。ですが、思うように時間はコントロールできません。生産性をあげようとアレコレ取り組んだことがある方なら、薄々気づいているかもしれませんが。
こうして、できないことは痛みとして心に刻まれていきます。
著書の中に、高野山の寺で修行を積む外国人の話がありました。彼は滝に打たれる修行で、全身に痛みを感じ、ここから逃げたい気持ちになったと言います。ですが、ある時、打たれる痛みに全集中する思考に切り替えたそうです。すると、痛みは感じなくなったというのです。
ここからわかること。それは、本当は、痛みを感じる時は痛みを見てあげたほうがいいということです。
痛みから逃げようと、忙しく日常を送り、生産性をあげて、充実感を味わった気になろうとする前に。時間感覚を忘れるように生きること。それが自分が自分らしく生きるワザなのではないか。
そんなことを、著書を読み、感じることができました。時間を大切にしたいからこそ、読めてよかったなぁと思う1冊。
時間に追われ、日々に疲弊している人におすすめです。
明日からまた、フラッシュな気持ちで生きたいですね。
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