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小説『衝撃の片想い』シンプル版

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大長編小説『衝撃の片想い』のシンプル版。読みやすく直しました。よろしくお願いします。
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#序章

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【序章】②

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【序章】②

【序章】国民的人気女優の決意②

左手を見ると、指輪もはまっている。
背中には冷たい汗が流れ、動悸は鎮まらない。もはや、下着姿はどうでもいいことだった。すると、
「パニック障害の発作が出ては困る。落ち着きなさい」
彼がそう言うと、彼の左手が緑色に光った。よく見ると、彼も別のデザインのリングを指につけていた。ブルガリではないが、銀色のシンプルな指輪だ。ただの輪っかにも見える。
間接照明で薄暗かった部

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小説『衝撃の片想い』シンプル版【序章】①

小説『衝撃の片想い』シンプル版【序章】①

【序章】国民的人気女優の決意①

「息苦しい。お酒の飲みすぎかストレスかわかんない」
女優の奥原ゆう子はベッドの上で胡坐になって、心臓の辺りに手を置き、ゆっくりと胸を擦った。パニック障害の発作だった。しばらく深呼吸をしていて、そのうちに横になり、浅い眠りに就いていた。
ゆう子は27歳。二年ほど前からパニック障害の発作が出るようになった。慕っていた父親が死んでから体調が悪くなってきていた。
――お父

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