経営者のタイプと取締役会のガバナンスについて:先行研究におけるキーワード(Federo et al., 2020)
今回もFedero et al. (2020) をレビューします。
今回は論文中の表4 (p. 355) を見ていきます。表4には経営者のタイプと取締役会のガバナンス、ならびにそれらの経済的帰結が非常にわかりやすく整理されています。
①経営者のタイプについて
・家族
・孤高の創業者 (Lone Founder)
・企業
・機関投資家
・ベンチャーキャピタル
・国家
②取締役会のガバナンス
・構造
取締役の人数 (size)、独立性(independence)、会長兼経営者 (CEO duality)、経営者持株比率 (director ownership)など
・構成
ジェンダー、威信 (prestige)、政治的なつながり (political connections)、在職期間 (tenure) など
・過程
取締役会議 (board meetings) など
表4には取締役会のガバナンスについてまだまだ記載があります。
確かに先行研究では実に多くの視点から取締役会のガバナンスについて検討されてきたことがわかります。
③経済的帰結
・パフォーマンス
IPO後のリターン、ROA、トービンQ、売上高成長率、配当政策、CSRへの取り組み
・企業戦略
海外進出・研究開発投資・イノベーション・多角化など
・ガバナンスとコンプライアンス
監査報酬 (audit fee)、取締役会のモニタリング、監査法人の選択、租税回避 (tax avoidance)、利益平準化 (income smoothing)、利益の質 (earnings quality)、経営者報酬 (executive compensation)、モニタリングコスト、経営者交代など
①経営者のタイプと②取締役会のガバナンスが相互に関連しています。そして、それらが③経済的帰結に影響を与えます。①・②→③の関係を導く要素が (1) モニタリング、(2) 資源提供 (resource provision)、(3) 戦略的関与 (strategic involvement) です。
次回から①経営者のタイプ、②取締役会のガバナンス、③経済的帰結について丁寧に検討していきます。
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