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更に熱くなる、夏に。読書記録 格闘

読書記録 格闘

高樹のぶ子先生著
2019年 新潮社

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ずっと前から、そう「光抱く友よ」で芥川賞を受賞された頃から注目していた作家さんです。

何冊かは、読んでみました。
「オライオン紀行」は、私のお気に入りの一冊になりました。


さて、今日も図書館の高樹のぶ子先生のコーナーからちょっと悩みつつ選んだ一冊です。

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◎あらすじ
主人公の私、新進小説家で、今度はノンフィクションを書きたいと思っている。

そこで注目したのが、格闘技の中でも日本のお家芸とされる柔道だ。その柔道界で、彗星のごとく現れて、階級別で一度は全国制覇したが、その後は大会には姿を見せなくなった、羽良(はら)だった。以下、ハラショウとします。

当時の噂では、ハラショウはすごく強い、相手の動きを見抜いて動いてくる、隙がない、といわれていた。

私はまず、ハラショウの新聞記事を読み、ハラショウの住所を確かめ、質問項目を箇条書きにした手紙を送った。
そして、実際にハラショウに会いに行き、また高校時代の柔道部の恩師松本にも話を聞きに行った。

そして柔道を始めたとされる、高校のある街にたどり着いた私は、ある少年から、ハラショウの大胆な行動のエピソードを聞きつける。

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◎気になった箇所

278ページ 

ハラショウが母校の高校を訪問した時に、在校生にむけた話の中で

柔道のあらゆる技は、単独で技を掛けるか掛けらるかでは、ありません。すべての動きが流れていて、その流れが結果的に技となる。動きの流れが大事だということ、解っておいてください。

◎感想

✴︎格闘技とは、やはり自分の身を守るためにいかに相手を倒すか、という原則に基づいて場面に応じた技を駆使していくかということを念頭に置き、小説の中の人物たちの関係性をたどると、興味ぶかい。


✴︎✴︎主人公の小説家の私は、柔道家羽良の生涯をノンフィクションで書こうとするが、ハラショウは中々人とのコミュニケーションが、取りにくい。自分の心を開けず、肝心なところで進まなくなり私は文字通り格闘していく。その戦いのエピソードが各章ごとに柔道の技に準えながら展開していく、構成になっている。


✴︎✴︎構成としては、面白いが、全く柔道を知らない私は言葉での説明だけでは、イメージが湧きにくいので、やっぱり動画検索をして、なんとなく技の輪郭を頭の中で描きながら、再読した。


✴︎✴︎✴︎一人の人物、特に優れたものを持ち合わせた人の生涯は、興味深い。どんな幼少期をおくったのか、人生を賭けるものに出会ったのはどんなきっかけか、影響を受けた人物は誰か、転機はあったのか、そんなことを考えながら、ページをめくると、胸が高鳴る、そんな一冊だった。


そう、そして中々、ハラショウの生涯が今ひとつ明らかにならない、この小説、最後がまた、うーん、、、。でした。

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◎今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました🙏😊




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