GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた (第三部)6〜8章 読んだまとめ


コミュニケーションのルール

ハンドブックファーストが基本。運用により更によくして育てていくことも重要。
これを日常的に活用していくためのルールがあると良い。
慣れていない非同期コミュニケーションの足がかりとなる。

アンコンシャス・バイアスの制御
無意識の思い込みのこと。GitLab Valueでいえば「ダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギング」の部分。
アンコンシャス・バイアスについて「すべて排除すべき」は無理なので「自分はその影響を受けている認識を持つ」が重要。
例を挙げると
・帰属バイアス:他人の成功は運がよかっただけだ!と思うなど原因を勝手に判断すること
・確証バイアス:自分の先入観を補強するため近い情報のみ選定して強化すること
・ジェンダーバイアス:性別による特徴の思い込みなど

コミュニケーションガイドラインを設定し、遵守する
よくある質問などはガイドラインにまとめる。これによりコミュニケーションの疑問やトラブルは基本ガイドラインを検索すると回答が得られたりする。

非公開情報の取り扱い方
透明性を保つには、逆の「公開NGを定義」が必要。これのおかげで安心して公開できる。
GitLabでは「SAFEフレームワーク」というガイドがある。
・センシティブ(Sensitive)
・正確な情報(Accurate)
・財務情報(Financial)
・影響(Effect)
の頭文字。それぞれの切り口で公開(と公開NG)の基準を定義している。

ローコンテクストコミュニケーションを極める
日本語だと逆に難易度が高いが、言葉通りに解釈するコミュニケーション。受け手は空気を読むを無駄に行わず、それ以上の意味はないように。
発信側も解釈性の少ない言葉を選び、なるべく合致させるように。
要するに「配慮」が大事。
GitLabでは、ドキュメントなどを整備した上で「相手は何も知らない」という前提に立つことを推奨している。また、言語は英語に統一している。

同期・非同期コミュニケーション
同じテーマでコミュニケーションが3往復するようならオンラインミーティングを推奨している。
オンラインミーティングではスムーズに行うため、顔が見えるよう1PC毎に原則1人ずつ。ノイズに気づかない人には伝えるなどミュートを勧めるなど配慮をしておく。GitLabではツールはZoom、YouTubeのライブストリームに連携して議事録を貼り付けるなどもしている。
非同期コミュニケーションを加速させるためにも同期コミュニケーションを活用する事もできる。(1on1やお祝い事、デリケートなテーマなど)
気をつけるべき点としては以下。
・24時間以上前に会議の通知を送り、参加の可否は伝える
・全てアジェンダを添付する
・相談ではなく具体的なないように踏み込む

オンボーディング

新卒のみでなく中途にも行うのが昨今の常識。定着率にも関わるらしい。
GitLabでは入社予定者に既存メンバーと出会う機会を与えている。

オンボーディングバディ
新入社員にはバディ(相棒)を任命する。馴染むプロセスをポジティブな体験にするために重要な役割となる。
具体的には
・1on1(初日の就業時間に近い時間にやると更に効果的)
・オンボプロセスの進捗を確認し、悩みなどを拾う
・ハンドブックや社内ツールの使い方を促す
・週に2回以上ざっくばらんな会話する場
のようなことをすると良い。

期間の目安とフィードバック
バディのオンボーディングは1ヶ月くらいは行い、それ以降は社員の希望を聴きながら調整。
とはいえ、Googleの人曰く、一般的な社員と同じレベルのパフォーマンスを発揮するには9ヶ月必要と言われているらしい。
影響力の高い役割ほど、周囲のサポートなしにパフォーマンスを発揮するのは無理。
新入社員に対して「お手並み拝見」みたいにするのは正直NG。
きちんと期待に対するフィードバックを行う事で早期に戦力化してくれる。

心理的安全性

「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」を指している。
not 生ぬるさ。高い成果の責任は常に求められる前提がある。

どんな発言や行動をしても「無知・無能・邪魔者・ネガティブ」と扱われない体験を蓄積する事で確信に変わっていく。
人は無意識に他責思考(自分の失敗は他人のせいなど)になりやすい。これを自覚した上で発言のしやすい環境を自分たちで作っていく意識が必要。
・健全なコンフリクトを促進
・ボトムアップしやすく発言権を与える
・お互い信頼する
などなど。

同意しない、コミットする、同意しない
反対意見を持っていても、決定事項なら実行され、検証されるまではコミットしなければならない。検証で明らかになったことこそが正しい。
GitLabではDRIを採用している。

前向きな意図を想定する
まずは「相手がベストを尽くしていた」ことを前提に立って会話をする。
自分の状況が正しく理解されてると分かって初めて(原因が自分だった場合でも)失敗を認識できる。
チームが前向きな意図を想定してくれるという確信が、学習の機会を最大化してくれる。

フィードバックの方法
改善を求められるフィードバックは誰であっても気分が良くならない。
(人はネガティブをポジティブの6倍強く反応するらしい)
ネガティブFBをする前提として、ポジティブなフィードバックや人間味のあるコミュニケーションを行って良い関係を構築しておく必要がある。
伝え手側は、「SBIモデル」という状況・振る舞い・影響を組み合わせて伝える方法が良い。経験や影響については決めつけではなく「自分からはこう見えた」など個人としての見解の方が吉。
いずれにせよ、相手を責めるではなく、相手を良くしたいという心情を乗せるようにすることが重要。
受け手側は前向きな意図が込められていることを忘れないようにすると良い。
ポジティブなFBならみんなの前で。ネガティブなFBなら1on1で行うと良い。

ルールの遵守
時には心理的安全性を損なう行為に対する罰則も必要なことがある。ルールが守られなければ醸成できない。
多様性を尊重するならルールがない方が良いという考えもあるものの、業務を進めるためには個人の性格や価値観よりも組織としてはアウトプット・アウトカムが重要になるため、ルールの上でコラボレーションをする必要がある。

読書会の感想

日本語がハイコンテクストになりやすい話題は盛り上がった。読書会にインドネシア人もおり、インドネシア語もハイコンテクストだったので日本語が特別というわけでもないらしい(本にコンテクストの高低を表す図がある)。
オンボーディングにおけるバディは制度としてしっかりしようという話になり、人ではなく制度で変えていけるのは良い流れだなと。

また、認知バイアスについて好きな人(?)がおり、まとまったサイトを紹介された。
個人的にIKEA効果(自分で作ったものは良く見える)のネーミングが面白かった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?