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「おごられて当然」と考える妹に、ケチな私がおごり続ける理由

ケチなわたしが、すすんでおごる瞬間がある。妹と出かける時だ。

妹はわたしの3つ下で、いまは人材系企業で新入社員として働いている。彼女はわたしと違って、人に甘えるのが昔から得意だった。お小遣いをもらいながら欲しいものは親に買ってもらっていた。学生時代にしていたアルバイトでは、遅刻魔の妹を見かねて店長がすすんで妹の出勤日にモーニングコールをしていた。(店のホワイトボードに「〇〇(妹)にモニコ」と書かれていたらしい)社会人になっても、役職者の男性から「おもしろい子だね~」といわれてご飯をおごってもらったという。妹は目上の人にお金や労力をかけさせるのが得意なのだ。

そして姉である私も、最近妹に積極的におごるようになっている。明日妹と一緒に舞台を見に行く。その近くに美味しい焼鳥屋を見つけたので、妹を誘った。妹は「おごってくれるなら行ってやってもいい」と言うので、「じゃおごるから行きましょう!」と約束した姉は、お店の予約まで済ませておいた。もはやどっちが上なのか分からない。かつてケチでプライドの高い私だったら、妹の図々しさには怒り心頭だったはず。それなのに、今は心のどこかで妹におごるのがちょっと楽しくなっている。

ただ私は「おごる」行為自体が好きなわけではない。単純にお金が倍以上なくなるし、何より遠慮しあうやりとりがめんどくさい。こちらが全額払った時は、「え、払うよ!」「本当にいいの?」と支払額のやり取りを経て「ありがとう、次は払うね!」とお礼を言われる。礼儀正しくて素晴らしいとは思うけど、この建前のやり取りが面倒に思えるときがある。

その点、妹には「おごる」という選択肢が1㎜もない。最初から「おごるなら行く」と断言しているし、お会計時にも財布を出すふりも全くしない。たまに会計額が安くなるクーポンを提供してくれる時もあるけど、「クーポンで安くなった分食べていいよね」と余計に注文をする。要するに、妹はわたしにお金の面で全く遠慮してこない。払う気が一切ない。その妹の図太さがかえってすがすがしく、わたしはついつい妹分までおごってしまう。

「パパ活」も、こんな気持ちかもしれない。年下の子が自分に全く遠慮せず、素直に自分の好意を受け取ってくれるのはたまには心地がいい。建前も遠慮もない関係、すごく楽だ。妹は今1人暮らしをしていて、1か月に2~3回実家に帰ってきている。まあ、たまにならおごってもいいだろう。そうして私はいつも、妹に財布を開いてしまう。

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