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離婚への不安はあっていい、相談できる場所はあるんだよ

夫婦仲良くずっと一緒に暮らすことができるって、とても素敵なこと。でも、人によって状況はさまざまで、悩んだ末に「離婚」を選択する人もいます。ひとりで考え悩み、八方塞がりになることもあるかもしれません。ともすれば相談しにくい離婚についてのプロセスを、自身の体験をもとに振り返りたいと思います。

湧き上がる感情のあれやこれ

離婚を決めるまでと決めてから、不安やすっきりとした気持ち、喪失感など、湧き上がる感情は人それぞれで、全く同じではないでしょう。
子どものいるいないや状況によって大きく変わるかもしれません。離婚してすっきり楽になる人もいれば、ネガティブな感情にさいなまれる人もいると思います。

ここでは、離婚前後の心に感じた感情について紹介します。

・まずは心の声に耳を傾ける

私は、湧き上がってくるさまざまな感情としっかり向き合わざるを得ませんでした。そうしないと前に進むことができなかったからです。怖くて現実逃避をする日々も長く続きました。それでも、まずは自分の気持ちを認め受け入れるという作業を、丁寧に時間をかけてやってきました。

・ネガティブ感情はあって当たり前

私が感じたネガティブ感情は大きく分けて3つです。(人によって異なるので、あくまでも私の場合ということを付け加えておきます)

1 不安
共働きではあるものの、これまで夫と合わせた収入で、子どもと4人暮らしてきました。離婚し、ひとりで子どもを育てていくことへの経済的・精神的不安に、何度も押しつぶされそうになりました。

2 罪悪感
離婚は大人同士の事情であって、理由がなんであるにせよ、子どもを巻き込んでしまいます。「家族をうまく保つことができなくてごめんね」。この思いが、長らく自分のなかから消えていかないことに気づきました。

3 喪失感
同じ時を過ごした人との別れのあと、心にはぽっかりと大きな穴があきます。自分で選択した「離婚」であったとしても同じ。そしてもうひとつ、家族といういちばん身近なコミュニティが崩れたことへの喪失感も、大きなものでした。

・ネガティブだけでは決してなかった

4 自由と責任
離婚後は、精神的な自由に包まれました。奥さんという役割から解放されたような感覚です。私は、母親は頑張れても、奥さんをうまく担うことができませんでした。「私」というただの自分に戻ったあとは、軽やかさを感じました。そして、自由の後ろにくっついてきたのは責任。それをも引き受けていこうという覚悟は、あとから少しずつついてきたように思います。

離婚に対するイメージは悪いもの?


離婚を考えていることは、なかなかオープンにはできませんでした。私にとっては相談しにくいデリケートな話題で、「離婚=良くないこと」という思い込みに縛られていたからかもしれません。周りや社会が抱くイメージもあるのでしょう。いつしか、離婚を考え決断した自分を、否定し責めるようになっていました。罪悪感も大きく、今もまだその感情から完全には抜け出せないでいます。

ここでは離婚に対する私が感じたイメージをお伝えします。

・離婚は子どもがかわいそう?

「離婚は子どもがかわいそうだから我慢したほうがいいよ」
「片親って子どもがかわいそうだと思うよ」
これは、私が周りの人から言われてきた言葉です。自分の離婚に限らず、仕事中も日々の会話からもよく耳にしてきました。もちろん、大人同士の事情はなんであれ、子どもを巻き込んでしまうことはまぎれもない事実ですよね。



・みんなが幸せになるために、選択するという場合もある

それでも、みんなが幸せになるためにする離婚はあると思います。離婚することで、お母さん(もしくはお父さん)に笑顔が戻り、子どもと穏やかに過ごせる人もいます。離婚に至る背景やエピソードは千差万別。一般的にいうと「離婚=ダメなこと」、「子どもがかわいそう」というイメージは、持たなくてもいいのではないでしょうか。

母親だってひとりの人間、強さも弱さも両方もっている


「母親だから頑張って。しっかりしないと、いい大人なんだから」。お母さんという役割を持つ人は、周りや社会からどれだけの叱咤激励を受けるのでしょう。誰かに言われなくても、お母さんはもうすでに、その人にしかない強さを持っています。表出しているかいないかは別としても。役割を求め過ぎた場合、時としてお母さんを苦しめることがあるかもしれないと感じています。
子どもを持つお母さんも悩むことはあり、強さ弱さも両方あって自然です。

この章では、離婚前相談について感じたことを伝えていきます。

・離婚の前でも相談できる場所はある

子どもを守る制度や資源はたくさんあり、さまざまな団体や人が熱心に考えています。子育てについても、たくさんの情報が溢れているのが現状です。お母さんが離婚について悩み困っている時、気軽に相談できるところはあるでしょうか。私はこの段階がいちばん苦しかったので、離婚前、実際に相談した場所を伝えていこうと思います。

・デリケートな問題を誰に相談しようか?

長らく夫とだけ話し合ってきました。当事者同士なので、感情的になることもしばしば。2歩進んで3歩戻り、停滞する日々を繰り返し、八方塞がりな状況が続いていきます。信頼できる友達や家族に相談できたかもしれません。私の場合は、2度目だったこともあり、心情的に具体的な相談をすることがどうしてもできませんでした。

・公的な相談機関とインフォーマルな社会資源

そんな私が相談したのは、行政の子育て関連の窓口。子育て支援の課が、ひとり親や離婚後の手続きの窓口であることは仕事柄分かっていましたが、離婚前相談があることは知りませんでした。養育費や子どもにかかること全般、住居や医療費含め生活について、希望すれば就労についての情報も受け取ることができます。

私は、電話も含めトータルで6回ほど相談しました。市の無料法律相談につないでもらい、財産分与について聞きに行くこともできました。公証役場に行く前に相談することで、公正証書に書く文言やポイントを教えてくれるというものです。

頼る人がいなくても、住んでいる地域には行政の相談窓口があります。今回、民間の団体やNPO法人も、ひとり親、プレひとり親のための相談窓口をもっていることを知りました。

・相談することで得られるものってなんだろう

離婚前の相談で得られたことが2つあります。

①現実的な手続きや制度への理解。
詳しく知ることができると、その先のイメージと行動が明確になります。専門機関に相談した私のその後の動きは、驚くほどスムーズかつスピーディなものとなりました。

②安心感と心強さ。
八方塞がりとなり、意を決して行政機関に電話した日のことをよく覚えています。電話口の相談員さんは、開口一番「お母さん、よく連絡してきてくれたね。大丈夫。ひとりで考えていくことじゃないから、一緒に整理していきましょう」と言ってくれました。その言葉を聞き、自然と涙が溢れてきたことも、しっかりと記憶しています。

誰かと話すことで、離婚を思いとどまる人もいるでしょう。私の場合、これからやっていくことと自分の気持ちの整理が、より明確になった瞬間でした。

まとめ

離婚に至るプロセスでは、多くのエネルギーを必要とします。それでいて、相談しにくかったり自分を責めたりと、ネガティブな感情にさいなまれることもあると思います。子どもを思い、自分の気持ちを大切にしていこうと決めても、悩み、考え、疲れ果ててしまう人もいるかもしれません。そんな時は、ひとりで全てを背負わずに、どうか相談できる場所や人を頼ってください。お母さんの笑顔は、子どもにとって嬉しいものに違いないと思います。

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