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残せないその一瞬を残したくて

フォローしているゆこさん。

「人生ずっと誰かのファン」というプロフィールは、長年そういうものとは縁遠かった私にはまぶしいかぎり。

ゆこさんが熱く語るアーティストのことはわからないまま、推しを推すその熱量とファンづくりの手伝いをしたいという思いに惹かれ、誰かのファンであるゆこさんのファンになった。

(ゆこさん、はじめまして。突然の引用失礼します。)


先日読んだ記事に、自分事として刺さってくる一節があった。

でもね、この綺麗な瞬間を切り抜き動画みたいにコレクションして持ち続けることって相当むずかしい。こんなに印象に残ったにも関わらず。日常と、これからも通い続けるライブで日々「忘れたくない瞬間1位」も塗り替えられていくんだよ。

ゆこさんのnoteより

ライブで、心を奪われる瞬間。それはステージの見せ場とは関係なく訪れる。自分目線に偏った、他の人は誰ひとり何も感じなかったかもしれない一場面。忘れたくないと願っても、記憶は後からどんどん上書きされてしまう。

わかる。ものすごく。ただし、Jリーグの川崎フロンターレにはまり中の私の場合、ライブではなく試合なんだけど。

ぐっときた場面がいつも得点シーンや決定機であるとは限らない。YouTubeとかで見ることができる試合ハイライトやゴール集とはまったく違う、自分だけの名場面集が作れたらいいのに、と常々思っている。


引用したゆこさんの文章を読んで真っ先に頭に浮かんだシーンがある。2021年夏にライブ配信で観たある試合の、わずか数秒のできごとだ。

J1リーグ連覇を達成した2021シーズンのフロンターレ。でもこの時期は、主力選手の海外移籍や負傷離脱などもあって、開幕以降続いていた快進撃にかげりが見え始めていた。ずるずると首位を明け渡すのか盛り返すのか、その分岐点とも言える試合だった。

リードしたものの押し込まれる展開。相手チームのコーナーキックが続く。キッカーが準備している間、画面がゴール前の様子を引きで映す。その数秒の映像の中に、私のその試合のハイライトがあった。

ピンチの状況が続いているにも関わらず、画面の中では味方選手の緊迫した雰囲気が少し緩んだようにも見えた。その中でひとり気を吐く選手がいた。私の大好きな選手が、手をたたき大声で仲間を鼓舞していた。


インタビューなどでの穏やかな声とは印象が異なる高い声。それが自分の推し選手のものだとすぐには判別できなかった。観戦歴がまだ浅かったこともあり、クールで淡々としたイメージの彼のこのような熱さを見るのは初めてだった。

忘れたくなくて、視聴可能期間中その場面だけを何度も繰り返し見た。動画を保存することもできたのかもしれないけどそれはしなかった。1か月たって配信期間は終了し、私のハイライトはたぶん永久に見られなくなった。


ゆこさんの文章はこう続く。

人間の脳って本当によくできていて、忘れたたとしても、消えた訳ではないのが救い。きっかけさえあれば、大切な記憶が古くなっても、きちんと引き出して味わうことができる。だとしたら引き出すための鍵が必要で、それの置き場としてわたしはnoteを使いたい。

ゆこさんのnoteより

読んで思った。先ほどの私のハイライトシーン、ところどころぼやけているもののここまで記憶を保てているのは、繰り返し見たのもあると思うけど、文章に残していたからかもしれない。

「初めて見る山村選手の咆哮に胸が熱くなった」。ざっくりすぎて、残したと言っていいのかもわからないけど。でもこれすら書いていなかったなら、もっと早いうちに記憶から引き出せない状態になっていたのかも。


そう考えると、書くことの価値を改めて感じるし、これからそういった瞬間をどんどん書き留めていきたいと思う。

語彙力表現力のなさに読み返して恥ずかしくなるのは間違いないけど、めげずに書いてみたい。書いているうちに、語彙力表現力も多少は上がるかもしれないし。

私はどこに置き場をつくろうか。オープンなのかこっそりなのか。ちょっと考えてみよう。




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