エンジニア正社員採用冬の時代
先日こういうツイートをしました。
今回は、エンジニアを正社員で雇うハードルってまた上がってきてるんじゃないか、と思ったのでそれについて解説していきます。
私はこう思います。
「エンジニアとして普通以上のスキルがあれば業務委託でカンタンに稼げる。いまや資本金1円でも法人が作れる時代。自分の会社を作れば、個人事業主の弱点だった厚生年金にも加入できる。なのに、あえて可処分所得を下げて正社員で働く理由ってなんだろう?」
正社員を募集する側がこの問いに答える時代が来ているのではないかと考えています。
ちなみにコロナ禍でのエンジニアの市況感についても別記事で開設しています。
突出した技術力があると業界から認知されている
身も蓋もない話ですが、エンジニアが「ここで正社員で働くとブランドがついて転職に有利だろう」と思うような企業です。
転職において前職の経歴というのは本人の実力以上に重要です。ペーパーではあなたの実力を見せる機会などないのですから。
採用側にとっては認知度というのは技術力以上に重要です。ペーパーではあなたの現場の技術力を見せる機会などないのですから。
「ここで数年正社員でいたほうが、自分自身の成長も期待できるし転職するにしても有利になるだろう」
そう求職者に思わせられるかどうかがポイントです。
超安定した経営基盤があって終身雇用が保障される
終身雇用を保障する気があるか、そして保障できる経営体制があるかという話です。
「クビにならない」環境が整っているからこそ生き生きと働ける、という身も蓋もない話です。
これが保障できない、どうせクビになる可能性があるなら、エンジニア側としては潔く業務委託やったほうがお金たくさんもらえるので(たとえ税金を自分の手で払ったとしてもたくさん残ります)有利という結論になってしまいますよね。
超すごい会社独自の福利厚生がある
「超すごい」ここ重要です。「社会保険完備!」とどや顔でアピールしている求人票をたまに見かけますが、これは法律上最低限の福利厚生なのですごくもなんともありません。
そもそもフリーランスでもどうしても社会保険に入りたければ法人成りしてしまえば良いので、比較優位になりえません。
それから、勘違いしている人が多いのですが「賞与が高い」は福利厚生ではありません。労働基準法により基本給は下げられませんが賞与は企業の裁量で下げることができるので、むしろ賞与なんて貰わずにすべて基本給で貰った方が働く人にとっては有利です。
一昔前はボーナスは社会保険料の算定を免れることができたので税制上のメリットがあったのですが今はガッツリ課税されます。
「書籍を会社の金で購入可」も渋いですね。補助額が知れてるので「それ別に業務委託でたくさんお金貰って自分の経費で買った方が結局お金残るやん?」って話になります。
「企業年金」厚生年金+国民年金に追加して、(ある一定額を積み立てることで)企業から年金が貰える仕組みです。
このあたりから「超すごい」福利厚生になってくると思います。業務委託フリーランス→マイクロ法人設立、では作りにくい、明らかに大企業優位な仕組みの一つです。
「入社初日から20日の有給休暇付与+病気休暇は別で付与」
これも珍しい仕組みです。法律上は「有給は入社6ヶ月後から10日付与、それ以降は1年間に1日ずつ付与日数が増える」が最低限のラインであり、ほとんどの企業がそれに沿って運用していると思いますが、いきなりMAXを与えてやるという企業は少数派と思います。
「社宅・社員寮制度あり」
これもマイクロ法人では作りにくい仕組みです。与信の関係や、物件取得に相応の金銭を用意することが前提でありなかなか再現しにくいです。
こういった制度は昭和〜平成初期にはよく導入されていたのですが、実は給与を現金で支払うよりも社宅をあてがって格安賃料で済ませるほうが企業側に税制上のメリットがあり、社員は賃料相場より低い賃料で住宅に住めるというWin-Winの仕組みだったわけです。
日本の大企業の仕組みは実は税制に最適化されているものが多いので、調べてみると面白いかもしれません。
こういった仕組みを持っていない企業はどうすれば良いのか?
3つ挙げましたがこれは「資本をたくさん持っている企業」しか用意できない条件であるというのもまた事実。
こういった条件を持てない会社はどのように人を採っていけばいいのでしょうか。
「未経験を育てる」
社内の研修・教育制度を整備して未経験を戦略化するノウハウを社内に蓄積します。
資本がないなら、頭を使う。脳に死ぬほど汗をかくしかないんです。
もちろん、簡単なことではありませんが、こうすればフリーランス市場との競合がなくなるので、ポジショニングで有利に立てます。
「暗黙の年齢差別をやめて40歳以上もきちんと評価する」
年齢で求職者を差別することは公的には禁じられていますが、ろくに履歴書を読みもせず「厳正なる審査の結果」落とす運用をしていませんか?
資本がないなら、頭を使う。脳に死ぬほど汗をかくしかないんです。
「その人が何をやってきたのか」「その人はどう使えば、ウチでのパフォーマンスを最大化できるのか」
をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
ちなみに余談ですが、フリーランスの求人票には(労働基準法の影響を受けないからなのか)平然と年齢制限や性別制限が書かれているものが出回っていたりします。地獄です。
まとめ
・フリーランスの認知度向上により正社員エンジニアの採用は厳しくなってきている
・フリーランスでは得られない何かを提示できる必要がある
・資本力で勝てないなら脳に死ぬほど汗をかけ
関連
フリーランスエージェントを使うとスキルが平均以上だと割と速攻で仕事決められたりします。仕事を取る難易度が下がってきたことも、フリーランスと正社員が「比較」されるようになってきた背景の一つです。
冒頭で少し触れた法人成りについて。厚生年金に入りたければ個人事業主でも法人化という方法があります。
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