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日本のIT業界の今後の見通し

こちらのツイート群が反響があったので、少し掘り下げて解説していこうと思います。

新技術は日本からは生まれてこない

まず、これからITに関する新技術が日本発祥で生まれてきて、世界に展開していく...という可能性は低いと考えています。

今までの歴史を紐解いていっても、例えばSNS。「Facebook」、「Twitter」、「youtube」、「instagram」すべて海外のサービスです。

「mixi」や「ニコニコ動画」が流行っていた時期もありましたが、海外勢の圧倒的な技術投資額に押されてしまっている印象です。

テレワークで利用している「zoom」、「Google meet」、もっと遡ると「Skype」もすべて海外製です。

検索エンジンも日本ではかつてヤフー、infoseek,gooなどたくさんあったのですが、今はGoogle一強状態です。

「じゃあなんで日本では新しい技術が生まれてこないのか」について。

これは「日本語圏のパイが狭い」ことが原因だと考えています。

日本の会社が日本人向けのサービスを作ろうとした場合、獲得できる顧客は最大で1億2000万人。

実際にはセグメントを分けてサービスを展開するでしょうから、そのサービスを利用するのは最大で数百万〜千万人程度のオーダーになります。

とすると、そもそもビジネスに投資する投資額が絞られてしまう。顧客の天井が低い以上、青天井にお金を突っ込むわけにはいきません。

米中はどうでしょう。

英語の母国語人口は4億、中国語の母国語は9億弱。

最大で取れるパイの大きさが数倍違うので、日本の数倍の投資をしてもビジネスとして採算があってしまう。

なので「これから」の技術の開発は米中に収束していく可能性が高いと考えています。

もし、あなたがIT業界への就職を考えている就活生で、かつ最新の技術や、失敗するかもしれないけれど成功すれば世界を変えられる技術を習得したい、と考えているならば最初から日本のIT企業に就職する選択肢を捨てた方が良いかも知れません。

米中で「枯れた」技術を日本に輸入する

とはいっても、日本からIT会社が全部なくなるわけではありません。

ITには他の業界に比べて「限界費用が極端に低い」という特性があります。

外国産の車を日本に輸入して所有するのには関税含め莫大なコストがかかりますが、Facebookが作ったReactを自分のPCにインストールするのは無料で一瞬でできます。これがITにおける「限界費用の低さ」です。

新技術を開発するのは簡単ではないですが、横展開をするのはそれほど難しいことではありません。

また、前段で述べたとおり、日本語の話者は1億2000万人程度でかつほとんど日本でしか使われておらず、逆に考えるとここに参入障壁があるといえます。

なので、海外で開発された技術を「利用」して、日本向けの、かつ海外サービスと競合しない領域を埋めていく戦略が重要になってきます。

余談ですが、紹介した「枯れた技術の水平思考」を実践している任天堂のゲームは逆に世界基準で使われている、という事実は趣深いものがありますね。

ITにおけるアービトラージ戦略、あるいはタイムマシン経営

これからのIT業界では「日本のガラパゴスで育った低レベルなシステムを、世界標準の技術・システムでリプレースする」という動きが伸びてくると考えています。

例えば業務システムではスマホ対応していないものが未だに多いです。これをスマホ・タブレットでもしっかり使えるようにリプレースしていく。

ネット黎明期に作られたような使いにくい独自のアクセス解析システムをつぎはぎしながら使っているようなものを、Google Analyticsベースに置き換えていく。

Webサイトを見ても、特に零細企業や個人事業のホームページに未だにHTTPS化してない問い合わせフォーム、結構見かけます。こういうのはHTTPS化するだけで問い合わせが倍増したりします。

逆に言えば、こういったシステムがたくさんあるので「世界標準の技術レベルに引き上げる」ことが日本では競争優位になりうる。

また、技術レベルを埋め合わせていくための需要が発生する。

当たり前のことを当たり前にやれば儲かる世界が日本にはまだまだ残っている。私はこう考えます。

2019年の記事ですが、この記事の前半に書いてあることが非常に参考になります。

もっと個々人がアービトラージ(裁定取引。さや抜き)を取る行動をし続けるべきだ、と最近は思っています。たとえば、大学が産業界に対して役に立っていないと思うなら、自分だけちゃんとやれば活躍できるじゃないですか。アメリカでやっても当たり前だから目立たないでしょうが、日本では珍しいですからね。だから、国や企業が変わってくれたらそれでもいいし、変わらないならそれを逆手にとってアービトラージを取ればいい。(引用元: AIの旗手、松尾豊・東大准教授に聞く、日本の組織で戦うコツは『信長の野望』に学べ!?)

まとめ

この記事では

・世界を変える新技術が日本からもう出てこない理由

・海外で開発されたサービスを日本に輸入する動き

・これからのIT企業におけるアービトラージ戦略

について書きました。

一つの記事で一連のツイートについて解説しようと思ったのですが、長くなってしまうので記事を分けようと思います。(自分の過去記事をスマホで改めて見返すと、自分でも「長すぎる!」と思いましたw)

中編・後編も追って書きます。

中編はこちら


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