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ゆきしろ
2023年11月25日 15:19
己が世世恋衣打つ霙かな 以下、参考作品
2023年11月3日 03:32
その人と過ごした時間の中で堆積した怒りとか悲しみとか好きとか嫌いとか、ぐちゃぐちゃに混ざり合った色々な感情を濾過して残った透明なもの、これはたしかに愛だと思う。
2023年9月24日 20:16
人々の細かい涙の粒でできた秋の夜の空気のなかを、深海魚のように泳ぐあなたになら裏切られてもいい、そう思って私を選んでくれていた人を、裏切りたくなかった私とおなじ色をした人を、傷つけたくなかった後悔でもない、恨みでもない、未練でもない、憎しみでもない、諦めでもない、嘆きでもない、純度100%の透明なかなしみで、秋の夜の空気はつくられている。
2023年4月27日 12:47
桜より寿命の長い恋だったと思えばまた生きてゆけると
2023年4月27日 00:04
離れたほうが大きく鮮明に見えるそれに、気づいていないわけではなかったけれど、ずっと違うと否定していたかったのに、静電気の小さな痛みと衝撃で、気づかされてしまった、はっきりと。異なる極同士がぶつかり合い、かたちなきものが確かな輪郭を持ち、その疼きの輪郭を、抜毛症のひとが毛を抜くみたいに、繰り返し繰り返しなぞる。呻きながら、震えながら。
2023年3月15日 22:28
地面に散った桜の花びらを踏みたくないので、お花見には行かないことにしているのです。切れかけの蛍光灯みたいに瞬きを繰り返すこの瞳もそろそろ交換すべき時が来たのでしょう未知に満ちた道を彷徨した帰り途、遠くでサイレンが鳴り響く。あの人は結局自分の約束事を果たせたのだろうか
2023年2月16日 16:02
ぼくは一緒に孤独を抜け出してくれる人じゃなくて、一緒に孤独でいてくれる人が欲しいのだと思う。きみと別れて一層美しく響くようになったスピッツの『冷たい頬』と、きみが残した手帳の独白が教えてくれた。ぼくはひとりになりたいから、あなたも一緒にひとりになって。そう思いながら、海で生まれたいきものと山で生まれたいきものたちが一堂に会する墓場を食べた。別れたことで、我々の関係は完全なものになっ
2021年12月29日 04:34
キャンドルの炎は自らを取り巻く かすかな空気の振動を繊細に敏感に感じとり それに合わせて踊るように揺れる同時に我が身を燃やしながら周囲をそっと照らし ほのかにあたためる遠くのひとにはそのぬくもりは伝わらない彼女が明るさとぬくもりを分けてやれるのは 自分の周囲だけだからそれでもよい、と彼女は思う彼女の火は すべてを照らし 包み込むには小さすぎることを知
2021年11月26日 10:03
朝の柳は 気怠げに夢とうつつの はざまを揺れる湖に浮かぶ小舟のように穏やかな光に包まれてゆうらり ゆらりと 揺れている風のささめきに耳傾けてこっくり こくりと 船を漕ぐ
2021年12月12日 23:44
あるとき、誰かが池の中に 小さな石を放り投げた
2022年6月6日 18:55
言葉は意識の流れを堰き止める石のようなもので私はそれを拾い上げるように書く石を拾い上げると再び意識は流れ出しまた別の石に堰き止められる石はさまざまな色やかたちを持っていて水面に顔を出している石もあれば水面下に眠っている石もある詩を書くことはまるで流れる意識の底に潜り水面下に沈んでいる石を拾うような営みだ手探りで言葉を探し見つかることもあれば 見つからないこともある
2022年6月18日 10:31
こころはいろいろな色を映す泉晴れた昼空のあおいろを映すときもあれば夕焼けのももいろを映すときもあるそうして いろいろな色が映り込む透明な水でいつも胸の中は満たされているところが 夜の闇に塗りつぶされると泉は真っ黒になってしまう泉にたくさんの泥が投げ込まれると水はたちまち濁ってしまう泉が土砂で埋め立てられると水は湧かなくなってしまうでも 再び光が差し込めば
2022年10月21日 01:39
ほんの一滴 雫が落ちて水面にちいさな波紋をつくりだんだん 大きく広がって遥か遠くのあなたへ届いたほんのかすかな その揺れにあなたは気づいて 微笑んだ
2022年11月4日 19:51
エレベーターが開く直前人と出会す可能性に怯える恐る恐る 中を確かめて誰もいないと確信したとき独りだけの空間に安らぎを覚える束の間の安らぎ誰もいないエレベーターが好きだ個室が好きだトイレの個室、 締め切った自室、誰にも侵されない、自分だけの絶対領域。日々殺されつつある自分をすこしだけ回復する