見出し画像

「企業ブランド」が「採用ブランド」に与える負の影響

業界・企業イメージにひっぱられてしまい、本来採用ターゲットとしてリーチしたい層に適切な認知形成ができない課題について事例をもとに紹介します。

医療AIスタートアップのUbie(ユビー)株式会社/Ubie DiscoveryでPublic Relationsや採用ブランディングの役割を持っている重藤(@yukishigedo)です。


1.企業ブランドと採用ブランドを別人格に分ける

Ubieでは「コーポレート・サービスブランド」と「組織・採用ブランド」を真逆の性質を持つべき別物として分けています。

<二重人格のブランド>
アイのある企業:愛あるテクノロジーで人々を適切な医療に案内する。
アクのある採用:愛だけでは世界は救えない Hack the Tech Business.

2.法人としてのアイのあるブランド

Ubieは医療×AIにおいて、世界中の人々をテクノロジーの力で健康にする企業です。
公共性・社会的意義・責任が非常に大きなドメインで、デジタル化においてレガシーな業界にAIという新しい技術を浸透させていく必要があります。
医師をはじめとした医療従事者の仕事を決して奪うわけではなく、人間vsAIの世界でもなく、患者様や医療従事者がより人間らしくいられるようなサポートする存在でいたいと心から想っています。
新しい技術で既存産業を破壊する旧来型のイノベーションではなく、共創してエコシステムの持続可能性を高める社会実装を目指しています。
親しみやすいハートマークや老若男女が読みやすいカタカナのロゴなど、人のための愛あるテクノロジーであることにこだわっています。

3.組織としてのアクのあるブランド

しかしながら、愛だけでは世界は変えられません。ビジネスとして利益を上げなければ、さらに投資することもできません。我々は非営利組織やボランティアの形を選択せずに株式会社という形を選択しています。医療という巨大なマーケットのデジタル化にこそ前人未到の課題が、そしてビジネスチャンスが残されていると考えています。

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」
このミッションを実現するために、解決すべきイシューがあります。

・人類が適切なタイミングで適切な医療にアクセスできる世界をつくる
・医療従事者の非中核業務を無くし、人らしい仕事に集中でき、生産性を最大化する
・日本そして世界の地域医療おいて、医療需供給のマッチングを最大化する

グローバルを見据えたときに、まず2023年までに国内市場でエコシステムを完成させる必要があります。そのためには1つ1つ順番にコツコツと課題解決している時間はありません。完全に権限移譲されたそれぞれの役割において最も適したメンバー1人1人が圧倒的裁量と責任をもって、同時多発的に事業・プロダクトを開発し続けていく必要があります。そのため、創業期のスタートアップの集合体である事業・組織・役割の構造となっています。
すでに国内は大きく4つの事業、海外ではシンガポールに東南アジア拠点を立ち上げ同時並行で日々事業を進めています。

ありたい姿を実現するためには常軌を逸した仮説と検証、戦略と実行をし続けられる人材とカルチャーが必要です。
そこにあるのが、ただの愛情「だけ」では、前人未踏の医療の課題を解決し、大きなビジネス価値を生み出すことはできません。

実際に0→10をつくる事業・プロダクト開発(Dev)組織のメンバーは、戦略的・合理的で、人ではなくコトに向き合い、真正面から言葉を選ばず論理をぶつけ合えるようなメンバーの集まりです。
エムスリー、DeNA、Google、indeed、クックパッド、リクルート、SMS、外資コンサル、投資銀行などで高い成果を出し、承認欲求などは既に満たされ、実力に自信を持った個の集団です。役職も評価も無く、前職ではCxO・役員クラスであった人たちが、いちメンバーとしてゴロゴロいます。
キャラや雰囲気としては根暗で明るいオタクです。お互いに尊敬・信頼しあい、集中する時は真面目でも、普段はラフにふざけ続けています(?)

4.企業ブランドが採用ブランドに与える負の影響

上記のとおり、「みんなに共感を求める愛され企業ブランド」と「共感ではなく実力を求める採用ブランド」にGAP(課題)があります。
愛ある企業ブランドのまま採用市場でみられてしまうと、非営利的・CSR的で過度に高潔なイメージとなってしまいます。共感性が高いというのみの理由でアンマッチな母集団が形成されてしまい、採用効率・効果が下がってしまいます。結果として、本来アプローチしたい採用ターゲット層への適切な認知形成が不足してしまいます。お互いにとってアンマッチは不幸であるため、それが無いように適切な認知を得るための採用発信をする必要があります。よく応募者数をKPIとする労働集約型の企業があります。これはこれでその事業・組織・採用の特性上KPIとしてはいいかもしれません。しかし弊社は違います。100人応募がきて100名が採用となり100人全員が組織内で進化・変化し続け、唯一無二のパフォーマンスを出し続けられるマッチングこそが理想であると考えています。

5.独立した「パクチー採用」ブランディング戦略

採用市場における需要供給のマッチングを最大化させるために、採用ブランディングテーマを「パクチー採用」と名付けました。
パクチーは一部の熱狂的・宗教的に好きな方々がいらっしゃる一方、嫌い・食べられないという方のほうが多いイメージがあります。(ちなみに僕は嫌いです。カメムシと同じ臭気成分が入っているとの論文発表もあるようです。)

Ubieの採用ブランディングはこのパクチーのような存在を目指すことに決めました。自社にとってカルチャーマッチするハイパフォーマー「のみ」に刺さるメッセージングを定め発信し続けることをはじめました。
これはコーポレート・サービスのメッセージとは真逆のベクトルとなっています。

<採用サイトより採用メッセージ抜粋>

スクリーンショット 2021-03-03 19.56.15

また、採用においては会社としての公式発信よりも、各々のメンバーのSNSやブログ等、個人の発信を推奨しています。それは企業ブランド人格とは別の採用ブランドとしての人格を、メンバー個人の個性やクセ、そのらしさを通して多角的に多数伝えるためです。

スクリーンショット 2021-03-03 20.00.13

↑社内セミナー・適切な認知のために施策を打ち続ける

6.腹の中を魅せる武器「カルチャーガイド」

採用ブランドとしての香草をふんだんに活用した自慢料理として「カルチャーガイド」があります。カルチャーを明確に言語化して、自社の事業特性からくる、組織特性やあるべき思考・行動の具体例、そして求める人物像がまとめられており、社外に公開しています。

【Ubie Dev カルチャーガイド (社外公開版)】

事業・組織・バリュー・人材要件などが、なぜこれがUbieにとってはよしとされるのかが理由とセットで書いてあります。
読む人によってはまさにパクチーのように、「信じられないこんなに臭くて不味いものがあるのか(こんなの理想論で過去事例が無いし無理だ)」or「信じられないこんなに美味しいものがあるのか(まさにこれからの理想の組織だ)」の2パターンに分かれます。

7.奇しくもこの香草に惹かれてしまう貴方へ

Ubieの特殊なカルチャーにマッチする人材要件を満たす方々のみを狂ったように追い求めています。
至極の「課題・役割・環境・条件」にてお待ちしております。
まずは採用サイトやカルチャーガイドをみて、その匂いを嗅ぎ分けてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?