創業期のビジネス職に大切な4つのポイント
こんにちは!アルプの VP of Sales の毛利(@yukimori1213)です。
アルプでは、 SaaS を筆頭にサブスクリプションや継続課金型のビジネスを行う企業向けに、今まで Excel や自社開発がスタンダードだった契約や請求管理を SaaS として提供する Scalebase というプロダクトを開発しています。
この記事では、製品リリースのタイミングに入社し、現在までの2年間を振り返ります。0から事業を立ち上げた経験を踏まえて、創業期のビジネス職に大事だと思うポイントを4つ書きました。
前提として弊社の事業は、 BtoB モデルの SaaS 事業で、企業の基幹システムに近い位置づけのソフトウェアです。PLG 型の事業など、もしかしたら参考にならない場合もあるとは思いますが、ご了承ください。
どんな人に参考になりそうか
・新製品をこれからマーケットに出そうとしている方
・創業期の企業にセールスやBizDevとして転職したいと考えている方
・創業期の企業でセールスやBizDevを採用しようと考えている方
などに読んでもらえたら嬉しいです!
ちなみに2年前は…
私が入社したのは、製品がリリースされてまだ1週間も経っていない時期でした。弊社が当時どのような状態だったかというと、、、
契約数は0
口頭承諾はあるけど契約数は0。利用規約と契約書は弁護士に確認しながら作る段階
売りに行ったことがない
価格決め、営業用の資料作成、製品コンセプト言語化、見積書作り
問い合わせる動線もない
LPを改修してGoogleフォームで問い合わせが入れられる仕組みを自分で作った
仕組みもツールもない
PCは支給される?携帯は支給される?交通費は精算していいの?SFAの設定も自分でやるしかない
そして、そもそも知人が誰一人いねぇ!周りは全員エンジニア!
こんな状態からのスタートでした。現在は上記の様な状態は脱しましたが、そうなるに至るまでに大事だったと思う4つのポイントについてお話しします。
2020年の初詣の写真があった!
1.”売る”ではなく”事業を創る”にコミットする
一般的にセールスは読んで字の如く”売る”のが仕事で、売って数字を作ることにコミットする必要があります。
ただし、創業期は実績や経験もなく、社員も少ない中で、期待以上の価値をお客様に提供し続ける必要があります。
そのため、創業期のビジネス職は売って、数字を作ることはもちろん大事ですが、それ以上に
・価値実感までお客様のサクセスをリードできるか
・プロダクトへのフィードバックをお客様から正しく引き出せるか
・お客様の期待値を超えるプロダクト進化を作れるか
・ずっと使い続けてもらえる関係を作れるか
といった視点の活動が非常に大切でした。
当時は(今も同じだけど…)毎日新しいお客様と会話して製品価値訴求のスクリプトを練りつつ、毎日プロダクト・エンジニアチームと製品開発の方向性やリリース計画について協議していました。
自分や会社を信じて、イノベーターとして導入してくださったお客様の期待に応えるために、”事業を創る”ことにコミットして、正しく価値を提供し続けられることが重要でした。場合によっては売らない勇気も必要というのは、反省も含めて非常に思い出深いです。
2.世の中に溢れる情報はだいたい参考にならない
私の前職は国内大手ERPソフト企業でした。エンタープライズセールスの経験と知識はたくさんあるけれど、SaaS の会社ではなかったので、BtoB SaaS の型に関する知見はまったくありませんでした。
特に SaaS 界隈はマーケットが盛り上がっていることもあり、色々なノウハウや Tips が世の中に溢れているので、皆さんも色々な情報を参考にされていると思います。私もこれに習って色々な情報を読み漁っていました。
が、、、、どれもいまいちピンとこないし全然実践できない…
それもそのはずで、FONDの福山さんも「ARR1億円まではアート」と表現されていましたが、世の中にある情報の多くがスケールアップフェーズのお話で、我々はまだその材料すら手元にない…という状況でした。
企業によって創業期のプロダクトやメンバーは異なるため、再現性も低く、どうしても手なりでやらないといけないのかな…と毎日悩む日々。
そんな中でも、なんとかAutify、Hubble、カミナシといった同規模くらいのSaaS企業に色々と教えを乞い、自分達が今からでもできることを見つけ、暗闇の中で型作りを進めていきました。
今では参考になることだらけですけどね!あくまでも創業初期のお話です!
3.実行こそ原点であり至高
更に、創業期に一番強く感じたのは、お客様に「それいいですね~」と「どうやったら買えますか?」と言われるのでは天と地ほどの差があるということです。
お客様も厳しい方ばかりではないので、創業初期のサービスに対して、なかなか辛辣な意見は言ってくれません。「それいいですね~」は一見良さそう。製品が完成したら買ってくれそう。と思ってしまいますが、実際のところは製品が完成する日なんて来ません(言い過ぎてるかも)。
つまり、「それいいですね~」は体のいい断り文句で、今の状態で「買います」と言ってくださるお客様とタッグを組んで前に進むことしかできないです。
そして、お客様に価値を提供し、対価をいただいて初めて、お客様の本当の声が聞こえます。その声を大切に大切に育てていくしかないです。
ラム・チャランが「経営は実行」と言っていた通り、どのフェーズでも大事ではありますが、創業期であればあるほど実行こそ原点であり至高だと強く感じました。
4.大切なお客様が製品と心の支え
弊社の投資家であるDNX倉林さんから「顧客の満足度が最も重要。カスタマーを熱狂させられているか常に考えなさい」といつもアドバイスをいただきますが、本当にこれに尽きると思う程、たくさんのお客様に支えられて今があります。
(既存顧客の熱狂度と事業グロースは天秤ではないという反省エピソードがあるんですが、これはまた別のnoteで…)
影も形もない最初期にご契約いただいて、「まったく期待してなかったけど期日通り出てきてビビった」と言ってくれた小林さん。
プロダクトも提供していない状態から、「いずれ課題が明確になるのはわかってるから買う方法ない?」と相談してくれた眞壁さん。
「実績のないプロダクトでも賭ける価値がある」と信じて契約してくださって、道半ばで急逝された深田さん。
同じ品川オフィスで磨き込みに協力してくれた福太郎、いつもすべり笑いを披露してくれた晋平さん。
「何にもできないプロダクトですね」と辛辣なことを言いながらも、丁寧にアドバイスしていただき、ここまでプロダクトを育ててくれた東さん。
カスタマーサクセスの「カ」の字もなかった時から、元気を与えてくれた原ちゃんといっちゃん。
その他にもたくさんのお客様の声こそが今の Scalebase を作りあげています。あの時、私たちの未来に期待して契約してくれたおかげで、今の状況があると心から思います。
まだまだ発展途上ではありますが、ビジネス職はご契約いただいたすべてのお客様がどうしたら幸せだと感じてもらえるかを考え、活動し続けなければいけません。そのためにできることをやり切ることこそが責務です。
最後に
あくまで弊社における経験から、創業期のビジネス職に大事なことを書かせていただきましたが、本当に大事なことはもう1つあり、それは仲間との密なコミュニケーション、相互信頼だと思います。
同じ理想に共感し、期待・信頼してリファラル入社してくれたメンバーに幸せだ!と想い続けてもらうことも自分の大切なお仕事です。
最近の口癖は「俺は俺の責務を全うする!アルプに来た者は誰も悲しませない!」です。
さらに、創業者である伊藤が一定の裁量と権限を与えて任せてくれたおかげで、創業者ではない自分でも、暗闇の中から形を作っていくことができたと思っています。
自分ではない誰かに手伝ってもらいたいと思っている創業者の方は、ぜひその点も考慮していただければと思います。
最後に、アルプでは積極的にメンバーを募集しています!今回の記事を見てご興味を持ちましたら、是非Meetyで私とカジュアルにお話しましょう!