見出し画像

星の王子様にさようならを言えない

小さい頃から活字中毒で、小学生の頃には古い書棚にあった「若きウェルテルの悩み」や「アンナカレーニナ」「佐藤春夫詩集」などを読みふけっていた。
旧仮名遣いをふくめ、活字を読み続けるのは楽しかった。

だからといって「そのことが役に立った」と思っていない。
本には「読むべき年齢と読めるだけの経験値」がやはり必要だ。
私にとって主人公たちは「なにかわからないことで悩んだり嘆いたりしている」ようにしか思えなかった。

「星の王子様」もそうだ。わたしは「読むべき年齢でそれを読まなかった」んだと思う。

そんな私でも、このお皿のことは愛していた。

画像1

有田の陶器市で買った、星の王子様の深皿。
我が家では、おでんもカレーもビーフシチューにもこのお皿を愛用していた。
2枚揃いで夫婦ふたりでちょうどよい。
白い肌にLe  Petit Princeのロゴも気に入っていた。

もう何年も使っていて、少し欠けていることに気付いた。

画像2

とても悲しい。
見るたびに悲しい。

洗い桶にお皿を突っ込んだままにするオットを恨んだ。
今度こそ食洗機を買おうと誓った。

だけども、さよならはまだ言えない。

これにお肉の大きなビーフシチューを入れると、本当に幸せだった。
しばらくこのまま使っていこう。

「星の王子様」はまだまだ我が家に居続けてくれる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?