へたの横好き

趣味はなんですか?という質問は日常でするしされる。さて、齢40もこえると趣味というものもそれなりにあるし、それなりにこだわりをもつことも多い。そんなとき、なにをどのようにどの程度で答えるのか?という加減が難しかったりする。

私は趣味というか、関心のあるものが一般の人よりも少し多い気がする。しかし、その分野のガチ勢の人たちには遠く及ばないレベルの愛好家である。漫画、音楽、楽器、ビデオゲーム、プラモデル、写真、絵、散歩、映画、アニメ、読書など。基本的にインドアであることはとりあえず置いておいて、それぞれマニヤな世界が存在する分野であることは間違いない。ただ、私はその分野の入口すぐ入ったところあたりをウロウロしているのである。

たとえば音楽。プログレと呼ばれる類の音楽を聴くことが多いが、メジャーどころのバンドとそのメンバーあたりの作品を聴くところで満足している。進んでいくと、イタリアやノルウェーのそれに突き当たるし、ジャズなどほかの分野にいくこともあるだろう。しかし、私はイギリスで充分なのである。
たとえばビデオゲーム。家でもゲーセンでもそれで遊ぶが、こちらもメジャーどころで満足している。STGはグラディウス系、雷電系を好むけれどもR-TYPEや東方系は遊んだことがない。そして、1ccできるタイトルも僅かである。RPGもFFのナンバリングで遊ぶ程度である。MOTHERさえさわったことがない。
たとえばプラモデル。研磨や塗装にウェザリングとデカールぐらいは貼るけれど、プラ板での改造やスジ彫りはしない。研ぎ出しもしないからカーモデルは作らない。製作も年にひとつ作るかどうかのペースですらある。
と、このようにすべてが「初心者というわけではないが、中級者にも至らない」という程度なのである。

ただ、それは楽しみ方の類型のひとつであって、その道のマニヤの人たちになんら気後れすることはないのである…!ということに何年か前、気づいた。マニヤの人たちの世界や技術、そして発信は楽しむものであって、私自身がその境地に至る必要はないのである。ビジネス実務法務検定の2級が「法律家の言ってることがわかる程度」であり、法律家そのものになる資格ではないのである。

つまり、趣味を浅く広くもつことにより、マニヤのひとが言っていることやその前提にある精神性がわかるのである。これは非常に人生を豊かにする。彼らの発信はとても機知に富んでおり、その独特なものの見方の一片にふれることで、自身にもあらたな価値基準を設けることができるようになる。ひいては、それが世界を見るにあたって解像度が高くなることに繋がり、よりその界隈への理解が深まるのである。

世間には「三日坊主」なる言葉があり、継続しないことを否定的にとらえる見方がある。しかし、三日坊主はそもそも「ものごとを始める」ことをしなければなれないのである。そして、ものごとを始める「一歩目」というものを踏み出すことがいかに大変かということも忘れてはならない。

諸般の事情で捨て去った鍵盤楽器をもう一度始めたい。現役当時は身体が小さかったのでただひたすらデブを憎んでいただけの柔道を自分が大きくなったいまもう一度始めたい。キャッチボールしたい。「レッツビギン とにかく何かを始めよう!」という佐々木光太郎の言葉が刺さる。


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