そんなに詳しくもない音楽のお話(第3回Deep Purple『Deepest Purple』)

ある日の帰り道、H本はまた私に言った。「俺ん家寄って帰れよ」と。わざわざ書いたけれども、なにもない日は彼の家に行くということがほぼ習慣化していた。ということで、なにをするでもなくいつものように管を巻いていると、彼はいつぞや私に聴かせてくれたベースを取り出した。そして、コンポのスイッチを押した。ラジカセからコンボへいつの間にかランクアップしていた。

Deep PurpleのBlack Nightに合わせて、それを演奏してのけた。当時の私を含めて、一般人のBlack Nightと言えば缶コーヒーのCMソングである。例にもれず、私も「なんか聴いたことあるな」と思った。彼はBon Joviのときと同じくそれを貸してくれて、私はBon Joviのときと同じくそれを速やかにカセットテープへ録音して返した。

それから何ヶ月か経ち、やっぱりCDで楽に音を聴きたいなぁと思い、近くのイズミヤまで原付で向かった。
『Deepest Purple』も国内盤と輸入盤が陳列されていた。幸い収録曲に差はなく、以前にM宅から聞いた「国内盤のほうがプレスがしっかりしているよ」という情報を踏まえつつ、輸入盤を買った。高校生にとって「安い」は絶対の正義であった。
輸入盤のスリーブはたしかペラ紙2枚を綴じただけのシンプルなものだったと思う。真ん中のページにメンバーの写真と名前が載っていた。いわゆる二期と三期のメンバーが一緒くたにされていたので、私は「へぇ、7人のバンドなんだな」と思っていた。

それから約25年経つが、この『Deepest Purple』って選曲が微妙だよなと未だに思う。

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