大雪の鎌倉を歩くには

編集者・ライター・選書者

大雪の鎌倉を歩くには

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最近の記事

自分の屈託を乗り越える

『店長がバカすぎて』(早見和真/角川春樹事務所)を読みました。本当に、店長がバカすぎて読んでいてイライラする。 主人公の女性のイライラが限界にきてキレる描写がいくつかある。主人公は正しい。だからキレて当然だし、その描写を読んで私もスッキリするかと思いきや、主人公はキレると同時に内省もする。そんな様子を読むと、私も「そんな考え方もあるかもな」と思わされる。もしくは、さらに店長がバカな言動をするので、主人公と同じように私も脱力して怒りが消える。 ミステリーの要素もあって、「そ

    • 整頓できないことで溢れている

      まちづくりの記事を書いていると、 「まちづくり」という単語を安易に使うことに違和感が出てくる。 違う言い方をするとしたら? たとえばもっと具体的に表現してみるとか。 文化的な視点から町を見るのか、地形的に見るのか、住人の属性から見るのか……によって言い方を変えてみるとか? ぼんやりとそんなことを考える。 町を見渡せば、本当にいろんな人がいろんなことを考えて取り組んでいるなあと思う。海のゴミを拾う人、行政に文句がある人、住んでいる町が大好きで行政の行事に必ず参加する人、観

      • 本を運ぶ。バスが満員。大豆をゆでる。『イリノイ遠景近景』を読む

        仕事がら、たくさんの本を運んでいる。いつも荷物が重い。 先日、15冊の本を運んだ。 この重い荷物を持って鎌倉駅まで歩くのはムリだと思い、バスを待つ。 7〜8分待ったと思う。 バスがやってきて、思わずため息が出た。人がぎゅうぎゅうに立っている。 平日の昼間だ。以前ならスカスカに空いたバスが来ていたのに、 最近はいつもたくさんの人が乗っている。 イライラしてはいけない。わかっている。みんな鎌倉観光を楽しんでいるんだ……そう考えようとするのに、イライラは止まらない。 このバスに

        • 本を読む効能

          子どもの頃からずっと本を読んできた。 ごはんよりも読書をしていて母親に怒られたことがたくさんある。 今でも料理をしながら本を読んでいるし、 行儀が悪いけれど、 一人で外食をするときは、食事をしながら本を読んでいる。 本をたくさん読んできたから、編集者とライターと選書をする人になったのかは分からない。それぞれの職業に魅力があり、幸運にもその魅力に気付ける機会があっただけかもしれない。 たしかに言えるのは、 3つの職業をやるのに、これまでの読書量が役に立っているということ。

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        自分の屈託を乗り越える

          東京にいたくない。

          ずいぶん高い家賃を払って東京の中心地に住んでいた。 近所にはメディアに出ている店がたくさんあって、芸能人もアーティストもお笑い芸人もたくさん住んでいた。彼らと隣り合わせの席で食事をしても「いるなー」としか思わなくなっていた(もしくはそんなフリができるくらいに慣れた)。どんなに奇抜な髪型も服装も浮かない。モデルさんみたいにきれい・かっこいい人がハイブランドの服を着て道をファッションショーみたいに歩いている。ゲイの友だちもいたし、周りの人たちにLGBTQへの偏見は無いように見えた

          東京にいたくない。

          パッケリを安く買えたら。仕事は奪い合うものではない。

          ショートパスタのパッケリにハマっている。売っているお店はあまり多くなく見かけても700円くらいして手が出せない。けれど、たまに安くなっている時があって、その時に買いだめしておく。 にんにくを炒めてオイルサーディンと白ワインと塩コショウ、辛いほうがいいときは唐辛子も入れて煮込む。つまみに良い。 今朝、ちょっとした知り合いからメールがきた。その人が今年やったこと・来年の展望が書いてある。その中に「これからの仕事は与えられるものではなく奪い合うものになる」と書いてあって、私は賛

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          パッケリを安く買えたら。仕事は奪い合うものではない。

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          大雪の鎌倉を歩くには

          歩いて渋谷のスクランブル交差点に行ける住まいから鎌倉に引っ越したのは4年前。いま住んでいる住まいの内見の日、鎌倉は大雪だった。 不動産屋さんは「まさか内見には来ないだろう」と思っていたみたいだ。ニュースでは電車が止まるかもしれないと言ってた。 でも私は迷うことなく内見に行った。どうしてもその住まいを今日見るんだってことしか考えていなかった。欠点も多い住まいだけれど、雪に照らされてぴかぴか光っている部屋を見てここに住もうって思った。 帰り道、不動産屋さんは海沿いの道を選んでく

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