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本を運ぶ。バスが満員。大豆をゆでる。『イリノイ遠景近景』を読む

仕事がら、たくさんの本を運んでいる。いつも荷物が重い。
先日、15冊の本を運んだ。
この重い荷物を持って鎌倉駅まで歩くのはムリだと思い、バスを待つ。

7〜8分待ったと思う。
バスがやってきて、思わずため息が出た。人がぎゅうぎゅうに立っている。
平日の昼間だ。以前ならスカスカに空いたバスが来ていたのに、
最近はいつもたくさんの人が乗っている。

イライラしてはいけない。わかっている。みんな鎌倉観光を楽しんでいるんだ……そう考えようとするのに、イライラは止まらない。
このバスに乗らないと予定に間に合わない私。奥に詰めない入り口付近の人たち。舌打ちしそうになって自己嫌悪、自分の心の狭さにがっかりする。

大豆をゆでる

ため息をつきながら、バスに無理やり乗り込む。

あからさまに不満な態度を出している私を、周りはイヤな人だと思っただろう。鎌倉観光に水を差したかもしれない……のちに冷静になって思い返し、また自己嫌悪。自分を嫌いにならないために考える。こんなとき、どういう行動をしたらいいんだろう?

大豆をゆでる時間は、何かをぼうっと考えるのにとてもいい。
たっぷりの水に半日浸けておいた大豆を、弱火でゆでていく。
鍋底にこびりつかないように優しく混ぜながら、
クリームのような泡が出てきたらすくいながら、
だんだん濃くなってくる大豆の香りをかいでいると、心が満たされてくる。

ふと思う。自己嫌悪に陥った私こそが答えだ。
自分を嫌いにならない行動をすればいい。
イライラしたら、隣の人がどう思っているのか想像してみる。
初めて鎌倉観光をした自分を思い返す。バスの運転手さんの気持ちを考えてみる。

「思いやりのある子になりなさい」
母親がずっと言い続けてくれたことを忘れないでいれば、自分を嫌いにならずにすむ。

大豆がゆでおわるまで
『イリノイ遠景近景』を読む

大豆のかおりに包まれて、藤本和子さんの『イリノイ遠景近景』を読む。
犬のポチの虫下しからトウモロコシ畑が目の前にある仕事部屋の話が出てきて、オズの魔法使いのドロシーが竜巻に巻き込まれた話になる。
良い文章だなあ。私にもこんな文章を書ける日がくるかな。考えることは、自己嫌悪からイリノイの平原の暮らしの想像になって、久しぶりに覚園寺まで歩こうと思いつく。

てきとうに、おおらかに。


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