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大雪の鎌倉を歩くには

歩いて渋谷のスクランブル交差点に行ける住まいから鎌倉に引っ越したのは4年前。いま住んでいる住まいの内見の日、鎌倉は大雪だった。
不動産屋さんは「まさか内見には来ないだろう」と思っていたみたいだ。ニュースでは電車が止まるかもしれないと言ってた。

でも私は迷うことなく内見に行った。どうしてもその住まいを今日見るんだってことしか考えていなかった。欠点も多い住まいだけれど、雪に照らされてぴかぴか光っている部屋を見てここに住もうって思った。
帰り道、不動産屋さんは海沿いの道を選んでくれて「雪の海ってきれいなんですよ」とゆっくり走ってくれた。砂浜は真っ白で海が白い波を立てていて、なにもかもが白。それから4年間、あんなに白い海は見たことがない。でもね、きれいだと思ったけれど、寒すぎた。

内見が終わってから。不動産屋さんは「電車が止まるかもしれないから早く帰ったほうがいいよ」と言っていたけれど、私はヴィヴモン・ディモンシュに行きたくて寄り道した。けれど、大雪で臨時休業。しかたがない……近くにあった今は閉店しちゃったタパスタパスで、店内一人でパスタを食べた。美味しかったなあ!
お会計のとき「こんな雪の中来てくださってありがとうございます」って言われた。こちらこそ、店を開けていてくれてありがとうございますって思った。

春になるころ、私は鎌倉に引っ越した。

『大雪の鎌倉を歩くには』は、私の好きなジェイムズ・スティヴンスンの本『大雪のニューヨークを歩くには』からもらった。

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