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アジのなめろうに当たったと思ったら、いつの間にか整形してました#エッセイ部門#創作大賞2024

 こんにちは!雪乃日 朝日(ユキノヒ アサヒ)です⛄️
 
 いきなりなんですけど、わたし、プチ整形したんです。

 それでね、きっかけの、きっかけの、そのまたきっかけを辿ると"アジのなめろうに当たったかもしれない"だったんですよね。
 ふざけるな! と思ったみなさん、もうちょっとだけ読んでいってください!



・始まりはアジのなめろう


 わたし、普段全く料理しないのですが、その日はどうしてもアジのなめろうが食べたかったんです。果敢にチャレンジして、そこそこ美味しくは出来て、満足な晩ごはんだったわけです。

 でも、その数時間後、まさか4時間もトイレのお世話になるとは思いませんでした……。


 もうね、上からも、下からも止まらなくて(汚い話ですみません)、ぶっ倒れそうだったので救急車を呼びました。
 アジのなめろうに当たったかもしれないだけで救急車を呼ぶなんて、という申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいで……。
 
 
 ただ、状態的には自分で歩けないほど。救急隊員の方が来てくださった時は本当に安心しました。
 それで、かなりグッタリしてたので、点滴を打ってもらいまして。あれほんと、点滴の力ってすごいんですね。
 
「妊娠してますか?」とお医者さん。
「イエ……」と否定するわたし。
お腹を押して「ここ痛いです?」
「タブン……」
意識がぶっ飛びそうな中で、痛みがあるかなんて分からない!
「心当たりは?」
「モシカシタラ、アジ……」
「え?なに?アジ?」
そりゃ聞き返すわな、と思いながら、アジのなめろうを食べて当たったかもしれないことギリギリで伝えました。
アホみたいなことを言い出すわたしに、お医者さんは不思議そうな顔をしてました。

 
 なんでかと言うと、検査の結果は"盲腸"だったから。

 
「え、盲腸ってコアラのマーチの?」
冷静になってきた頭で出てきた感想はそれくらいでした。 
 
 今思えば、冷静ではなかったみたいです……。


 骨折すらしたことがない、入院や手術もしたことがない、健康に恵まれてきた28年間。自分が何かの病気にかかるなんて信じられなかったです。

 何より、仕事はどうするのだ? と、そればかり気になって、対処法をお医者さんに聞くと「薬で散らすか手術するか」のどちらかと言うこと。
 
「手術なら取っちゃうので再発の可能性はないですけど、5日くらい入院ですね」
「薬だと?」
「再発の可能性はありますね」
目の前の仕事が一番だったわたしは薬を選んだのです。
アホすぎる……。

 
 そして半年後……。

 まんまと再発して、全く同じ苦しみを味わい同じ病院でお世話になったわたしは、入院、手術することを即決しました。
 この時、対症療法ではなくて、原因療法をきちんと考えることを身をもって学びましたね!(ポジティブ)
 

・入院と退院


 とは言っても、手術も順番なので、1ヶ月後。
正直、痛みや症状がないときは普段通りで、入院した際は元気でした。
初めての手術も、お医者さんの説明も、楽観的なわたしは「まあこんなものか」と。
 手術の説明に「何か質問ある?」と聞いてくれるお医者さんに、即答で「ないです」と答えると「落ち着いてるね」と笑われたくらいです。
 

 
 でも、でも、落ち着いてられないことは手術が終わった退院後に起こるんです……!
 
 
 
 3日目、手術が終わって目が覚めると、麻酔の影響で気持ちが悪いし、腹部はめちゃくちゃ痛い!まるで盲腸の時みたいだと、盲腸の手術をした人間は思いました。


 余裕ぶっていた自分が恨めしい……!


 手術から2日後、万全ではないが、なんとか起き上がれるようになり食欲も戻ってきた退院の日。
 
 
 喉元過ぎればなんとやらで、単細胞なわたしはすでにあっさりしていました。
 タクシーに乗り込み、自宅へ向かう途中。
 そういえば、マイナンバーカードを受け取っていなかったんだ! と、唐突に思い出しました。
 
 
 当時のわたしは、仕事が忙しいことを言い訳に役所作業をおろそかにしていたんですね。
 どこかのタイミングでマイナンバーカードの申請をしなければ、と。
思いたったら即行動なわたしは、せっかくの休みだからやってしまえと体に鞭打って、自宅から役所に行き先を変更してもらいました。

・マイナンバーカード作り


「あの、マイナンバーカードの申請をしたいんですけど」
大きな荷物を持ち、ズルズルと歩くすっぴん女に話しかけられ、役所のお姉さんはちょっと怪しんだかもしれないです。
 
 専用らしい窓口を案内してもらって書類を書いたあと「じゃあ次はこちらにどうぞ」と会議室に通されました。

 何をするのだろう? と思った次の瞬間、役所のお姉さんはデジカメを構え……!
 
 
 な、なん、だと……! 撮影するのか!
 
 
 なんせわたしは、盲腸手術帰りの女!
 もちろんすっぴんだし、いつもより顔に覇気もない。
 なんとか体に鞭打ってここまできているギリギリの顔を写真にされたくない!
 しかも、この密室かつ蛍光灯の会議室など絶望的に盛れないことは容易に想像がつく!
 
 
 そう思ったんですけどもちろん言葉には出てこないので、1秒後にはしっかりデジカメに収まって終わりました。
「……もしかしてこれってカードに載る写真ですか」
「そうですよ!」と無邪気に答えてくれるお姉さんにわがままも言えず、お礼を言って役所を後にしました。

 

 数週間後、自宅に届いたマイナンバーカードを見て、しっかり絶望しました!

 思った通り、目は死んでいて、唇は真っ青、げっそりした表情……。

 みなさんに写真はお届けできませんが、どのくらいか、というのは一応書いておこうと思います。
 
 あえて……。
 あえて言うなら、笑い話にもできる。

 が、「じゃあカード見せて」となった時に、相手がギリ笑えないくらい……!
 今時に言うなら、恋人には蛙化とか言われて別れを切り出されるくらい……!
 
 
 いやほんと、ギリ自分的にアウトでしたね〜!どうしたものかと考えたわたしは、最終的に【マイナンバーカード 写真 変更したい】などで検索しまくりました。

 みなさんお気付きだと思うんですけど、マイナンバーは簡単に再発行出来ないんです。紛失した時のみなので警察への届出なども必要になってくるとのこと。
 こうして、悪あがきの道は途絶えました……。
 
 
 それからしばらくして、ある資格のオンライン講習を受講してくれと会社から指示がありました。
 そのオンライン講習では、顔認証のシステムを導入していて、認証にはマイナンバーと自分の顔をパソコンから登録し"同一人物である"ということの紐付けが必要とのこと。
 なんとなく嫌な予感がするなと思いながらも、例のマイナンバーを登録したんです。


 そして、自分の顔を登録。

 
……案の定エラー。
 やっぱり〜!
 わかってたよ〜!と、笑いながら、手動での紐付けをお願いしました。

 
 講習が終わり、改めて自分のマイナンバーカードを見て、ふと考えました……。
 
 
 コンディションと撮影環境が悪いと自分を納得させていたが、そもそもわたしのすっぴんなどこのレベルなのでは?
 いや、そもそもすっぴんかどうかなどという話ではない!
 面白いと思いながら、なんで恥ずかしいと言う気持ちがあるんだろう?
 あれ、もしかしてわたし、容姿端麗ではないことにコンプレックスがあるのでは?
 そもそも、どんな顔だったら満足だったんだ?
 

・理想のわたしを考える


 と、こうして、まさかのアラサーにもなり、容姿に関する自意識が芽生えました!
高校生くらいの時に考えるべきことだなと自分でも思います。
 
 そんなこんなで、他者から見れば唐突に、自分から見れば自然に、その時"整形"を決意しました。

 わたしの場合、決めてからは、いつも一瞬なんです。

 
 盲腸の時と同じく「まあこんなものか」という、時間的にも、外見的にも、あっさりとした変化。
 ただ、終わってからの自分の意識は、ゆっくりと着実に変化していました。

 
 まず第一に、お化粧楽しい!
 いろんなことを試して、パーツを生かすためにはどうしたら良いかを考えました。
 お化粧が楽しくなってくると、洋服や体型も少しずつ気になり始めるものなのですね。
 洋服は、どういうものが好きで、どういうものが似合うだろう、とか。
 体型を整えるためには、食事や運動をどう見直すのが良いだろう、とか。
 少しずつ、目に見える自分が変わってくると、今度は内側に矢印が向くんです。
 何に時間を使うことが好きだろう、とか。
 仕事は、本当にやりたいことってなんだろう、とか。


 いつの間にか、
”理想のわたし”って何だろう?を考えることが習慣になっていきました。
 
 
 なんとなくかっこいい風に書いたけど、結局は、これを考えることを28歳まで怠っていたんだと思います。
 
 
 もちろん盲腸や整形を推奨しているわけではないですよ!
アジのなめろうも、わたしが作らない限り安全だと思うので、美味しくいただいてください……!

 たまたま、アジのなめろう盲腸事件に始まって、すっぴんマイナンバーカードの発行で自意識が芽生え、外見の変化で内面に影響があったということ。
 
 
 きっかけは些細なことですが、理想を求めて、挑戦したり刺激を受けて変わり続ける女性がカッコイイと思うようになりました。
わたしもそうありたいと、自分に期待しています。


 そんなわたしですが、会社を辞めて次のステップへ進むことにしました!
なんだかちょっとだけ、チャレンジしているわたしを好きになっています。
そう考えると、アジのなめろう盲腸事件があって良かったのかも……?(ポジティブ)

 
 
 
 みなさんは、"理想のわたし"について考えるきっかけ、ありましたか?

 
 

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